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『継承』と『革新』を掲げ、新生ドラゴンフライズがついに始動!チームを率いる新指揮官・朝山正悟ヘッドコーチが新シーズンへの意気込みを語る

クラブ誕生10年目の節目に、リーグチャンピオンに輝いた広島ドラゴンフライズ。
2013年の創設以来、苦しい時期もありながら、徐々に広島の地に根付き多くの人々に愛されてきた。ディフェンディングチャンピオンとして、さらに注目が高まる2024-25シーズン、クラブの指揮を執るのは、広島県民から『ミスター・ドラゴンフライズ』として愛された朝山正悟氏だ。新ヘッドコーチに、開幕を目前に控えたシーズンへの意気込みを聞いた。

◆朝山ヘッドコーチ(HC)率いる新生・広島ドラゴンフライズ、いよいよ始動!

―今シーズンは、7月28日の福山合宿からチームが始動しました。

「合宿の時点では外国籍選手が合流しておらず、寺嶋良とロバーツケインがけがで離脱しているので少ない人数ではありましたが、今シーズンやっていきたいことを共有しながら、非常にいい形で、ハードにやれたと思います。選手もスタッフも新しい仲間が加わってくれ、一人一人がしっかり役割を遂行してくれています。チームの雰囲気は非常にいいですね」

―以前、岡崎GMが2024-25シーズンのテーマは『継承』と『革新』だとおっしゃっていました。昨季から引き継いでいくもの、新しくしていきたいものなど、現時点での朝山HCの構想をお伺いできますか。

「ディフェンスの強度といった自分たちの良さは、今シーズンも変わらず継承していきたいと思っています。ただ、昨季のレギュラーシーズンは終盤になるにつれて良いチームに仕上がってきたものの、一方で、接戦を落としたゲームが何試合もありました。それをなくすには、『選手たちが自分たちで判断してプレーする』ということが必要だと思っています」

―選手一人ひとりの自主性を高めていく、ということですか。

写真は2023-24シーズン撮影

「そうですね。『今シーズンに向けて』という短期的な面だけでなく、自分の財産として今後のバスケットボールキャリアで生かしていけるような、長いスパンのビジョンを持って取り組んでほしいと思っています。僕もそうだったように、選手たちには少しでも長くキャリアを積んでほしいですから。戦術的な面では、試合のペースを速くしてスピーディーな展開にしていきたいという思いもあります。今、日本代表がやっているバスケットボールも意識しながら取り組んで、チームから代表に選ばれる選手がもっと出てほしいと思っています」

―これまでチームメイトだった選手たちと、HCとして接するのは違和感がありますか?

「僕自身は、そこまで感じていません。もちろん難しい部分もあるかもしれませんが、選手として一緒にやってきたからこそ、それが強みになる部分もあると思っています。お互いの人間性や得意なこと、やりたいことがわかっていたり、円滑にコミュニケーションを撮ることができたり……。そうした強みの部分は、どんどん活かしていけたら良いですね」

―ブースターのみなさんも、『ミスター・ドラゴンフライズ』と呼ばれた朝山さんのHC就任に期待されていると思います。

写真は2023-24シーズン撮影

「ありがたいですね。ブースターのみなさんの期待は、本当に大きな力になります。引退してすぐHCに就任することに対して『不安だ』という声も多く耳にしましたが、今までのキャリアの中で、不安やプレッシャーのないシーズンは一度もありませんでした。立場や役割は変わっても、クラブに対する思いやバスケットボールに対する情熱という、根本的な部分は何一つ変わりません。どんな状況もやりがいに感じて楽しさを生み出していきたいし、みんなでまた一つひとつ積み上げていけたらいいなと思っています」

◆今季もチャレンジャーとして、「最高の景色」を目指す

―今シーズンはHCに加え、8月には広島市内の大学で特任教授にも就任されました。寝る間もない忙しさなのではありませんか。

写真は2023-24シーズン撮影

「僕自身、バスケットボールに育てられ、成長させてもらった恩があります。自分がすることで、バスケットボール界や広島ドラゴンフライズのためになることがあるのなら、ぜひチャレンジしたいと思って引き受けさせていただきました。もちろん、まずはHC業に全力を注ぎますが、そのせいで別の何かがおろそかになるという感覚はありません。HCも特任教授も、どちらも全力です。個人的には、常に『120%』でいたいんです。体力には限界がありますし、体が資本の職業なのでバランスも考えなければいけませんが、思いとしては一睡もせずにやりたい(笑)。チャレンジせずに、『できる、できない』を自分の中で決めたくないんですよね。これまでの自分のキャリアの中でも、『普通はできない』、『無理でしょ』と言われることは何度もありました。その言葉に立ち向かうことが、原動力になっていたという部分もあります。あまのじゃくというか、負けず嫌いなところがあるんでしょうね(笑)」

写真は2023-24シーズン撮影

―専任HC一年目となるシーズンですが、改めて、今シーズンへの思いを伺えますか。

「僕たちがチャレンジャーであることは変わりません。これから本当の強豪クラブになっていくためには、もっと一体となっていかなければいけないと思っています。シーズンを通して良い時も悪い時もあると思いますが、自分たちがやっていること、これから成そうとしているものを全員が信じ、そこから自分や仲間を信じて、お互いの信頼関係をしっかり構築していきたいです。失敗もあると思いますが、苦しい時こそ僕が先頭に立って、どんな時も前を向く姿勢を出していけたらなと思います」

―最後に、広島県民のみなさんにメッセージをお願いします。

「日頃からドラゴンフライズへの温かいご声援をくださるみなさんには、感謝の気持ちでいっぱいです。僕たちにとって、とても大きな力になっています。またみなさんと一緒にあの最高の景色を見れるように頑張っていきますので、今シーズンもぜひ一緒に戦ってください。よろしくお願いします!」


朝山正悟(あさやま しょうご)
 Shogo Asayama

1981年6月1日生、神奈川県出身。ポジションはSG(シューティングガード)/SF(スモールフォワード)。早稲田大学を卒業後、日立サンロッカーズ(現・サンロッカーズ渋谷)、オーエスジーフェニックス(現・三遠ネオフェニックス)、アイシンシーホース(現:シーホース三河)などを経て、2015年から広島ドラゴンフライズに加入。長くキャプテンとしてチームをけん引してきた。チームとともに歩む姿はブースターから『ミスター・ドラゴンフライズ』と呼ばれ親しまれた。2023-24シーズン限りで現役を引退。オフに、2024-25シーズンよりヘッドコーチ就任が発表された。

◆チーム情報/広島ドラゴンフライズ
広島初のプロバスケットボールクラブとして誕生。初代ヘッドコーチに佐古賢一氏を迎え、2014年にNBLへ参入した。2016-17シーズンからは新たに開幕したB.LEAGUEに参戦。初代所属選手には、朝山正悟、竹内公輔(現・宇都宮ブレックス)、北川 弘(現・島根スサノオマジック)、坂田 央(現・愛媛オレンジバイキングス)ら。現GMの岡崎修司、スリストム広島(3×3プロバスケットボールチーム)代表の仲摩匠平も創設期のメンバーである。2023-24シーズンはワイルドカードからチャンピオンシップに進出し、クラブ初となる優勝を果たした。2024-25シーズンからは、昨シーズン限りで引退を発表した朝山がヘッドコーチに就任した。