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広島横断型スポーツ応援プロジェクト「TeamWISH」始動!スポーツの力で広島をもっと笑顔に(前編)

スポーツアクティベーションひろしま(以下、SAH)代表の神田康範です。
今もなお、私たちの生活やスポーツ業界にも多大な影響を及ぼす新型コロナウイルス禍に負けず様々な取組を進めてきたSAHは、皆さまの多大なご協力や支えにより、今春で3年目のスタートをきることができました。

今回は新年度を迎えるにあたり、昨年度の振り返りや今後の展望、そして私自身の経験から実感した“スポーツが持つ力”について、改めてお話したいと思います。

女子野球と自治体が見せた地域活性

(第7回女子硬式野球西日本大会閉会式フォトセッション)

あらゆる事業に挑戦してきた2021年度ですが、中でもたくさんの反響があったのが、女子野球です。2020年12月に「女子野球タウン」に認定された三次市で、昨年11月に開催した「第7回女子硬式野球西日本大会(以下、西日本大会)」は、行政が携わる大会の成功事例として紹介できると思っています。

この西日本大会は、元々、県内の他市で開催されていましたが、三次市には「きんさいスタジアム」という広島カープの公式戦も行われる立派な球場があり、この球場で開催することで、女子野球選手にとって、目指す場所や目指す大会となってほしいと思ったからです。そして、いつの日か、この場所でプレーした女子野球選手が、この大会の思い出を語り、三次市を訪れてくれるようになればと思っています。
 

そのために、三次市内の27社の皆様にスポンサーとなっていただき、会場装飾、ゲスト誘致、MCやDJを置いて、エンターテイメント性の強い演出を仕掛けたところ、大変な好評をいただいたのです。

(地元企業の皆様にご協力いただき開催)

例えば男子野球の場合、この10年で65万人だった小中学生のプレー人口は、45万人に減っています。たった10年で20~25%の減です。この数値が示すように、単純に、野球に興味を持って球場に行く、または実際にやってみようと思える時代は過ぎ去ったと感じています。スポーツの入口を広げ、結果的にそのスポーツが好きになった事例を、様々なスポーツの経営をしてきた私は痛いほど感じてきました。エンターテイメントを取り入れるということは、どの競技においても非常に大切なのです。

スポーツにおいて、マネタイズももちろん大切な要素です。大会運営だけでなく、地域経済にも大きく影響します。西日本大会で地元スポンサー企業の皆様からの協賛は、基本的に三次市へ還元しています。装飾、宿泊、飲食など、地元で循環させていけば、経済が潤います。三次市で得たものは、全て三次市のために。三次市を元気にするために、中四国女子野球連盟や三次市と一緒に、西日本大会を実施しました。

(県内で初めて女子硬式野球を創設した県立佐伯高校)

SAHが支援している県内市町のスポーツを活用した地域活性化の取組である「わがまち♡スポーツ」は、3年を目途として、各市町がスポーツ資源を活用した地域活性化を独立して行える状態を目指しています。今回の女子野球の大会がきっかけとなり、三次市が自走して女子野球を盛り上げるための、いい道標を示せたのではないかと思っています。

また、同じく「女子野球タウン」として認定された廿日市市の事例も、目覚ましいものがあります。2015年、県内初の女子硬式野球部が創部された県立佐伯高校は、生徒数が激減しつつあり、統廃合の危機にありました。しかし、昨年0.6倍だった受験倍率が、今年1.3倍へ上昇。この奇跡は、廿日市市が県立佐伯高校をはじめ、地域の皆さんと一緒になって女子野球の町を作り上げようと努力した結果です。

三次市と廿日市市、両市ともに女子野球がひとつのキーとなり、女子野球プレイヤーへの環境整備はもちろん、地域活性が明確に見えた1年でした。