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取材記事
強気のプレーで獲得した初の全国3位。女子大学生を魅了したセパタクローの魅力とは。
東南アジア発祥の「セパタクロー」というスポーツを皆さんはご存知だろうか。
マレー語で蹴るを意味する“セパ”とタイ語で(籐(とう)で編んだ)ボールを意味する“タクロー”の2つの言葉を掛け合わせた名前の通り、ネットをはさんで足や腿(もも)、または頭を使ってボールを相手コートに返しあう1セット21点の2セット先取で勝利となる3人制のスポーツで、「足のバレーボール」と表されることもある。
トサー,サーバー,アタッカーの3つのポジションがあり,守備位置のローテーションが行われない点と,1人で続けて3回までボールにタッチしてよい点はバレーボールのルールとは異なっている。
セパタクローで使用するプラスティック製の籠状のボールは、男女で大きさと重さが異なり、男性用が0.41m~0.43m・170g~180g、女性用では0.42m~0.44m・150g~160gと女性用の方が大きくて軽い作りになっている。他のスポーツでは、男女同じ規格か男性用の方が大きく重いボールを使用することが多いが、少し変わったルールが適応されているのも、このスポーツの特徴である。
「見た目では違いがあんまり分からないんですけど、蹴ってみると全然違うんですよ」と教えてくれたのは、尾道セパタクロークラブで活動する5名の女子大学生。
2021年10月末に東京都で開催された全日本学生セパタクロー選手権で3位に入賞(クラブ創設15年目で史上最高成績)。3位決定戦での日本体育大学戦で,5点ビハインド、マッチポイントを握られる劣勢から大逆転劇を演じた秦(はた)百花(ももか)さん・嘉悦(かえつ)優(ゆ)海(うみ)さん・光本(みつもと)歩(ほの)和(か)さん・濱田(はまだ)遥名(はるな)さん・長瀬智佳(ながせともか)さんに話を聞いた。
強気のプレーで過去最高3位入賞
-3位入賞おめでとうございます。入賞した時の率直な心境を教えてください。
◆とりあえず号泣しました!(笑)
●わあーーーー!やったぁ!って感じでしたね!
★試合中に観客席からクラブの仲間が応援してくれていたんですけど、「がんばれ!」っていう声援が力になったし、勝てて良かったです!
■試合が終わって、普段から関わりのある関西のチームの方も「おめでとう」と言ってくれたり、今まで話したことのない北海道のチームの方もお祝いしてくれるなど,周りの反響もあって嬉しかったです。
▲もちろん、クラブOBの方からお祝いメッセージもいただきました。
-3位決定戦の最後、フルセットまでもつれ、マッチポイント取られる劣勢。その時のチームの雰囲気はどうでしたか?
◆ピリピリしてた?(笑)
●真剣モードだったから多少あったかもね。
★でも、なんかゾーンに入ってた感覚はあったかも。
◆やらなきゃ!っていうのは思ってましたね。
-そこから5点差をひっくり返しての見事な大逆転でした。
◆1セットはとれていたので「勝てない相手じゃない」と思っていたんです。だからこそ「勝たなきゃいけない!」って思いながらプレーしてました。ただ、がむしゃらだったよね。
(全員頷く)
◆「5本とらなきゃ」というよりは「まずは1本。目の前の1本に集中しよう!」っていう気持ちでした。
◆「1本きた!じゃあもう1本!」ってやっていくうちに自然と流れが自分たちのチームにきて、点差を詰めていった感じです。
●点を取られても「まだある!」「まだ大丈夫!」って、お互い信頼してプレーしてました。5人とも結構強気でプレーしてましたね。
-今まで入賞したことがない中、今大会で入賞できる自信が持てたタイミングはありましたか?
◆そもそも大会自体が少なくて、近場で参加できるものだと地方大会と学生大会くらいかな。東京で開催されている大会とかも含めると、なんだかんだ月一くらいで開催されてるんですけど、2年弱、コロナで大会が中止になっていて、久しぶりの大会だったんですよ。なので、今までに比べて特に「やってやるぞ!」っていうモチベーションは高く持ててましたね。
▲メジャーなスポーツとは違って、近くても大阪までいかないと大学生チームがないので、練習試合もできないんです。
●そういった中で、実際、自分たちがどれだけ戦えるのかわからず大会に臨んでいて、周りのチームのレベルもわかってなかったんですよね。さっきも強気でプレーしたって言いましたけど、モチベーションだけは負けてなかったと思います!
初めてのスポーツをする人でも楽しめるセパタクロー
-セパタクローを知ったきっかけを教えてください。
◆ここにいるみんな同じなんですけど、当然のことながら尾道市立大学へ入学するまでは「セパタクロー」について全く知らなかったです。
★どの大学でも新入生に向けたクラブ活・サークル紹介があると思うんですけど、新入生歓迎会のクラブ活紹介で見たのが初めてですね。
-セパタクローは“足のバレーボール”と表現されることもありますが、元々サッカーやフットサルの経験者ですか?
◆それが、全くやってないんですよ(笑)。
●このメンバーだと、バレー・テニス・バスケ・卓球・陸上の経験者ですかね。
■スポーツ未経験者もいます!(笑)
-え!?スポーツ未経験者もいるんですね!セパタクローの動画を拝見すると、かなりハードな動きではないですか?
◆初めて見たときは、ちょっと驚きました(笑)。
▲オーバーヘッドで相手コートにボールを蹴るので、続けているうちに、柔軟性やジャンプ力が必要だなって思います。
★最初は簡単にはできないけど楽しいですよ!
●基本みんな大学からスタートなので、同じレベルからスタートできるのもポイントですね。
◆初心者は自分だけじゃないし、仲間と切磋琢磨できる環境です。
-皆さんが魅了されているセパタクローの魅力を一言で表現すると?
▲あー、難しいなぁ…。
▲最初は試合に勝てないんですけど、球技独特のラリーが続いたり、自分たちの作戦が上手くいったりすると楽しいなって思います(笑)。
-普段は、社会人の方とも合同で練習しているそうですね。
◆尾道セパタクロークラブを作ったレジェンド的な方が今でも活動しているし、大学を卒業したOB・OGの方が練習に来て下さるので、多い時は25人~30人くらいで練習しています。
▲ミスしても「大丈夫だよ」って声をかけてくれたり、楽しませてくれる先輩や同級生のおかげで楽しく続けられていますね。
-それでは、実際にプレーしてもらっても良いですか?
◆もちろんです!
●サーブ,レシーブ,アタック,試合形式の練習をするんですが、最初は一人球蹴りっていう、サッカーでいうリフティングから始めるんですよ。
■まずは一人球蹴りで100回を目指します。
●次の二人球蹴りは、高いボールや低いボール、ダイレクトで返す練習を2人1組でやるんです。
-試合ではどんなことを意識しているのですか?
◆誰かがレシーブして、トサーがトスを上げて、アタッカーが打つ流れが基本なんですけど、ほんとにバレーと同じ流れなんです。
◆レシーブはとにかく高く良い位置に上げる。トサーはアタッカーの準備ができているかどうかを見ながら、相手チームの位置も把握したうえで、速攻なのか普通の速さにするのか戦略を立てて、トサーが打ち分けて攻撃するんです。
▲でも上げた瞬間に「あ、これ掴まるな」とか正直分かるんですよ(笑)。
★そうならないように相手の裏をかくとか、左右に振ったりしながらトスを上げるようにしてます。
●アタッカーが打ちやすい位置、上げやすい位置にいるように練習から意識してます。
■「ここなら打ってくれるな!」とか思いながらやってますね。
▲でも、なかなか思ったようにいかないことも多いんですよ(笑)。