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シンプルなのに奥が深いフィンランド発祥のモルック。再び全国大会の舞台へ。

 広島経済大学経営学部スポーツ経営学科

モルック」とはフィンランド発祥のスポーツで、モルックと呼ばれる木の棒をスキットルと呼ばれる数字の書かれた木のピンに投げ、倒れたスキットルの本数によって加算される得点が先に50点に到達したチームが勝利となるスポーツ。

最近では、お笑いコンビ・さらば青春の光の森田哲矢氏が日本代表として活躍していることをきっかけに、「ジャンクスポーツ」や「笑ってコラえて!」などのテレビ番組を始め、メディアで取り上げられることも増えており、モルックを目にしたことがある方も多いのではないだろうか。

(1~12までの数字が書かれたスキットル)

モルックのルールを詳しく説明すると、スキットルには1~12までの数字が書かれており、倒れたスキットルが1本の場合は、スキットルに書かれた数字が加点され、複数本倒れた場合には、倒れた本数が得点となる。最初は12本のスキットルが固まった状態からスタートし、倒れたスキットルはその場で再び立てるので、モルックを投げるごとにスキットルが散らばっていく。両チーム交互に投げていき、50点先取したチームが勝利となるのだが、50点ちょうどにならなかった場合は25点まで戻り、そこから再び50点到達を目指す。また、3回連続でスキットルに当てることができなければ負けてしまうルールだ。

ボウリングのように「ただ倒すだけ」ではなく、相手チームが倒したいスキットルを狙いづらく、遠くになるように倒したり、複数のスキットルが倒れるように密集させるなど、相手チームの戦略を阻止することも重要で、状況に応じて戦略を立て繰り広げられる頭脳戦は実に面白い。

その面白さを実感し、モルックを始めてわずか2ヵ月で全日本モルック学生大会4位に入賞したのは、広島経済大学経営学部スポーツ経営学科2年生の4名の学生。同じゼミで学んでいるという西田(にしだ) 勇(ゆう)希(き)さん、山根(やまね) 幸(こう)輝(き)さん、矢(や)羽田(はた) 珠(じゅ)利(り)さん、山本(やまもと) 泰地(たいち)さんに、モルックを始めたきっかけやモルックの面白さについて語ってもらった。

ゼミの体験会から始めたモルック

(1番目に投げる西田さん)

―モルックを知ったきっかけを教えてください。
西田:4人とも今大学2年生で、同じゼミに所属しているんですけど、そのゼミの先生から教えてもらって知りました。
矢羽田:2021年の後期からのゼミなので、まだ初めて2カ月くらいです。私たちが所属している松本ゼミは、主に生涯スポーツの研究をするゼミなのですが、今回の体験会では、ニュースポーツやユニバーサルスポーツについて知ることと実践を兼ねて、モルック、クッブ、ペタンクの3種目を体験しました。今回体験した3つのスポーツは、普段着で気軽にできるスポーツなんです。このようなスポーツを活用したゼミ内や他のゼミとの交流・親睦会だったので、3人1チームを作って各スポーツを体験しました。実際にやってみたら、たまたまこの3人(矢羽田さん、山根さん、山本さん)のチームがモルックで一番成績が良かったんです。

(4番目に投げる山根さん)

―初めてモルックを観たときの印象は?
西田:正直、めちゃくちゃ簡単そうって思いました。
山根:スポーツだけど、野球やサッカーみたいな競技スポーツとは違うなって思いました。

―皆さんが今までやってきたスポーツとどんなところが違って面白いですか?
西田:4人は野球、陸上、ソフトボール、バスケ、弓道の経験者なんですけど、それらのスポーツに比べてモルックってすごくシンプルだと思っていて、ルールがシンプルだからこそ奥が深いなって思います。毎回、同じ状況になることはないし、戦略もその時によって変わるので、考えないといけないことが多いですね。
山根:聞いただけだとルールが細かいように感じるかもしれないですけど、他のスポーツに比べたら簡単で全然わかりやすいと思います。スポーツに苦手意識を持っている人も誰でも楽しめるからやってみてほしいですね。

ルールが簡単だからこそ面白い

(相手チームが投げるために倒れたスキットルを起こす)

―戦略が重要とお話いただきましたが、日本で競技人口が少ない中、戦術はどうやって学んだのですか?
山根:とにかく実戦ですね(笑)。福岡での試合の時は、めちゃくちゃ戦略を考えました。それまでは、スキットルを散らばしてばかりだったんですけど、このときは「スキットルがあまり散らばらないようにしないと!とか、高得点を1本だけにしないように!」みたいな感じです。
西田:事前に「こういう風に攻めよう」と考えるより、アドリブが多いですね。
山本:その場その場で考えてやっています。
矢羽田:50点に近くなってきてから、次どこを狙うかを話し合っていました。

―臨機応変な戦略立てが必要な中で、チーム内の役割分担はありますか?
矢羽田:投球順は固定なんです。(1番目から西田さん、矢羽田さん、山本さん、山根さん)
矢羽田:一投目に投げる人は固まっているスキットルを散らさないといけないので、それが得意な人が投げるんです。私たちの中では西田さんが得意なので、1番目を任せているんです。

(3番目に投げる山本さん)

山本:「12本倒す」だけじゃなくて、スキットルを散らばらせないといけないんです。例え12本倒して自分たちが12点獲得しても、スキットルが近くにあると相手がすぐに11本倒すこともあるので。
山根:1本だとスキットルに書かれている数字が得点になって、2本以上倒すと、倒した本数が得点になるので、12本倒して12点取りに行かなきゃいけないんです。だいたい最初で10点以上取りたいですね。

―先攻と後攻ではどちらが有利?
西田:正直、先攻かな。
矢羽田:第一投目に12本倒せる可能性が高いので先攻だと思います。
山根:表裏必ず攻守ある野球と違って「50点先取」が勝利の条件なので、先攻で先に50点獲得すれば勝ちなんです。
山本:ダーツのゼロワンみたいなイメージです。
西田:同じチームと2回ずつ試合をするんですが、1試合目はじゃんけんで決めて、2試合目で入れ替わることが多いですね。

―試合時間はどのくらいですか?
山根:試合によってまちまちですね。
西田:早い時は5分くらいで終わったりします。だいたい7分くらいが平均だと思います。長くて15分とかですね。