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取材記事
激闘を終えたハンドボール日本代表~東京オリンピックの経験を活かしリーグ戦へ挑む~
8月8日、史上初の1年延期で開催された東京2020オリンピックが閉会した。
男女共に、特別枠として出場した日本ハンドボール勢。男子は1988年のソウル大会以来33年ぶり、女子は1976年のモントリオール大会以来45年ぶりの出場となった。
今回は、オリンピックで活躍を見せた、湧永製薬ハンドボール部「ワクナガレオリック」所属で男子ハンドボール日本代表「彗星すいせいジャパン」の成田なりた幸こう平へい選手、株式会社イズミのハンドボールチーム「イズミメイプルレッズ」所属で女子ハンドボール日本代表「おりひめジャパン」の近藤こんどう万ま春はる選手が登場。
夏の熱さにも負けない熱い戦いを見せてくれた2人の選手に、オリンピックでのあの時、あの瞬間の心情から、8月28日にグリーンアリーナ(広島県立総合体育館)で開幕するリーグ戦への意気込み、そして大役の裏側にある日常までをインタビュー。
白熱の試合以外で見せる、リラックスしたお二人の会話にも注目を!
東京でのオリンピックという特別な舞台に立って
―オリンピックが終わった今現在の感想をお願いします。
成田:オリンピックはこれまでに経験したことのない大舞台。全てが「すごい」の連続でした。今は「やっと終わったな」という安堵感もあります。もう一勝して1つ上のトーナメントに行きたかったという思いが強いです。「オリンピックの借りはオリンピックでしか返せない」と選手同士で話しました。次回のパリ大会に向けて頑張っていきたいです。
近藤:女子代表も同じ気持ちです。長期間の合宿から始まり、全てをオリンピックに捧げてきました。私は日本代表の中で最年少かつ経験も少ない選手です。特別な人しか立てないオリンピックという舞台に私が立たせて頂き、1日1日がとても濃く充実していました。帰ってきて休みをもらえるかなと思っていたのですが、2日間しか休日がなく、その後すぐ大学生と共に4日間みっちり合宿。ゆっくりオリンピックの余韻に浸りたかったのですが(笑)、忙しくさせてもらっています。
成田:お疲れ様です。僕は逆に休んでいますね。8月5日から入院して、6日に膝の手術をしました。現在入院生活中なので、ゆっくりさせてもらっています。術後4週間で競技復帰の予定です。こんなに休むのはいつぶりだろう…。でもこの生活も少し飽きてきました(笑)。休息はもう十分取れたので早くトレーニングを再開したいです。
―厳しい戦いの中、貴重な白星も手にしました。
成田:勝敗にかかわらず、オリンピック自体が貴重な経験になったと思います。僕たちは最終戦で勝利を掴んだのですが、グループ内の得失点差で、目標としていた決勝トーナメント進出は叶いませんでした。試合自体には勝ったのに、全く嬉しくないという不思議な感覚が湧き、皆で悔し泣き。メディアによっては歓喜の涙と書かれていたので「ちょっと違うんだけど…」とは思いましたね(苦笑)。また、強豪ヨーロッパ勢に勝てたのも初だったので、そういった意味では「歴史を変えられた」という感覚があります。
近藤:女子も同じく一勝することができたのですが、決勝トーナメントに行くにはもう一勝必要でした。勝利したモンテネグロとの対戦まではベストメンバーで試合を進めることができましたが、次の韓国戦からは怪我人が出て完璧ではない状態で臨むことになったんです。アクシデントが起こる中、負傷したメンバーの気持ちも背負い、残ったメンバーでチーム一丸となって戦いましたが、結果が伴わず悔しい思いが強いです。
―お二人とも広島のチームからの選出。試合外で、お互いを励まし合う機会は。
成田:選手村の棟のフロアが一緒だったので、近藤選手とはたまに廊下で喋っていました。会えば長話をしていましたね。試合で悔しかったことや、たわいもない話とか…。
近藤:成田さんは一回喋り始めると話が長いんで。
成田:いやいや、近藤さんもでしょ。
近藤:すごく喋るので、なかなか部屋に帰らせてくれなかったですね。
成田:いやいや、どっちもおしゃべりなんで、喋り始めると止まらないんですよ。
近藤:お互い様ですね(笑)。成田さんは大学の先輩でもあるので、先輩とオリンピックに行けたのはすごく光栄でした。
成田:絶対思ってないだろう…。
近藤:思ってますよ(笑)!
成田:とにかく、身近である広島所属のチームから4人も選出されたことは、とても嬉しかったですよね。
(今回対談した2選手に加え、イズミメイプルレッズから板野いたの陽みなみ選手と堀川真奈ほりかわまな選手が東京五輪に出場した。)