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スポーツアクティベーションひろしまが目指すもの~スポーツコミッションとは何か~【後編】

皆さん、こんにちは。スポーツアクティベーションひろしま(以下、SAH)市町支援戦略ディレクターの藤原直幸(ふじわらなおゆき)です。前編ではスポーツコミッションの歴史やデータについて紹介しました。今回の後編では、SAHというスポーツコミッションがどのような経緯で設立されたのか、そして何を目指していて、どのような取組を行っているかについてお話しします。

SAHが目指すものとは

SAHが設立された、つまり活動を開始したのは2020年4月ですが、広島県では「スポーツを核とした地域づくり」をテーマとした取組を2017年頃から本格的にスタートさせています。2017年5月には県が主導した東京2020オリンピック・パラリンピックにおけるメキシコ選手団の事前合宿受け入れが決定、2018年3月にはアーバンスポーツの世界大会である「FISEワールドシリーズ」を広島で開催しました(FISEは2019年3月にも実施)。2018年4月には、それまで教育委員会にあったスポーツ担当部署を知事部局(地域政策局)に移管し、県庁におけるスポーツ推進体制を整備しました。そしてこれらの取組を総括する形で、2019年3月に第2期広島県スポーツ推進計画を策定しました。計画には「スポーツを通じた魅力ある地域づくりの推進」を施策の柱とし、県スポーツコミッションの設立を目指す趣旨を盛り込みました。

このような状況の中でスタートしたスポーツコミッション設立の議論ですが、東京オリパラやFISEなど、県外から多くの方々の訪問が見込まれていたこともあり、当初はスポーツツーリズムをメインとするコミッションの設立で検討が進んでいました。一方で、県という広域自治体が果たす役割を考えると、スポーツツーリズム推進ではないコミッションの在り方もあるのではないか、という意見もありました。そこで、県内23市町や各種団体にヒアリングを行った結果「スポーツを活用した地域活性化への取組意向はあるが、どのように進めてよいかわからない」という回答が多くみられました。

こうした結果などを踏まえ、県としては「県内市町の取組が戦略的になるよう、伴走しながら支援するとともに、ノウハウや人脈等を蓄積させていくための推進母体となる組織」(=スポーツコミッション)を設立することに決めました。つまり、県が主導してスポーツツーリズムを推進するのではなく、それぞれの地域が目指す地域活性化に向けて県が支援・伴走する形という全国でも珍しいコミッションを設立することにしたのです。スポーツアクティベーションひろしま(Sports Activation Hiroshima)という名称も、こうした考えから生まれたものです。Activationとは「活性化」という意味の言葉ですが、スポーツによって県内のそれぞれの地域が目指す姿で活性化してほしいという願いが込められており、コミッションという言葉は使用していません。

しかしその一方、「活性化している」とはどのような状態を意味するのかわかりづらいという議論もありました。SAHが目指すスポーツによる地域活性化とは、地域によって姿が異なることから、例えば「スポーツ実施率の向上」や「イベントに何人が来る」など、何かひとつに決めることはできません。したがって、私たちは「笑顔」というキーワードを取り入れることとしました。地域によって目指す姿は異なっていても、その地域の住民が笑顔でいれば地域が活性化していると言えるのではないか、そう考えた結果「もっと笑顔にひろしまを。スポーツの力で!」をSAHのビジョンに据えています。

それぞれの地域における目指す姿へ~わがまち♡スポーツの推進~

(廿日市市・三次市で取り組む女子野球)

このような経緯やビジョンをもって設立されたSAHですので、実施事業もそれに沿った形となっています。これがSAHのメイン事業である「わがまち♡スポーツ」の推進です。「わがまち♡スポーツ」とは「それぞれの地域における目指す姿の実現に向けてスポーツを活用して行う取組の総称」を意味する造語です。

この「わがまち♡スポーツ」を県内すべての市町がSAHの支援によって取り組むことを目指しています。市町が取り組んでいる「わがまち♡スポーツ」の一例をあげると、以前のマガジンで神田代表が紹介した「女子野球を活用した地域活性化」【三次市・廿日市市】(https://wish.sa-hiroshima.com/4089.html)、(一社)ITADAKIの豊饒さんが紹介した「アウトドアスポーツのブランディング」【呉市】(https://wish.sa-hiroshima.com/4392.html)などが進められています。このほか「ものづくりの強みを活かしたまちづくりの推進」(府中市)や「エフピコアリーナふくやまエリア一体の賑わい創出」(福山市)など、R4年度で県内8市町が、SAHの支援のもと「わがまち♡スポーツ」に取り組んでいます。

また、同じく神田代表が紹介した広島横断型スポーツ応援プロジェクト「Team WISH」(https://wish.sa-hiroshima.com/4089-2.html)も「わがまち♡スポーツ」のひとつの事業と言えます。どこかひとつの市町ではなく、「広島県」としての「わがまち♡スポーツ」、それがTeam WISHです。

現在はメインコンテンツとして「WISH Match」を開始していますが、県民の皆さんがスポーツで盛り上がれて、笑顔になれるようなコンテンツをこれからも追加していきたいと考えています。

 スポーツによる地域活性化を推進する組織であるスポーツコミッションは、全国各地に今も続々と誕生しています。広島県におけるスポーツコミッションであるスポーツアクティベーションひろしまも、他の取組に負けないよう、県民の皆さんを元気に、笑顔にできるようこれからも活動してまいります。どうぞ引き続きのご支援をいただければ幸いです。


藤原 直幸

Naoyuki Fujiwara

岡山県井原市生まれ。現在の実家は福山市。2004年早稲田大学政治経済学部を卒業後、番組制作会社を経て2008年早稲田大学大学院スポーツ科学研究科を修了。修了後は公益財団法人笹川スポーツ財団でスポーツ予算や公共施設をテーマとしたスポーツ政策を中心にさまざまな調査・研究に携わる。2019年11月からは、一般社団法人日本スポーツツーリズム推進機構にてスポーツコミッション設立のコンサルティングなどを行う一方、スポーツアクティベーションひろしまの市町支援戦略ディレクターとして活動中。