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スポーツのツボ ~アスリートが推す『観戦を10倍楽しむコツ』~【第14回】サッカー中国リーグの福山シティFC ・高橋大樹

プロ野球、Jリーグ、Bリーグをはじめ、多くのトップスポーツチームが活躍する広島県。スポーツの持つ力で県民を盛り上げようと立ち上がったのが、広島横断型スポーツ応援プロジェクト『Team WISH』です。Team WISHは、広島のトップスポーツチーム・アスリートの魅力を発信し、スポーツを通じて広島の皆さんにワクワクを届けるため、日々、競技・チーム・選手の魅力を発信しています。

本連載では「Team WISH」の25チームの選手・関係者がおすすめする、「ココさえ押さえておけば、初めての観戦でも楽しめる!」、そんな観戦ポイントをご紹介します!アスリートの目線で語られる、新たなスポーツの楽しみ方。観戦が10倍楽しくなる『スポーツのツボ』をぜひ覗いてみてください。

連載14回目の今回は、サッカー中国リーグの福山シティFCから、高橋大樹(たかはし・ひろき)選手が登場します。中国リーグでは3連覇中と圧倒的な強さを誇り、県リーグも含めると2017年から8年連続優勝中の福山シティFC。その強さの秘訣とJFL昇格への課題、高橋選手自身の魅力を探りつつ、地域リーグならではの魅力など『サッカー地域リーグ観戦を10倍楽しむツボ』を聞きました!

JFL昇格のため、何ができるかを自問自答。常に誰よりハードワークを!

―実際にプレーしている選手のみなさんから、『トップアスリートが語るスポーツのツボ』をテーマにお話を伺っている連載です。高橋選手には、サッカー、特に地域リーグの面白さや魅力を教えていただきたいです。

「はい、よろしくお願いします!」

―まずは、高橋選手がサッカーを始めたきっかけから教えてください。

「3つ上の兄が少年団でサッカーをしていて、その練習について行っていたのがきっかけです。保育園の頃だったのですが、気づいたら自分もボールを蹴っていました。」

― 自然な流れでサッカーを始めたのですね。では、夢中になったのはどのタイミングですか。

「小学校5年生ぐらいです。もっと上を目指したいと思って少年団からクラブチームに移籍をしたのですが、その頃から練習にもよりしっかりと取り組むようになりました。僕の地元は富山県なのですが、周りのみんながカターレ富山のセレクション(Jリーグの下部組織などが、選手を選抜する選考会)に参加しているのを見て、自分もセレクションに参加したんです。結果、合格してU-15チームに入ることになりました。」

―カターレ富山は現在J2のプロクラブですね。高橋選手自信がプロを目指すきっかけになったエピソードはありますか。

「それまでも漠然と『プロになりたい』とは思っていました。より具体的な目標になったのは、カターレ富山の下部組織で一緒にプレーしていた1年先輩の馬渡隼暉さんがユースから昇格してプロになる姿を見た時ですね。『ここで結果を出せばプロになれる』と、はっきり意識するようになりました。」

―その後、進学された北陸大学では、福山シティFC(以下、福山シティ)の現監督・小谷野拓夢さんと出会われました。小谷野監督の存在は、高橋選手の福山シティ加入にも影響があったのでしょうか。

「間違いなくありましたね。『Jリーガーになる』という目標があったなかで、大学卒業時にはそれを叶えることができませんでした。そんな時にチームメートでもあった小谷野監督が声をかけてくれたのは、僕が福山シティでプレーすると決めた一番大きな要因でした。」

―小谷野監督が目指すサッカーを一言で表現すると、どんなサッカーですか。

『最高』ではないでしょうか。福山シティが目指すサッカーは、『勝つサッカー』でもあるし、『主導権を握る、見ている人も楽しいサッカー』でもあると思っています。監督自身も、結果も内容も最高のサッカーを目指していると思います。」

―福山シティは地域リーグでは抜群の強さを誇り、中国サッカーリーグ3連覇中です。ただ一方で、JFLへの昇格争いではあと一歩が遠い印象がありますが、何が足りないと感じていますか。

「いろいろな要素があると思うのですが、一番は、お祭りのような『行くぞ!』という勢いかなと感じています。日本のサッカーリーグは、1部リーグにあたるJ1、そしてその下にJ2、J3があり、さらにJ3昇格を目指すJFLというリーグがあります。JFLは4部リーグにあたります。福山シティが参戦している地域リーグは5部リーグにあたり、JFL昇格を目指して全国のチームが鎬を削っています。JFLへの昇格戦は『全国地域サッカーチャンピオンズリーグ』といって、日程も過密で特殊な3連戦で開催されます。過密で特殊だからこそ、ONE TEAMになれることが大切になります。ONE TEAMになって、チーム全体が同じ方を向いて勝つためにやれることをやらなければいけない。逆にそれができれば、間違いなく昇格することができるとも思っています。」

―高橋選手は現在チームのキャプテンを務めていますが、リーダーとして心がけていることはありますか。

「誰よりもハードワークしたいとは思っています。ピッチ内はもちろん、それ以外の取り組みも、昇格のためにやれることを誰よりもやる人間でありたいし、それを背中で示すことができればキャプテンとしての役割を一つ果たせるのではないかと思っているので。1日は24時間、分で考えると1440分ありますが、それをどれだけ昇格のために使って、何ができるのかを自問自答して取り組んでいます。」

◆夢を追って全力でチャレンジし続ける地域リーグの選手たち。その『覚悟』を見てほしい

―高橋選手が考えるサッカーの魅力、特に地域リーグならではの魅力を教えてください。

「そうですね……『覚悟』でしょうか。地域リーグのクラブでプレーしている選手たちは、ほぼみんな仕事をしながらサッカーをしています。普通に社会人をしている方が、もらえるお給料はきっと高いのではないかと思うんです。でも、その可能性を断ち切って、『いつかJリーガーになって、海外へ行って……』という夢を見てチャレンジしている。チーム全体がそんな人生を賭けたチャレンジをしていて、それでも試合に出ることができるのは11人だけ。仕事をしていますから、24時間のすべてをサッカーのために使うこともできません。それでいて、昇格戦で負ければまた次のシーズンは地域リーグで戦わなければならない……。そんなギリギリな環境でも全力で取り組む、その『覚悟』。それはきっと地域リーグでプレーするサッカー選手ならではのものだと思います。」

―なるほど。それを踏まえて地域リーグの試合を観戦すると、選手やクラブへの思い入れも増しそうですね。福山シティというチームの特徴についても教えていただけますか。

「福山シティの特徴は、攻守において主導権を握るところです。ボールを保持する、いわゆる『ポゼッション率』が高いことが強みなので、攻撃だけでなく守備も強度を高くして常に主導権を握れれば、得点の可能性が上がり、失点の可能性は低くなります。その結果、『最強』のサッカーを体現するという、究極のところを目指しています。」

―ポセッション率が高いということは、自分たちがボールを持って動かしている時間帯が長いということでもあるので、きっとファンのみなさんも見ていて面白いですね。では、高橋選手ご自身のストロングポイントはどんなところでしょうか。

「注目してほしいポイントは、いっぱいあるんですけど(笑)。一つ挙げるなら貪欲さですね。ゴールへの貪欲さ、勝利への貪欲さ。見ている方に気持ちが伝わるようなプレーが自分の特徴の一つだと思います。具体的には走力と突破力が武器だと思っているので、それを活かした、強度の高い、勝利に貪欲なプレーをぜひ見てほしいです。お父さん世代の男性サポーターの方たちからは、よく『君のプレーは見ていて気持ちがいい』と言っていただけます!(笑)」

―高橋選手の魂のプレーを見たい場合、私たちが観戦できるチャンスはありますか。

「今年のホーム戦は終了してしまいましたが、先程お話したJFLへの昇格戦が11月に開催されます。11月7〜9日には全国3会場で1次ラウンドが行われ、上位4チームに残ることができれば、20・22・24日に千葉県のゼットエーオリプリスタジアムで開催される決勝ラウンドに進むことができます。大会の組み合わせは10月18日に行われますし、試合の様子はインターネット配信もあるので、ぜひ一緒に戦っていただけたらと思います!」

―それは要注目ですね。では最後に、ファン・サポーターのみなさんにメッセージをいただけますか。

「福山シティには素晴らしい選手がたくさんいますし、地域リーグの他チームにも、いつJリーガーになってもおかしくないような選手がゴロゴロいます。今後もどんどん良い選手が出てくるはずなので、これを機に、福山シティや地域リーグにも注目していただけたらうれしいです。」

―今から来季が楽しみです。まずは11月の昇格戦、応援しています。今日はありがとうございました。

高橋大樹選手が語る!『サッカー地域リーグのツボ』
ギリギリな環境でも夢にチャレンジして、全力で取り組む選手たちの『覚悟』がツボ!

高橋大樹(たかはし・ひろき)
Hiroki Takahashi

1997年5月31日生、富山県出身。
ポジションはMF。スピードと突破力を持ち味に、J2(当時)カターレ富山U-15、U-18を経て北陸大へ。福山シティFC現監督の小谷野拓夢氏とは北陸大サッカー部の同期で、寮では2段ベッドの上下に暮らした仲。2020年から福山に所属し、今季はキャプテンとしてチームをJFL昇格へ導くべく「誰よりもハードワーク」を信条に奮闘中だ。

◆チーム情報/福山シティFC

福山市をホームタウンとし、備後エリアを拠点に活動するサッカーチーム。「スポーツを通じて活力ある備後福山の未来創生に尽力したい」。そのための手法として地域のオンリーワンの存在となり、新たなシンボルとして誇り輝くクラブを目指すことを目的に、2015年に創設された。『すべての人に「生きる勇気」と「明日への活力」を。』をクラブミッションに掲げ、Jリーグ参入、そして2030年のJ1優勝争いに向け日々挑戦を続ける。サッカーやスポーツを通じて地域課題を解決しながら、活力ある備後福山の未来創生に寄与することを目指している。