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取材記事
【突撃!広島アスリートの食卓<第6回>】『広島ドラゴンフライズ』寺嶋 良(バスケットボール)×『JTサンダーズ広島』阿部 大樹(バレーボール)
広島県はプロ野球やJリーグをはじめ、数多くのトップスポーツチームが存在する『スポーツ王国』だ。本連載は、競技の垣根を越え「新たなスポーツの楽しみ方」を提供する広島横断型スポーツ応援プロジェクト、通称『Team WISH』に参加する26チームの選手・関係者が登場し、選手を支える大事な要素である『食』を軸に、対談形式で彼らの魅力をお送りする。
連載第6回目は、広島サンプラザホール(広島市西区)をホームゲーム会場とする『広島ドラゴンフライズ』から、ゲームキャプテン・寺嶋 良(てらしま・りょう)選手が、そして、猫田記念体育館(広島市南区)を本拠地とする『JTサンダーズ広島』から、今季加入の新戦力・阿部大樹(あべ・だいき)選手が登場。
寺嶋選手が所属する『広島ドラゴンフライズ』は、2013年に設立された広島県初のプロバスケットボールクラブ。2014-15シーズンからNBLに参加し、2016-17シーズンからは、新たに開幕したB.LEAGUEに参戦している。B.LEAGUE開幕当初はB2に所属していたが、2019-20シーズンにB1リーグ昇格。2021-22シーズンは西地区6位の成績を収めた。寺嶋選手をはじめ代表経験のある選手も所属し、近年ではホームゲームが満員になるほど、注目度の高いスポーツになっている。
一方、阿部選手が所属する『JTサンダーズ広島』は、V.LEAGUE DIVISION1に所属する男子バレーボールチーム。創部は戦前の1931年頃とされ、1967年開幕の日本リーグから所属する初期6チームの一つでもある。以来、一度も2部リーグに降格することなくトップリーグを走り続ける日本唯一のチームで、2014-15シーズンには悲願の初優勝を果たした。『世界一の名セッター』と呼ばれた猫田勝敏氏が所属していたチームとしても知られており(当時のチーム名は専売広島)、本拠地の名称も猫田氏の名前を冠し『猫田記念体育館』としている。
今回は、“ボールを扱う” “体育館” “ジャンプ力”……などさまざまな共通点を持つ両選手を招き、競技との出会いや『食』へのこだわり、間もなく開幕するシーズンへの意気込みについて語ってもらった。
意外と多い共通点! バスケとバレー共通の天敵は?
ーお2人は、こうしてお会いされるのは初めてでしょうか?
寺嶋「そうですね、初めてです。バレーボールという競技自体を観戦したことはあるのですが、JTサンダーズ広島(以下、JT)さんの試合は、まだ見に行ったことがないんです。ただ学生時代は、よく同じ大学のバレーの試合を見に行っていました。JTさんに所属している新井雄大選手は、出身が同じ東海大で後輩になりますね」
阿部「そうなんですか?」
寺嶋「新井選手とは今も親しくしているので、いつかJTさんの試合も見に行きたいなと思っています」
阿部「ぜひ!見に来てください」
ー阿部選手はいかがですか?
阿部「僕は筑波大の出身です」
寺嶋「筑波大、バスケが強いですよね」
阿部「そうですね。大学がバスケの強豪でもあったので、試合をよく見に行っていました。広島ドラゴンフライズ(以下、ドラゴンフライズ)さんの試合はまだ見たことがないので、いつか行ってみたいと思っています」
寺嶋「ぜひ。お待ちしています!」
ーお互いの競技に対しては、どのような印象をお持ちですか?
寺嶋「バレーは学生時代に授業でやったことがあって、すごく楽しかったという印象があります。スパイクを決めた時の気持ち良さはバレーならではだと思いますし、チームプレーという点ではバスケと似ている部分もありながら、また違った良さもあると感じています」
阿部「バスケとバレーはどちらも体育館でプレーするスポーツですし、似ているところがたくさんありますよね」
寺嶋「確かにそうですね」
阿部「ただ、フィジカル面の違いという意味では、バスケはコンタクト(選手同士の接触)があるスポーツなので、みなさん体がガッチリしている印象があります。バレーは相手とぶつかることはあまりないので、体つきには違いがあるように感じますね。バスケをやっている人の体つきを見ると、『かっこいいな』と思っちゃいます」
寺嶋「フィジカル面は、すごくトレーニングもしています。コンタクトスポーツかどうかという点は、バレーとバスケでも異なる部分なのかなと思います。これは僕の印象なのですが、バレー部の人って、バスケも上手い人が多くないですか?」
阿部「確かに、体育の授業だと絶対にバスケを選んでいましたね」
寺嶋「学生の頃は、バレー部の部員が体育館のリングに向かってシュートを打っているのをよく見かけていました。高校の時から、バレー部はバスケ部並みにシュートが上手いという印象がありましたね(笑)」
阿部「逆に僕たちバレー部は、『やっぱバスケ部は違うな』と思っていました(笑)。バスケもバレーもジャンプ力が必要なスポーツなので、他の人たちが『バレーのネットが高すぎる』と苦戦している時でも、バスケ部は『別に飛べるし』っていう感じでしたし」
寺嶋「そう考えると、“ジャンプ力”だったり、扱うボールの大きさだったり、体育館だったり……バレーとバスケの共通点はたくさんありそうですね」
阿部「そうですね」
ーお2人が競技を始めたきっかけは?
寺嶋「兄がバスケをしていたので、小学生の時に練習についていったのがきっかけです。兄の練習を見学していたら『やってごらん』と勧められて、そこから本格的に始めました。小さいながらにシュートが決まるとうれしくて、それでハマっていきました」
阿部「僕は姉の影響です。幼稚園の頃、付き添いで姉の練習について行っていて、気がついたらそのクラブに入っていました。僕はとことん負けず嫌いなところがあるので、高学年と試合をして、負けて、『次は絶対負けたくない!』という気持ちで続けていたら、いつの間にか今に至るという感じですね」
寺嶋「すごく分かります。負けず嫌いだからこそ上手くなる、というところはありますよね」
ー小さい頃に、憧れていた選手はいましたか?
阿部「僕は石島雄介選手です。日本代表にも選出されていて、“ゴッツ”という愛称で呼ばれていた選手ですが、同じ埼玉出身ということもあって、『埼玉にこんなすごい選手がいるんだ』と思って注目していました。実際にお会いしたこともありますが、すごくオーラのある方で……。ビーチバレーに転向されたので対戦する機会はなくなってしまったのですが、JTに入って、『憧れの選手と同じ“プロ”という土俵に立てた』という実感が湧いています」
寺嶋「僕が小さい頃に憧れていたのは、兄でしたね。そこからだんだんプロの試合を見るようになって、見ているうちに気になる選手が出てきて……という感じでした。以前、地元に“東京アパッチ”というチームがあったのですが、その試合を初めて見た時から『プロになりたい』と思うようになりました。“東京アパッチ”と実際にマッチアップできた時は、夢が一つ叶ったと感じましたね。阿部選手がプロを目指したのは、やはり石島選手がきっかけですか?」
阿部「そうですね。石島選手の影響もありますし、『負けたまま終わりたくない』と思っていたら、いつの間にかここまで来ていたという感覚もあります(笑)」
寺嶋「なるほど(笑)」
阿部「僕は今まで優勝を経験したことがないんです。いつも2位か3位で終わってしまっていたので、『優勝する』という目標も、バレーを続ける原動力の一つになっています。この目標を達成するまでは、やめられないなとも思っています」
ーそれぞれの競技の、“あるあるネタ”を教えてください。
阿部「バスケも同じだと思いますが、『シューズの裏を手で拭きがち』でしょうか」
寺嶋「ああ〜、ありますね(笑)」
阿部「滑りたくないという気持ちで、無意識のうちに拭いてしまいますね。そんなに滑るわけではないのですが、体が勝手に動いてしまいます」
寺嶋「それはバスケでも“あるある”ですね。試合中もついやってしまいますし、僕もずっとやっています。バスケならではという意味では、『滑って転んだ選手を起き上がらせようとして、自分も一緒に転んでしまう』というのがありますね。昨日の練習中にもありましたし……」
阿部「やっぱり屋内のスポーツだからこその“あるある”なのかも知れませんね。汗もすごくかきますし、床に落ちた汗をちゃんと拭いておかないと、気づかずに滑ってケガの原因にもなってしまいますからね」
寺嶋「そうですね。そこは、みんなすごく気をつけている部分だと思います」
ー滑らないように、特別なトレーニングをするということはないのでしょうか?
寺嶋「うーん、バスケは特にないですね(笑)。気をつけているのは、とにかく『滑らないように注意を払う』ということでしょうか」
阿部「逆にバレーは『滑ってでも落球しないようにする』ことが大切なので、滑ってでもボールをあげる、プレーが終わったら床が濡れていないかをきちんと確認する、というところまでを一連の流れにしています。ワイピング(プレー中、コートに落ちた汗などを拭き取るスタッフ)の人たちも、大変なんじゃないかと思いますね」
寺嶋「確かに、そうですよね」