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新リーグ「リーグH」開幕!男女ハンドボールチームキャプテンへ競技の魅力に迫る!

広島県で活動するスポーツチームの見どころ、トピックスを、前後編に渡って紹介するスペシャル連載。今回は、新リーグ「リーグH」の開幕で注目を集める男子ハンドボールチーム『安芸高田わくながハンドボールクラブ』、女子ハンドボールチーム『イズミメイプルレッズ広島』から、後藤 悟(ごとう さとる)選手と三橋未来(みつはし みき)選手が登場する。同学年でもあり共にキャプテンを務める2選手が、ハンドボールの魅力、お互いのチームの印象を語り合う!(前編)

安芸高田わくながハンドボールクラブ・
後藤 悟選手
イズミメイプルレッズ広島・
三橋未来選手

◆広島を拠点とする男女ハンドボールチーム、それぞれの魅力とは

―本日は、広島県を本拠地として活躍されるハンドボールチームから、それぞれキャプテンにお越しいただきました。同じハンドボールという競技ですが、後藤選手と三橋選手は、普段から面識があるのでしょうか?

後藤「そうですね……。どうですか、三橋選手(笑)」

三橋「ない……わけではないと思います(笑)。学年も一緒なので、以前から後藤選手の存在は知っていました。大学時代から目立っていたので」

後藤「すみません。僕が三橋選手を知ったのは、安芸高田わくながハンドボールクラブ(以下、わくなが)に加入してからです……」

三橋「(笑)」

―絶妙な距離感ですが、逆におふたりの仲の良さを感じられるような気もします(笑)。お互いの試合を観に行かれることはあるのですか?

三橋「私は、わくながさんの試合を何度か観に行かせていただいたことがあります」

後藤「僕も同じですね。基本的にハンドボールは男女のリーグの開催期間が同じなので、頻繁に観に行くのは難しいんです。試合日が重なっていなくて、広島開催の試合があれば、観に行かせていただいています」

―お互いのチームの印象はいかがですか。

三橋「広島でハンドボールといえば、わくなが!という感じで、すごく伝統のあるチームだなという印象です」

後藤「僕は大分県の出身で、大学は大阪体育大学だったので、広島に来たのはわくながに加入してからです。その頃のイズミメイプルレッズ広島(以下、メイプル)さんは毎年プレーオフに出ていて、逆にわくながはプレーオフから遠ざかっていた時代だったので、すごく強いチームだなと思って見ていました」

―では逆に、自チームの良いところはどんなところでしょうか。

三橋「私たちは広島市内で活動しているので、イズミという会社を通じてお客様にも知ってもらえるきっかけやイベントに参加させていただく機会があるのは自慢できることの1つだと思います。チームとしては、去年、酒巻監督が就任されて、今までのメイプルとはまた違ったハンドボールを表現できるように練習しているので、これから新しい部分もたくさん見ていただけると思います」

後藤「勢いに乗った時や雰囲気がいい時のプレーがすごく良くて、そうなったらどんなチームでも簡単には止められないと思います。あとは『速攻』ですね。2年前ぐらいから速攻の練習をかなりしてきたので、そこを見て欲しいです」

◆サイドシューターは得点を決めるのが仕事。スピード感とタイミングがカギを握る

―速攻は見応えもありますし、盛り上がりますよね。では、ハンドボールという競技自体の魅力はどんなところだと思われますか?

後藤「ハンドボールは、『走る・跳ぶ・投げる』というスポーツの3大要素が詰まっているといわれます。体と体がぶつかり合う『コンタクトスポーツ』という一面もあり、『正面からであれば、どれだけ強く相手と接触しても良い』というところも魅力だと思っています。選手同士の接触は、見慣れない方からすると少し怖く感じるかもしれませんが、激しさの中の展開の速さは、ハンドボールならではの魅力だと思います」

三橋「私は、『ボールがないところでの駆け引き』にもぜひ注目してもらいたいと思います。『シュートを決める』や『ディフェンスで守る』というところに注目する方が多いと思いますが、試合全体を見てみてもらえると、スピーディな展開の中にも様々な駆け引きが見られるので、より深く楽しんでもらえるのではないかと思いますね」

―おふたりともポジションは右サイド(RW)で、特にスピード感があって攻撃の要になるポジションだと思います。RWの面白さはどんなところでしょうか。

三橋「サイドシューターなので、『シュートがどれだけ入るかでチームの流れが変わる』というポジションだと思います。1本でも多くシュートを決めるにはどうしたら良いかを常日頃から考えて研究しているので、ゴールキーパーとの勝負を見ていただけたらうれしいですね」

後藤「サイドシュートに対する考え方は僕も一緒です。最後にシュートを打って決めるか決めないか、というポジションなので、どれだけ得点の確率を高くしていけるかが大事だと思っています。飛び出しの速さとかスピード感は、常に意識していますね」

三橋「私は右利きのRWで、後藤選手は左利きのRW。利き手は違いますが、シュートを決めるという役割は同じですよね」

後藤「利き手の話でいうと、三橋選手のような右利きのRWは珍しいんじゃないですか?」

三橋「そうですね、珍しいと思います」

後藤「『本来は右利きの人』がコートの右側からシュートを打つシチュエーションって、なかなかないんですよね。ゴールに対する角度が全然違うので、すごく難しいと思います」

三橋「難しいですね。角度の取り方一つでキーパーに止められてしまうので、飛ぶタイミングを変えたり、同じ飛び方でもタイミングをずらしてシュートを打ったり。毎試合、シュート打つたびにタイミング、飛び方、角度を調整しています」

―そこを日頃から研究されているんですね。RWならではの『あるある』はありますか。

後藤「あるあるですか……」

三橋「難しいですね。後藤選手、何かありますか(笑)」

後藤「うーん……『タイミング』ですかね。ある程度、自分のタイミングで飛ぶことができれば、狭い角度でもシュートは決められるんです。自分の飛び込みのタイミングがドンピシャでハマれば、あまりシュートは外れません。『タイミングが重要』。これはサイドシューターならではのあるあるかもしれませんね。右利きの場合はどうですか?」

三橋「私も同じですね。パス一つで、自分の走り込むタイミングも変わってきます。ただ、パスを出す側も『自分がシュートするんだ』という気持ちで狙いに行っていますから、走り込むタイミングは難しいんです。自分がシュートを打ちに行くのか、味方にパスを出すのかという判断一つで飛び込みのタイミングも変わってくるので、そこはチーム内で連携が取れるように、練習を重ねています」


後藤 悟
 Satoru Goto

1996年2月26日生、大分県出身
小学1年からハンドボールを始め、大阪体育大学では西日本学生ハンドボール選手権大会で最優秀選手賞に選出された。2018年、ワクナガレオリック(現:安芸高田わくながハンドボールクラブ)に加入し、同年、ハンドボール男子日本代表U−24チームに選出され銅メダル獲得に貢献。2019年から1年間、ワクナガからの出向でドイツのライン=ネッカー・レーヴェン2に所属。今季も引き続き、キャプテンに就任することが発表された。

◆チーム情報/安芸高田わくながハンドボールクラブ
1969年、湧永製薬を母体として創部された男子ハンドボールチーム。1976年から日本ハンドボールリーグに参戦。以来、一度も降格せず1部に所属し続ける強豪チームである。1983・1990年には、リーグ優勝・日本選手権優勝・社会人選手権優勝・国体優勝のグランドスラムも達成。全日本選手権で7連覇を達成するなど、男子ハンドボールチームの盟主として活躍している。


三橋未来
 Mitsuhashi Miki

1996年3月2日生、東京都出身
中学からハンドボールを始め、高校はインターハイ4度の優勝を誇る女子ハンドボールの強豪・佼成学園女子高校に進学。東京女子体育大学時代の2014年には日本代表U−18に選抜された。翌2019年からは2年連続で女子ジュニアアジア選手権U-19日本代表に選抜されている。東京女子体育大学の4季連続優勝に貢献し、自身も最優秀選手賞を受賞。2018年、日本ハンドボールリーグの広島メイプルレッズ(現:イズミメイプルレッズ広島)に加入した。

◆チーム情報/イズミメイプルレッズ広島
1993年、イズミ女子ハンドボール部として創部。創部3年目の1996年にリーグ初優勝を果たすと、1998年からは日本ハンドボールリーグで7連覇を達成。2001年にクラブチーム化すると、2004年には女子では3チーム目となるグランドスラム(四冠)(リーグ優勝・全日本実業団ハンドボール選手権大会(現:全日本社会人ハンドボール選手権大会)優勝・全日本総合選手権優勝・国体優勝)を成し遂げた。2019年に再び実業団チーム化。2024年、ハンドボール新リーグ『リーグH(エイチ)』の発足に合わせて、チーム名を『イズミメイプルレッズ広島』とした。