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スポーツのツボ ~アスリートが推す『観戦を10倍楽しむコツ』~【第10回】女子バレーボールチーム・広島オイラーズ ・伴千尋
プロ野球、Jリーグ、Bリーグをはじめ、多くのトップスポーツチームが活躍する広島県。スポーツの持つ力で県民を盛り上げようと立ち上がったのが、広島横断型スポーツ応援プロジェクト『Team WISH』です。Team WISHは、広島のトップスポーツチーム・アスリートの魅力を発信し、スポーツを通じて広島の皆さんにワクワクを届けるため、日々、競技・チーム・選手の魅力を発信しています。
本連載では「Team WISH」の25チームの選手・関係者がおすすめする、「ココさえ押さえておけば、初めての観戦でも楽しめる!」、そんな観戦ポイントをご紹介します!アスリートの目線で語られる、新たなスポーツの楽しみ方。観戦が10倍楽しくなる『スポーツのツボ』をぜひ覗いてみてください。

連載10回目の今回は、V.LEAGUE WOMENに所属し、株式会社大野石油店を母体とする女子バレーボールチーム・広島オイラーズから、伴千尋(ばん・ちひろ)選手が登場。中区にある本社ビル内の専用体育館で練習を重ねるチームは、10 月18日より新シーズン開幕。ホーム開幕戦は11月1日(土)・2日(日)に猫田記念体育館(広島市南区)で開催。2022年に入社し、4年目を迎えたチーム最年長・26歳の伴選手に、『バレーボール観戦を10倍楽しむツボ』を聞きました!
ガソリンスタンドでの勤務後、本社ビルの専用体育館で練習中!
―アスリートのみなさんに、観戦がより楽しくなる『スポーツのツボ』を教えていただく連載です。今日は、伴選手に『バレーボールのツボ』をお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
「よろしくお願いします。」
―まず、伴選手がバレーボールを始めたきっかけから教えてください。
「小学4年生、10歳の時に始めました。母のママさんバレーについて行って、体育館の端っこでボールを使って遊んでいたのがきっかけです。1人だったので、レシーブやトスを何回続けられるか挑戦したりしていました。それが楽しくてバレーボール教室に行き始めて、その後、小学校のクラブチームに正式に入りました。」
―伴選手はリベロという主に守備を専門とするポジションでプレーしています。当時からずっとリベロですか?
「小学生はリベロというポジションがなかったので、中学校からですね。」
―バレーボールでは、セッターやスパイカーといった前衛と呼ばれる攻撃的なポジションに注目が集まりがちです。『前衛でやりたい』という希望はなかったのですか?

「ありました。セッターはサーブが打てますし、ブロックもあるので点を決めるチャンスもありますが、リベロは守備専門なのでサーブは打てません。自分で点を決めるチャンスがないんですよね。なので、点が決められるスパイカーをやってみたいなぁと思ったことはあります。」
―そうだったのですね。そんな学生時代、印象に残っている出来事や試合はありますか?
「私は東京都の出身なのですが、中学3年生の時に出場した東京都大会で優勝したことです。学校としても、それまではベスト8やベスト4止まりだったので、自分たちの代で初優勝できたことは思い出に残っています。松蔭大学1年生の時に、全日本バレーボール大学選手権大会(インカレ)で銅メダルを獲得したことも良い思い出です。」
―地域や学校を代表して、全国区で戦ってきたのですね。卒業後、広島オイラーズ(以下、オイラーズ)に加入したきっかけは?
「先輩がオイラーズに入団していたのと、仕事とバレーボールを両立できるということで志望しました。」

―選手のみなさんは、普段、ガソリンスタンドで働いていらっしゃると聞きました。
「はい。朝から15時までガソリンスタンドで勤務して、業務が終わったら、西白島の本社にある体育館に集まって、16時半から練習しています。」
―本社ビルの中に練習場があるそうですが、かなり珍しいのではないでしょうか。
「そうですよね。たぶん、他のチームではなかなかない環境だと思います(笑)。専用体育館は社屋最上階の4階にあるのですが、普通の体育館のような感じです。会社全体で応援してくださっていて、ホームゲームの日は社員のみなさんも応援に来てくださいます。」
どの選手でも、どこからでも打てる多彩な攻撃方法に注目!
―バレーボールの魅力は、どんなところですか?
「バレーボールは『どちらが先にボールを落とすか』という競技で、ボールを落としてしまうと相手チームのポイントになってしまうので、コートに入っている6人の選手が連携してプレーすることが大切です。特に女子の試合ではラリーが長く続くので、その長いラリーの末に点数が入ったチームの盛り上がりが魅力かなと思います。観戦される時は、ラリーの攻防を楽しんでもらいたいです。」

―連携する際には、声を掛けあったりもするのでしょうか?
「はい。チームのアナリストがデータを分析してくれて、試合前ミーティングで相手チームごとの対策や戦略について話をするので、それをもとにゲーム中にも声かけをします。声で相手に圧をかけることも、私たちリベロの仕事のひとつです。ラリー中に『ここをマークしよう』とか、攻撃の時はスパイカーが思い切りスパイクを打ち込めるように、トスが上がっているスパイカー以外の選手は全員がフォローに入るよう『フォロー!』と声をかけたり。レシーブももちろんリベロの大事な役割ですが、それだけではないので、そこも含めてしっかり頑張りたいと思っています。」
―試合中はリベロの選手から飛ぶ声も要チェックですね。伴選手のプレーで、特に見て欲しいのはどんなところですか?
「私は“レセプション”といって、相手のサーブを受けるサーブカットを得意としているので、そこに注目してもらいたいです!」
―リベロの選手はユニフォームの色が他の5人と違うので、バレーボールを初めて観戦する人でも見つけやすいですね。では、『オイラーズの試合は、ここに注目したらより楽しめる』というポイントはありますか?

「試合全体としては、先ほどお話しした通り、ラリーを楽しんで欲しいのがひとつ。チームとしては4月からの新チームになり、今シーズンは新しいことにチャレンジしているところです。『どの選手でも、どこからでも打てる攻撃』方法を掲げて、全員で取り組んでいます。オイラーズは平均身長があまり高くなく、一番背の高いスパイカーでも173m程度です。高さに頼れない分いろいろな攻撃ができるように準備してきたので、今シーズンはそういう点でも楽しんでいただけると思います。26歳の私が一番上という、若いチームなのもオイラーズの特徴の一つです。」
―新シーズは10月18日に開幕します。意気込みをお聞かせください。
「初戦はアウェーで『リガーレ仙台』というチームと対戦します。まずはこの開幕戦向け集中して練習に取り組んでいるので、初戦を絶対に白星で飾りたいと思っています。」
―ホーム開幕戦は、3節目になりますね。
「はい。11月1日、2日は猫田記念体育館で今季最初の試合を行います。毎年ホームゲームは広島県民のみなさんや大野石油店の皆さんも来てくださって、ファンのみなさんが一番近くで応援してくださいます。今シーズンも客席のみなさん一緒に、全員で戦いたいなと思います。」
―その一員になるには、どうしたらいいですか?
「チケットサイトで前売券を買っていただくか、試合会場でも当日券を販売する予定なので、ぜひオイラーズのホームページをチェックしてみてください。会場では応援用のハリセンが配られるので、それを使って応援していただけるとうれしいです。タオルやTシャツなどのグッズも会場で売っています。応援の声はコートにいる選手のところまで聞こえているので、ぜひ、試合会場で声援を送ってください!」
―開幕戦、楽しみにしています。
「ありがとうございます。頑張ります!」
伴千尋選手が語る!『バレーボールのツボ』
選手6人が連携して凌ぐラリーの攻防と、その末に得点した時の盛り上がりがツボ!
伴千尋(ばん・ちひろ)
Chihiro Ban

1999年7月16日生、東京都新宿区出身。身長157cm。小学4年生のときバレーボール教室を経てクラブチームで競技をスタートし、東京立正中学時代からリベロとして活躍。東京都大会ではチームの初優勝に貢献し、関東大会や全国大会にも出場した。松蔭大学では1年時に全日本インカレで3位を経験し、2022年、大学卒業と同時に広島オイラーズへ入団した。在籍4年目の今年は、最年長選手の1人としてチームを引っ張る。
◆チーム情報/広島オイラーズ
1993年、大野石油スポーツクラブとして創部。1994年から地域リーグに出場し、2003年から旧V1リーグに昇格。2018年からはVリーグ・ディビジョン2、2024年からは新設されたトップリーグ・SVリーグの下部リーグであるVリーグに参戦している。サーブで相手を崩して自分達のリズムを作り、速いコンビを展開するバレーを身上としてきたが、今季は、誰でも、どこからでもスパイクを打てる攻撃的スタイルに挑戦している。