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【突撃!広島アスリートの食卓<第2回>】コカ·コーラレッドスパークスホッケー部 三橋亜記(ホッケー) × 中国電力女子卓球部 成本綾海(卓球)

広島県はプロ野球やJリーグをはじめ、数多くのトップスポーツチームが存在する『スポーツ王国』だ。本連載は、競技の垣根を越え「新たなスポーツの楽しみ方」を提供する広島横断型スポーツ応援プロジェクト、通称『Team WISH』に参加する26チームの選手・関係者が登場し、選手を支える大事な要素である『食』を軸に、対談形式で彼らの魅力をお送りする。

 連載第2回目は、コカ·コーラレッドスパークスホッケー部から、三橋(みつはし)亜記(あき)選手、そして中国電力女子卓球部から、主将の成本(なるもと)(あや)()選手が登場。

三橋選手がプレーするフィールドホッケーは、1908年に五輪の正式種目(男子)として登録され、その起源は古代エジプトとも言われている伝統的なスポーツ。先端が湾曲した棒状の『スティック』と呼ばれる道具と、硬球を使って行われる。ホッケー女子日本代表チームは、通称『さくらJAPAN』とも呼ばれ、2012年のロンドン五輪では9位の成績を収めた。日本での競技人口は、約3万人(2022年時点)だ。

 一方、成本選手がプレーする卓球は日本でおよそ26万人(2021年時点)を有し、水谷隼選手、張本智和選手、伊藤美誠選手、石川佳純選手ら世界トップクラスの選手も数多く活躍する人気球技。中国電力卓球部は1991年に発足し、1977年から続く日本卓球リーグに出場している。全国から集まった精鋭6名で構成され、『地域に元気を届ける』をスローガンに、毎シーズンのリーグ戦を戦っている。

 今回は、同じ『道具を使ってプレーする』競技に携わる両選手に、お互いの競技の印象と『食』へのこだわりなどを語ってもらった。

コロナ禍を一丸となって戦ったシーズン。異なる競技の2人が語る、印象に残った一戦

ーーお2人が競技を始めたきっかけを教えてください。

三橋「友達に誘われたことがきっかけです。軽い気持ちで中学のホッケー部に入部したのですが、その年の夏には『もう辞めたい』と思っていましたね(笑)。当時の顧問の先生は、日本代表の経験もある方だったのですが、練習がとても厳しくて……。でも、そこで指導をしていただけたおかげで今に至ります」

成本「私が卓球を始めたのは5才の頃です。兄と姉が2人とも卓球をしていたので、自然と自分も卓球をするようになっていました。気付いたら、今でも卓球をしているのは私だけになってます(笑)」

(コカ・コーラレッドスパークス 三橋亜記選手)

三橋「ちなみにホッケーの世界も、兄弟をきっかけに競技を始める方が多いんです。まだまだマイナーな競技なので、そういうきっかけがないとなかなか触れる機会がないんでしょうね」

成本「卓球は小さい頃から競技を始める選手が多いので、中学から本格的にホッケーを始められたというのに驚きました。競技によって、開始する年齢が違うというのは面白いですよね」

ーーこれまでの競技人生で、忘れられない瞬間はありますか?

三橋「チームとしては、2020年に国内3大大会(全日本社会人ホッケー選手権大会・高円宮牌2020ホッケー日本リーグ・全日本女子ホッケー選手権大会)すべてで優勝し、三冠を達成したことです。コロナ禍で練習も制限される中、チームが一つになって三冠を勝ち取れたことは忘れられない思い出ですね。

個人では、4年前の国体(2018福井しあわせ元気国体)の決勝戦が忘れられません。広島県代表として出場していたのですが、奈良県と対戦した決勝は、最後の最後まで1点を追う展開でした。残り1分を切ったところで、私が同点ゴールを決めて同率優勝することができました。その一戦を含めて、現在、国体7連覇を達成しているので、あの一戦はとても印象に残る試合になりました。ずっと練習していたイメージ通りのシュートを決めることができたので、そういう意味でも記憶に残っています」

(中国電力女子卓球部 成本綾海選手)

成本「私が忘れられないのは、昨年の後期日本リーグ(2021年度後期日本卓球リーグ埼玉大会・女子1部)で全勝優勝したことです。日本リーグでは7試合を戦うのですが、これまでは最終戦まで競り合いになるような試合が続いていました。ただ、2021年は7勝0敗と全勝し、最終日を待たずして優勝が決まったんです。そうした戦い方ができた理由は、2年前のJTTLファイナル4(内閣総理大臣杯争奪のプレーオフ大会。年間総合優勝を決定する一戦となっている)で負けてしまったことです。チーム全員が号泣するほど悔しい思いをしたのですが、その悔しさを1年間忘れることなく練習を積み重ね、一致団結して優勝を勝ち取れたことは、今でも忘れられない思い出になっています。

個人では、大学時代の選手権大会でシングルス1位を獲れたことです。それまで団体戦では優勝したことはあったのですが、自分1人の力で優勝を勝ち取った経験がなかったので、『自分にもまだシングルスで優勝できるチャンスがあるんだ』と思うきっかけを与えてくれた大会でした」

(成本選手は団体競技に若干の苦手意識?)

ーーお互いの競技について、どんな印象を持っていますか?

三橋「卓球には団体戦の他に個人戦もあると思いますが、『自分しかいない』という状況で戦う厳しさは、メンタル的にも大変なのではないかと感じます。『自分の強さ』をしっかり持っていないと戦えないですよね」

成本「逆に私は、チーム競技の方がすごいと思っているんです」

三橋「(驚いたように)そうなんですか?」

成本「卓球は、シングルスであれば、自分のイメージや戦略通りにプレーできるんですが……ホッケーは、チーム全員で作戦や流れを共有しながらプレーする必要がありますよね?」

三橋「そうですね。常に声を掛け合いながらプレーしています」

成本「逆に私は、そうやって連携しながらプレーするのが苦手なので……(笑)。同じ『道具を使うスポーツ』ではありますが、かなり違いがあるなと感じました」

(競技のあるあるネタは「道具のせい」!?)

ーーお互いの競技の『あるある』ネタを聞かせてください。

成本「自分がミスをしたときに、『道具のせいにしがち』というところでしょうか(笑)。確実に自分の技術のせいなのですが、ミスをしたときにちょっとラバーをチェックするような素振りをしたりして……(苦笑)」

三橋「います、います(笑)。ホッケーにも、ミスをしたあとにスティックを見るひとはいますね。中学生や高校生に多いのですが、それでよく顧問の先生に怒られている子を見かけます。『スティックは悪くないぞ』と(笑)」

成本「道具のせいにしたくなるのは、道具を使うスポーツならではの『あるある』かもしれませんね!」