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スポーツのツボ ~アスリートが推す『観戦を10倍楽しむコツ』~【第17回】サンフレッチェ広島・中村草太

プロ野球、Jリーグ、Bリーグをはじめ、多くのトップスポーツチームが活躍する広島県。スポーツの持つ力で県民を盛り上げようと立ち上がったのが、広島横断型スポーツ応援プロジェクト『Team WISH』です。Team WISHは、広島のトップスポーツチーム・アスリートの魅力を発信し、スポーツを通じて広島の皆さんにワクワクを届けるため、日々、競技・チーム・選手の魅力を発信しています。

本連載では「Team WISH」の25チームの選手・関係者がおすすめする、「ココさえ押さえておけば、初めての観戦でも楽しめる!」、そんな観戦ポイントをご紹介します!アスリートの目線で語られる、新たなスポーツの楽しみ方。観戦が10倍楽しくなる『スポーツのツボ』をぜひ覗いてみてください。

連載17回目の今回は、広島を本拠地とするプロサッカークラブ・サンフレッチェ広島から、今季加入のFW(フォワード)・中村草太(なかむら・そうた)選手が登場。2025シーズン、チームのアタッカーとして活躍したゴールデンルーキーに、サッカーとの出会い、サッカーの魅力、そしてサンフレッチェ広島の魅力をインタビュー。『サッカー観戦を10倍楽しむツボ』を聞きました!

仲間と一緒に『成し遂げる』。チームメートと喜びを共有できる醍醐味

―プロ1年目のシーズンは、得点面でも成績を残し、チームの主力として活躍されました。まずは中村選手がサッカーを始めたきっかけから教えてください。

「サッカーを始めたのは、確か小学校1年生ぐらいの頃だったと思います。兄がサッカーやっていて、その影響で自分も同じクラブに入りました。」

―では、サッカーにハマったきっかけは何でしたか?

「改めてそう考えると、なかなか難しいですね。なんであんなに夢中になってボールを蹴っていたんだろうという感じで……。気がついたら夢中になっていました。サッカーを通じてチームメートと何かを成し遂げたり、喜びを分かち合えるところが良かったんだと思います。」

― 『勝利に向かってみんなで戦う』ということですか?

「それもありますし、チームスポーツだからこそお互いを助け合うというか……そういうところもすごく良いなと思っていました。点を取って一緒に喜び合ったり、負けてみんなで悔し泣きをしたり。そうやって『誰かと何かを共有する』ところが良かったのかもしれません。その気持ちは今でも変わっていないので、今日までサッカーを続けている大きな理由のひとつかもしれませんね。」

―サッカーを始めた当初、憧れていた選手はいましたか?

「小さい頃はよくFCバルセロナ(スペイン)の試合を見ていたので、リオネル・メッシ選手(現在はインテル・マイアミに所属)をはじめとする、あの時代のFCバルセロナの選手たちがすごく好きでした。ただ、具体的にこの選手が好きだとか、この選手を尊敬して……ということはなかったかもしれません。」

―メッシ選手はFWとして今なお活躍されています。中村選手も現在サンフレッチェ広島でFWとしてプレーされていますが、サッカーを始めた当時からポジションは同じですか?

「高校1年生まではボランチというか、ミッドフィルダーのようなポジションを任されることが多かったです。FWになったのは、高校2年生からですね。」

―高校は群馬県のサッカー強豪校である前橋育英高に進学。その後、明治大では2年連続アシスト王&得点王のタイトルを獲得するなど活躍されましたが、学生時代の忘れられない試合やゴールはありますか。

「2023年12月の筑波大との全日本大学サッカー選手権大会(以下、インカレ)の準決勝です。あの試合で決めたゴールは印象に残っています。それまでも筑波大と明治大は互いに切磋琢磨してきたライバルのような関係でしたが、その年の関東大学サッカーリーグ戦では筑波大が優勝して、自分たちは3位だったんです。自分は当時3年生だったのですが、卒業する先輩たちへの思いもあって、インカレ最後の大会ではリーグ戦の借りを返したいと思っていました。チームとしてもその大会に懸けていたので、自分の決めたゴールが決勝点になって筑波大に勝利できた(1-0で明治大が勝利)ことは印象に残っています。」

◆クラブの歴史の上に、今の自分たちがいる。広島でプレーする喜びと責任

―ここからは、サンフレッチェ広島というクラブや広島という土地についてもお伺いします。中村選手の考える、『サンフレッチェ広島の魅力』とは何でしょうか。

「うまくいく試合、うまくいかない試合どちらもありますが、やはり広島の『前に行くスタイル』はすごく魅力的なのではないかと思います。守備でも前から圧力をかけてボールを奪いに行きますし、攻撃でも全員が前を向いて、ゴールを第一優先にプレーしています。そうしたスタイルはプレーしている自分たちにとっても魅力ですし、今のサンフレッチェ広島の強みの1つでもあると思います。」

―そんなサンフレッチェ広島のサッカーを見るために、毎試合、ほぼ満員のお客さんがスタジアムに訪れています。広島でこれだけサンフレッチェ広島が愛され、注目されていることを、どのように感じていますか。

「自分は新スタジアム開業後に加入したので、毎試合満員で、たくさんの人が応援してくれるという環境でしかプレーしたことがありません。ただ、以前からクラブに所属している選手たちからは、エディオンスタジアム広島(現在のホットスタッフフィールド広島)の時代には、なかなかお客さんが入らない中での試合もあったという声を聞きます。自分自身は直接その時代を体験していませんが、そういう歴史も含めて、このクラブでプレーする以上は知っていなければいけないと思っています。今の素晴らしい環境、スタジアムは、過去所属していた選手たちが築いてきたものだと思っていますし、広島全体の協力や支えがあって成り立っている部分もあると思うので、自分たちはすごく恵まれていると感じます。」

―Jリーグの舞台で1シーズンを終えました。以前はインタビューなどで「まだピッチ上でいっぱいいっぱいになることがある」とコメントされていましたが、加入直後からゴールを連発するなど活躍されました。現在の心境はいかがですか。

「最初のころに比べると、試合の強度、J1のスピード感、そういった部分にも少しずつこう慣れてきたところはあります。最初に比べれば心にどこか一つ落ち着けるところがあるかなと思うのですが、それでもやはり毎試合、内容も相手も違うので緊張しますし、緊張感もありつつ、良いリラックス感もあると思っています。」

―『慣れ』も大きいですか。

「そうですね。慣れというか、日々、練習をはじめ高いレベルでやっているので、まだまだ足りないところはたくさんありますが、少しずつそこに適用できてきた手応えはあります。」

―2025年7月には日本代表に選出、12月にはJリーグアウォーズで優秀選手賞にもノミネートされました。

「代表を経験し、やはりレベルが高いなと感じました。それと同時に、まだ自分は代表の世界に行けるレベルではないとも感じました。ちょっと大げさに言うと『まだ来るべきところではなかった』という印象ですね。」

―2026年には北中米ワールドカップが開催されます。次の代表入りに向けた意識はありますか。

「もちろん、サッカーをしている以上は日本代表に選ばれたいですし、そういう舞台で活躍したいという思いはあります。ただ、今の自分の現状を見て、まだまだ足りないところ、鍛えなければならないポイントもたくさんあると思っています。まずは広島でプレーするなかで、世界の基準を目指していきたいです。」

―最後に、このWEBマガジンをご覧になっているみなさんに向けて、メッセージをお願いします。

「プロ1年目で優勝のかかった舞台で戦う機会があったことは光栄で、楽しみたいという思いで臨んできました。改めて、サンフレッチェ広島という幸せな環境、広島という素晴らしいスタジアムでプレーできることに感謝しています。来シーズンも熱い応援をよろしくお願いします!」

中村草太選手が語る!『サッカーのツボ』
ともに喜び合い、悔し泣きをする。思いを共有する選手たちの姿がツボ

中村草太(なかむら・そうた)
Sota Nakamura

2002年10月15日生、群馬県出身
前橋育英高ー明治大ー広島、ポジションはFW。
明治大から2025シーズンにトップチーム加入。大学時代は関東大学サッカーリーグで2年連続の 『得点王』と『アシスト王』の2冠を獲得し、2024年にはMVPにも輝くなど、高い決定力とチャンスメーク能力が魅力のルーキーだ。広島では2月8日のFUJIFILM SUPER CUP2025でプロデビューを果たすと、リーグ開幕戦では決勝ゴールをあげ一躍戦力の中心となる。豊富な運動量とハイプレスでチームをけん引する若きアタッカー。


◆チーム情報/サンフレッチェ広島

広島を本拠地するプロサッカークラブで、1992年にJリーグに加盟したオリジナル10の1つ。クラブ名の「サンフレッチェ」は日本語の『三』とイタリア語の「フレッチェ(矢)」を合わせた造語で、広島ゆかりの戦国武将・毛利元就の「三本の矢」の故事にちなんでいる。また、ユースチームでの育成にも力を入れており、川辺駿、山﨑大地、越道草太、中島洋太朗ら県内出身選手も多く所属。国内外に多数のJリーガーを輩出している。2025シーズンには、2022年以来3年ぶりとなるルヴァン杯のタイトルを獲得した。