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取材記事
スポーツのツボ ~アスリートが推す『観戦を10倍楽しむコツ』~【第6回】自転車ロードレースチーム・ヴィクトワール広島・久保田悠介(くぼた・ゆうすけ)
プロ野球、Jリーグ、Bリーグをはじめ、多くのトップスポーツチームが活躍する広島県。スポーツの持つ力で県民を盛り上げようと立ち上がったのが、広島横断型スポーツ応援プロジェクト『Team WISH』です。Team WISHは、広島のトップスポーツチーム・アスリートの魅力を発信し、スポーツを通じて広島の皆さんにワクワクを届けるため、日々、競技・チーム・選手の魅力を発信しています。
本連載では「Team WISH」の25チームの選手・関係者がおすすめする、「ココさえ押さえておけば、初めての観戦でも楽しめる!」、そんな観戦ポイントをご紹介します!アスリートの目線で語られる、新たなスポーツの楽しみ方。観戦が10倍楽しくなる『スポーツのツボ』をぜひ覗いてみてください。

連載6回目の今回は、7月に地元・広島でのレースを控えているプロ自転車ロードレースチーム・ヴィクトワール広島から、久保田悠介(くぼた・ゆうすけ)選手が登場します。食品会社での営業職を経てプロ入りした異色の経歴を持つ、チーム在籍4年目の久保田選手に『自転車ロードレース観戦を10倍楽しむツボ』を聞いてきました!
タイプの違うレースを生観戦できる2日間。間近でスピードと迫力を体感して
―大学卒業後、一度は競技を辞めて就職し、2年半後に復帰してプロ転向されたそうですね。久保田選手にとって、自転車ロードレースの魅力はどんなところですか?
「自由な感じがするんですよね。例えばサッカーや野球はスタジアムがあって、練習場所もある程度は決まっていると思うんですけど、自転車は道路が練習場。どこでも練習できるし、普段は行かないような山の中に行って自然を感じることもできます。カロリー消費量が大きいので途中で補給食を食べながら練習するんですが、コンビニエンスストアに寄ったり、たい焼き屋さんがあったら寄ってみたり……そういう身軽さ、自由さが好きですね」

―観戦する場合の魅力はどんなところだと思われますか?
「自転車ロードレースは観戦無料です。しかも、フェンスを挟んですぐという近さで見られるので、選手が通り過ぎる風や音を直に感じられて面白いと思います」
―7月5・6日に開催される広島大会は、各日、タイプが違うレースが行われます。それぞれの見どころを教えてください。
「5日の広島三原ロードレースは、広島空港に隣接する広島県立中央森林公園が会場です。距離が約160kmと長く、アップダウンが激しいコース。全国から約20チームが集まり、かなり激しいレースになることが予想されます。一周ごとにリタイヤする選手が出て、どんどん人数が減っていくサバイバルな戦いになると思いますが、ただ生き残るだけでなく、勝負を仕掛けあいながら走っているので、現地で応援してもらえたら僕たちも頑張れますし、皆さんも楽しんでもらえると思います」
―おすすめの観戦スポットはありますか?

「コースの途中に『三段坂』と呼ばれる上り坂があるんですが、個人的にはそこがおすすめですね。勝負どころなので、相手を出し抜くためにアタックをかける選手も多いですし、上りなので必然的に速度が遅くなって、より選手の表情もよく見えます。いろいろな意味で、臨場感があって面白いのかなと思います」
―6日の広島クリテリウムはどうでしょうか。
「会場が西区の商工センターなので、市内中心部から近くて交通の便もいいのが魅力の1つです。キッチンカーなどもたくさん出店して、お祭り感覚というか、雰囲気も楽しいと思います。レースは、前日の三原が12.3kmを13周するのに対して、クリテリウムは1周1.7kmのT字型コースを25周するので、何度も選手が目の前を通ります。観戦場所を移動しながら、コーナー付近に行ってみたり、ホームストレートでスピード感のある走りを見てみたりと、色々な見方ができるのも面白いかもしれません」
―レースでは、どれくらいのスピードで走るのですか?
「三原のロードレースでは、上りは20km/h、下りは危険なので近くでは観戦できませんが、80km/hくらいかな。クリテリウムは、スピードが出やすい直線で60km/hくらいだと思います」
―自転車とは思えない速さですね!怖くないんですか?
「そうですね。怖いと感じることはありません」
日本一を目指して戦うチームの熱量を直に感じて、熱く応援してほしい
―ヴィクトワール広島の注目ポイントは、どのあたりでしょうか。

「三原のロードレースは上りがメインの長距離レースなので、僕個人としては、上りに強いベンジャミン・ダイボール、エリオット・シュルツの2人、そしてレオネル・キンテロが、他チームのエース勢を崩すために上り区間でたくさんアタックをしてくるのではないかなと予想しています。そのあたりが見どころの1つになるのではないかなと。クリテリウムは、最終コーナーを抜けたあと、ゴールまでのスプリント勝負が一番面白いと思いますが、そこに向けてチームとしてどう戦略的にレースを組み立ていくか、その伏線がポイントです。孫崎大樹が今年5月にJクリテリウムツアーの宇都宮大会で優勝して、今、ランキング2位につけているんです。1位の選手との差はわずか10ポイントなので、広島大会で優勝して、逆転してほしいです」
―2日連続の優勝も期待できそうですね。久保田選手はその中でどんな役割を?
「自転車ロードレースは、チームで連携しながら位置取りや駆け引きを繰り返し、レース終盤から本格的な勝負に入っていきます。三原は個人的には好きなコースなので、なるべく終盤まで余力を残して、最後の勝負どころでエース選手をしっかりアシストしたいです。チームとして勝つために、自分が犠牲になるような走りをしたいと思っています。もちろん、展開によっては自分が勝ちを狙うことになる可能性もゼロではありません。今季は所属選手全員が力をつけていて、誰でも勝負できるような状況なので、展開次第ですね」

―レース会場では、どのように応援すればいいですか?
「チームカラーであるオレンジ色を身につけてもらえると、応援していただいていることが分かりやすくて力になります。声援もよく聞こえるので、声を出して応援していただけると嬉しいです」
―広島大会を終えるとシーズンも後半戦に入っていきますが、今季の目標は?

「日程が重なったら海外のレースを優先して国内戦を回避することもあり、実力があっても日本一を取ることは難しいんです。それもあって開幕当初は日本一を目標に掲げてはいなかったんですが、今年は色々なことがうまくハマって、現時点で国内リーグのチームランキング2位にいます。なので、チーム内は『狙っていこう』というムードになっていますね」
―日本一ですか。それは楽しみです。最後に、読者の皆さんへメッセージをお願いします。
「国内リーグと国際レースを合わせると年間30〜40レースに出場しますが、広島でのレースは7月のこの2日間だけなので、ぜひ現地で応援していただきたいです。日本一を目指して戦っているチームの熱量を感じていただき、熱く応援してもらったら嬉しいです」
久保田悠介選手が語る!『自転車ロードレースのツボ』
選手が通り過ぎる風や音を感じられるほど、超・目の前で観戦できるのがツボ!
久保田悠介(くぼた・ゆうすけ)
Yusuke Kubota

1997年2月28日生、大阪府出身。関西大学在学中に自転車競技を始め、一度は引退して就職したが、2年半後にプロを目指して競技復帰。大学時代のツテをたどって広島へ。競技者としてのキャリアは短いものの、プロ入り後はメキメキと実力をつけて存在感を増している。トレードマークのメガネと上りが得意な脚質から、人気マンガ『弱虫ペダル』の主人公・小野田坂道になぞらえて“リアル坂道くん”と呼ばれることもある。
◆チーム情報/ヴィクトワール広島
2015年に誕生した中四国初のプロ自転車ロードレースチーム。 国内最高峰のプロリーグ「Jプロツアー」および「Jクリテリウムツアー」に参戦している。また、UCI(国際自転車競技連合)にも登録して国際レースにも出場。毎年7月に開催されるホーム戦は長距離のロードレースと比較的短距離の周回レース・クリテリウムから成り、一昨年はロードレース、昨年はクリテリウムで地元Vを実現。今年は悲願の両日制覇を目指す。