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スポーツのツボ ~アスリートが推す『観戦を10倍楽しむコツ』~【第11回】女子ホッケーチーム・コカ・コーラレッドスパークス ・浦田果菜
プロ野球、Jリーグ、Bリーグをはじめ、多くのトップスポーツチームが活躍する広島県。スポーツの持つ力で県民を盛り上げようと立ち上がったのが、広島横断型スポーツ応援プロジェクト『Team WISH』です。Team WISHは、広島のトップスポーツチーム・アスリートの魅力を発信し、スポーツを通じて広島の皆さんにワクワクを届けるため、日々、競技・チーム・選手の魅力を発信しています。

本連載では「Team WISH」の25チームの選手・関係者がおすすめする、「ココさえ押さえておけば、初めての観戦でも楽しめる!」、そんな観戦ポイントをご紹介します!アスリートの目線で語られる、新たなスポーツの楽しみ方。観戦が10倍楽しくなる『スポーツのツボ』をぜひ覗いてみてください。
連載11回目の今回は、女子ホッケーチーム、コカ・コーラレッドスパークスから浦田果菜(うらた・かな)選手が登場。大学3年生のとき日本代表として選出され、卒業後の2021年からは、コカ・コーラレッドスパークスとホッケー女子日本代表『さくらジャパン』で活動している浦田選手。攻守の要とも言えるポジションで活躍する浦田選手に、『ホッケー観戦を10倍楽しむツボ』を聞きました!
オールラウンドプレーヤーから、日本を代表するフルバックへ

―スポーツ観戦をもっと楽しむための『ツボ』を、その競技で活躍されるアスリートのみなさんに教えていただくという連載です。浦田選手には、『ホッケーのツボ』を伺いたいのですが、まず最初に競技を始めたきっかけから教えてください。
「9歳と11歳離れた姉がいるのですが、ホッケーを始めたのはその姉の影響です。羽衣学園中学1年生のときに、学校の部活動でクラブ体験に参加したのが最初でした。当時は道具を使って運動をするところに惹かれていて、特にシュートするところがカッコいいなと思っていました。」
―浦田選手が現在『フルバック』という、主に守備を担うポジションでプレーしています。競技を始めた当初から、ずっと同じポジションでプレーしているのですか?
「いえ、中学校の時は主に攻撃を担う『フォワード』をしていて、高校では中盤の『ミッドフィルダー』をしていました。フルバックに定着したのは、立命館大学に進学してからです。空中へすくい上げる『スクープ』という技や、フォワードへのロングボール、ストロークの強さが自分の武器だと思っているので、それらを生かすポジションはフルバックが一番適正だと思います。」

― U―18、U―21など世代別日本代表にも選出され、2019年からはホッケー女子日本代表の『さくらジャパン』で活躍されています。代表の練習や試合で学んだことというと、どんなことがありますか?
「一番はホッケースキルですね。代表クラスになってくると、一つひとつのスキルレベルがすごく高くて、それに対応していかないと通用しないので。あと、戦術理解、ホッケーに対する知識も、学べるところが多いです。」
―大学卒業後、コカ・コーラレッドスパークス(以下、コカ・コーラ)に加入したのはどのような経緯があったのでしょうか。

「いろいろな理由がありますが、日本で外国人が監督をしているのはコカ・コーラのみだったことが大きいです。大学の頃から日本代表活動に参加してきて、自分には外国人監督から指導を受ける方が合っているという実感がありました。あとは、当時からコカ・コーラには日本代表選手が多く在籍していることも大きかったですね。本当に上手な、日本でもトップクラスのフォワード陣がそろっているので、ディフェンスの選手としてこの環境で練習できれば、よりスキルが向上するのではないかと思って加入を決めました。」
―実際に入ってみて、コカ・コーラはどんなチームでしたか。
「個々のスキルレベルが非常に高いチームなので、ベーシックのスキルレベルが他のチームより高いと思いますし、その中で練習できることで自分自身のスキルの向上にもつながることを実感しています。」
時速120kmを超えることもあるボールスピードとサークル内の駆け引きに注目!
―まだ観戦したことがない人にホッケーの魅力を伝えるとしたら、どんなところでしょうか。
「ボールスピード、展開の速さが一番ですね。スティックを振って打つヒットシュートは、時速120キロくらいは軽く出るので、初めて見ていただく方は魅了されると思います。」

―すごいスピードですね!
他に、ここに注目したらより観戦が楽しめるというポイントはありますか?
「ホッケーのコートは、ゴール前に『サークル』と呼ばれる半円があるのですが、そのサークル内から放たれたシュートが入った時だけがゴールとして認められます。サークル内のディフェンスとフォワードの攻防戦やポジショニングがすごく重要で、その駆け引きを見てもらえると楽しめると思います。」
―チームのホームページによると、浦田選手のセールスポイントは『ペナルティーコーナーのフリック』とのことですが、もう少し詳しく教えていただけますか。

「ペナルティーコーナーは相手ゴール前の半円内で反則があった時に行われるプレーで、相手に対して圧倒的に数的有利な形で攻めることができるセットプレーです。ただし、シュートを打つ際にはルールがあります。ホッケーのゴールは地面から46cmまでの部分に黒いボードがあるのですが、『ヒットシュート』もしくは『スイープシュート(スティックを水平にして滑らせるように打つ)』の場合、ボードよりも下に打たないといけないんです。ただ、ボールを地面で引きずるようにしてから持ち上げる『フリックシュート』はどこを狙っても大丈夫なので、他のシュートスタイルと比べて圧倒的にゴールの範囲が広がることが特徴です。」
―観戦の際は、浦田選手のフリックシュートが見どころのひとつですね。
「そうですね。あと、フルバックというポジションは、ディフェンスのポジションなのですが、攻撃時にはどんどん後ろから前にパスをつないで、攻撃の起点になるという役割もあります。相手のプレスをどう打開してパスをつないでいくかという、ゲームコントロールの面も注目していただきたいです。」
―今後のチームの予定はいかがでしょうか。
「10月には国民スポーツ大会、日本リーグの決勝、プレミアムカップの決勝があり、11月末には全日本選手権大会が控えています。シーズン終盤ではありますが、これから、という感じです。狙うのは四冠。今のチーム力なら可能かなと思っています。」

―それは頼もしいです。では最後に、読者のみなさんへメッセージをお願いします。
「ホッケーという競技自体がまだまだ知られていないと思いますが、ボールスピードも速く、展開にもスピード感があって、選手同士のフィジカルコンタクトも激しく迫力があるので、見ていても楽しいと思います。来季はぜひ会場へ足を運んでいただき、スピード感や迫力のあるプレーを見ていただきたいです!」
―来季開幕が楽しみです。まずは、四冠に向けて集中ですね。応援しています
「はい、ありがとうございます!」
浦田果菜選手が語る!『ホッケーのツボ』
ボールスピードと展開の速さ、サークル内での攻守の駆け引きがツボ!
浦田果菜(うらた・かな)
Kana Urata

1998年12月27日生まれ、大阪府出身。
ポジションはフルバック。
姉の影響で競技を始め、羽衣学園高校、立命館大学を経て2021年にコカ・コーラレッドスパークス入団。2016年にU-18、2018年にはU-21日本代表に招集され、大学3年生の2019年からはホッケー日本代表・さくらジャパンのメンバーに。2024年のパリ五輪では全試合に出場した。
◆チーム情報/コカ・コーラレッドスパークス
1996年に創部した、広島市をホームグラウンドとする女子フィールドホッケー実業団チーム。2011年に日本リーグで初優勝を飾ると、2012年には日本リーグ・社会人選手権・全日本選手権で優勝し『三冠』を達成した。2022年にはホッケー日本リーグで2年ぶり5度目となる優勝、2023年には連覇を果たしている。2025年シーズンは日本リーグ、プレミアムカップ、国民スポーツ大会、全日本選手権の四冠達成を目指して邁進中だ。