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スポーツのツボ ~アスリートが推す『観戦を10倍楽しむコツ』~【第13回】広島東洋カープ ・佐々木泰
プロ野球、Jリーグ、Bリーグをはじめ、多くのトップスポーツチームが活躍する広島県。スポーツの持つ力で県民を盛り上げようと立ち上がったのが、広島横断型スポーツ応援プロジェクト『Team WISH』です。Team WISHは、広島のトップスポーツチーム・アスリートの魅力を発信し、スポーツを通じて広島の皆さんにワクワクを届けるため、日々、競技・チーム・選手の魅力を発信しています。
本連載では「Team WISH」の25チームの選手・関係者がおすすめする、「ココさえ押さえておけば、初めての観戦でも楽しめる!」、そんな観戦ポイントをご紹介します!アスリートの目線で語られる、新たなスポーツの楽しみ方。観戦が10倍楽しくなる『スポーツのツボ』をぜひ覗いてみてください。

連載13回目の今回は、広島東洋カープの2024年ドラフト1位ルーキー、佐々木泰(ささき・たい)選手が登場。オープン戦でのケガで開幕一軍こそ逃したものの、8月から一軍に定着。スタメン出場の機会をつかむと、12試合連続安打をマークするなど存在感を増しつつあります。大注目の若きスラッガー候補がプロ1年目で感じた手応えや課題を振り返りつつ、『プロ野球観戦を10倍楽しむツボ』を答えてくれました!
今はホームランや長打より、自分のスイングと待ち方を意識している
―実際に競技をされている選手に、その競技の面白さや魅力をご紹介いただく連載企画です。本日は佐々木選手の今シーズンを振り返っていただきつつ、『プロ野球観戦のツボ』についてもお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
「はい、よろしくお願いします。」

―まずはルーキーイヤーの今シーズンについて伺います。ケガの影響で開幕一軍は逃したものの、5月に初昇格。再度故障で離脱されましたが、再昇格後の8月からはスタメン出場が続きました。一軍でプレーした手応えや、課題をお聞かせいただけますか。
「5月に一軍を経験させてもらった時はなかなか結果が出ず、打席を重ねる中でいろいろな課題が見つかりました。再昇格後はホームランや長打という部分ではまだ物足りなさがありますが、ヒットも出るようになり手応えを感じている部分もあります。徐々に自分のものにできている実感もありつつ、まだまだ改善していかなければいけない点もあるというのが現状ですね。」
― 一軍で『これはいける』と手応えを感じた瞬間はありましたか。
「最初の頃は打席の中でも落ち着かないというか、しっかり整理ができていなかった部分がありました。ただ、今はだいぶ整理できてきたという感覚があります。落ち着いて自分のスイングができるようになったところが、今年、一番手応えを感じられたところだと思っています。」
―故障に苦んだプロ1年目だったと思います。リハビリや調整の間は、どんなモチベーションで取り組んでいましたか。

「本当に苦しい期間が続いたのですが、『これがいつか自分のためになる』と信じて過ごしていました。同期である他球団のルーキー選手たちがみんな活躍している中でもあったので、モチベーションを保ちながら過ごせた良い期間だったと思います。特に、青山学院大学で一緒だったロッテの西川史礁選手は『復帰はいつ?』と連絡をくれていましたし、僕も西川選手の初ホームランをテレビで見て、『おめでとう』と連絡を入れたりしました。僕にとって本当に心強い存在というか、モチベーションになっていると思います。」
―プロ初昇格は5月でした。一軍で、マツダ スタジアムの打席に立った時の雰囲気はいかがでしたか。
「あそこでプレーすることが目標でしたし、想像以上にファンのみなさんの声援も大きくて、すごくワクワクしながら打席に立たせてもらっています。」
打球スピードや飛距離はプロ野球の魅力の1つ。初球から振りにいく積極性を見てほしい

―佐々木選手というとスラッガーのイメージですが、もともとは投手だったそうですね。野球を始めたのはいつ頃でしょうか。
「自分が幼稚園の時に兄がスポーツ少年団で野球を始めて、ついて行って見ているうちに、気づいたら一緒にやっていました。バッティングも好きでしたが、小・中学校の頃はピッチャーをしていました。だんだんバッティングでも結果が出るようになってきて、中学校の最後の大会を見ていた地元の高校から声がかかって、野手として県立岐阜商業高校に入りました。」
―プロ野球選手になろうと思ったのは、いつですか?
「小さい頃からずっとプロ野球選手を目標にしてきましたが、現実的になったのは高校に入ってからです。厳しい練習をして、良いピッチャーと対戦する機会が増えたり、先輩たちがプロ入りする姿を見ているうちに現実味を帯びてきました。大学へ行っても、その気持ちは変わりませんでした。」

―実際にプロ野球選手としてプレーして感じる、野球の魅力はどんなところですか?
「打球のスピードや飛距離、華のあるプレーはプロ野球ならではの『凄さ』だと思います。また、観客の応援や球場の一体感もプロ野球の名物の一つですよね。」
―では、佐々木選手のプレーでここを見てほしいというポイントはありますか?
「僕の持ち味は、やはり『初球から振りにいく』というバッティングスタイルです。その積極性は見てもらいたいですし、ファンのみなさんにワクワクしてもらえるようなスイングをしたいという思いもあるので、そういうところを見てもらえるとうれしいです。」

―入団会見では『カープは広島を象徴する熱いチーム』とおっしゃっていましたが、実際にカープの選手としてプレーしてどう感じますか?
「その印象は今も変わっていません。カープは広島の人たちを熱くさせるというか、勝てば広島が盛り上がるし、負けたら広島が落ち込むというか……そういうイメージがすごくあります。試合帰りにタクシーに乗ると、運転手さんに『今日は勝ちましたね』と声をかけられることもあるので、本当に、広島の皆さんに見てもらえているんだなと感じます。」
―注目度の高さを肌で感じているのですね。では最後に、ファンのみなさん、読者のみなさんにメッセージをいただけますでしょうか。

「先ほどお話しした打球スピードや飛距離、華のあるプレーなどのポイントを意識しながら見てもらえると、プロ野球がもっと楽しめると思います。ホームランや勝敗はもちろん、そういう選手一人ひとりのプレーにも注目しつつ観戦を楽しんでもらえるとうれしいですね。」
―佐々木選手に関しては、フルスイングに注目!ですね。ありがとうございました。
「ありがとうございました。これからも応援よろしくお願いします!」
佐々木泰選手が語る!『プロ野球のツボ』
打球のスピードや飛距離、華のあるプレー、さらに観客の応援と一体感がツボ!
佐々木泰(ささき・たい)
Tai Sasaki

2002年12月24日生、岐阜県出身。
県立岐阜商業高校では1年夏から4番で活躍し、青山学院大では1年春から出場してベストナイン入り。3年時の2023年は春秋のリーグ戦を連覇し、全日本大学野球選手権大会で優勝。日米大学野球選手権では日本代表入りを果たした。翌2024年は全日本大学野球選手権大会の連覇に貢献し、大会MVPにも輝いた。2025年、ドラフト1位で広島東洋カープ入団。相次ぐケガで度々離脱を余儀なくされたが、5月20日のヤクルト戦に7番3塁で初出場・初スタメン。8月以降は一軍に定着し12試合連続安打を放つなど活躍した。
◆チーム情報/広島東洋カープ
広島を本拠地とするプロ野球チーム。1950年に創設され、初代監督には石本秀一が就任した。球団草創期の度重なる存続の危機も、『樽募金』など市民の熱意によって乗り越え、1975年には初のリーグ優勝を果たした。1991年までにリーグ優勝6回、日本一3回を達成。2016・2017・2018年には、球団初のリーグ3連覇を成し遂げた。新井貴浩監督が率いる3シーズン目の2025年は2年連続のBクラスが確定し、再浮上を期す奮闘が続く。