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My Turning Point~広島アスリートが語る転機の物語~
【第7回】広島ガスバドミントン部・新見桃芭選手
新たなスポーツの楽しみ方を提供する、広島横断型スポーツ応援プロジェクト、通称『Team WISH』。プロ野球やJリーグをはじめ、数多くのトップスポーツチームを有する広島県ならではの取り組みとして、日々、各チーム・選手の魅力を発信している。
本連載では、Team WISHに参加する全25チームの選手・関係者に、「自身にとっての『ターニングポイント』とは」をインタビュー。
競技や人との出会い、試合やできごと、忘れられない「あの日」、誰かの言葉……競技人生に影響を与えた転機をめぐる物語から、選手の新たな一面にフォーカスしていく。
連載第7回は、広島ガスバドミントン部の新見桃芭(にいみ ももは)選手が登場。山口県の強豪校・柳井商工高校で強い先輩たちに揉まれて力をつけた新見選手は、全国高校選抜やインターハイで結果を出し、実業団入り後も1年目から全国大会で存在感を示している。19歳ながら濃密な選手人生を送る新見選手に、今につながるいくつかのターニングポイントを聞いた。
◆厳しい練習とトレーニングをやり遂げ、大会で結果を出して大きな自信に
―まず初めに、新見選手がバドミントンに出会ったきっかけから教えてください。
「兄がバドミントンをしていたのが、最初のきっかけですね。本格的に始めたのは小学2年生の時で、当時は水泳もしていたのですが、両立が大変だったのと、だんだんバドミントンの方に熱が入っていって……。『バドミントンだけで頑張りたい』という気持ちが強くなってきて、4年生の時に水泳をやめて、そこからバドミントン一筋でやってきました」
―バドミントンのどんなところに魅力を感じたのですか?
「テレビでプロの試合を見た時に、ラケットにシャトルが当たる音や、1つ1つのショットに駆け引きがある点がすごく魅力的に感じました。最初のうちは全然シャトルがラケットに当たらなかったんですけど、何回も打っていくほどにちゃんと当たるようになって、その快感からバドミントンが好きになりました」
―当時は、どこかのチームやクラブに所属して練習していたのですか?
「私は山口県の出身なのですが、小学生の時は、地元の『花岡ジュニアバドミントンクラブ』というチームに所属していました。中学・高校では、学校の部活動に所属していました」
―小学生の頃からとなると、かなり長いキャリアになりますね。学生時代に、バドミントンを続ける上で転機になるような出来事はありましたか?
「実は中学3年生までは、なかなか大きな結果を出すことができなかったんです。高校は、山口県でもバドミントンの強豪と言われる柳井商工高校に進みました。2年生の時に出場した高校選抜とインターハイの団体戦で優勝できたこと、個人としても高校選抜で準優勝できたことが、一つのターニングポイントだったと思います」
―大きな大会で結果が出せたことで、新見選手の中に変化が生まれたのでしょうか。
「そうですね。私自身の中でも大きな自信になりました」
―それまではなかなか結果を出せていなかったということでしたが、高校に入って結果が出るようになった要因は、何だと思いますか?
「柳井商工は昔から強豪校で、バドミントン部の先輩も私より強い人ばかりだったので、強い人としっかり練習をしていくことが自分自身の成長につながったと思っています。毎日の練習やトレーニングはとても厳しいものでしたが、諦めずに最後までやり遂げることができたので、それが力につながっていったのかなと思います」
―新見選手は高校卒業後、広島ガスバドミントン部に入部されました。広島ガスに入られた経緯は?
「正直、実業団に行くか大学に行くかで迷っていたのですが、広島ガスの当時の監督から声をかけていただいて、まずは練習に参加することになったんです。実際に参加してみるとチームの雰囲気も良く、みんなが練習に切磋琢磨して取り組んでいる姿がすごく印象的で、『私もこのチームで一緒に頑張りたい』という思いで入部を決めました」
―実際に入ってみて、どうでしたか?
「先輩方みなさんが優しく接してくれたのですぐチームになじめましたし、楽しく練習ができる良いチームだと感じました」
―新見選手は県外出身の出身ですが、広島という街の印象はいかがですか。
「広島は観光地も多くて魅力的ですし、野球やサッカーだけでなく、たくさんのプロスポーツチームがあるところにも、すごく良い印象がありますね」
◆憧れの全日本総合選手権初出場で掴んだ、最終目標までの距離と手応え
―今年で入部2年目ですが、記憶に残るような試合などはありましたか?
「バドミントンには、『全日本社会人バドミントン選手権大会』という全国大会があるんですが、社会人1年目に混合ダブルスでベスト8に入賞して、日本代表選手も出場する『全日本総合バドミントン選手権大会』に初出場できたことが、とても思い出に残っています。全日本総合は私にとって憧れの舞台だったのでワクワクする気持ちもありましたが、すごく緊張もしましたし、強い人たちばかりの中で勝つことの難しさを痛感した大会になりました」
―その経験を経て、新見選手の中で変化したことはありますか?
「全日本総合では広島ガスの先輩である山藤千彩さんと志波寿奈さんがベスト8に入賞しました。その姿を間近で見ていたので、私も次こそはあのコートに立って戦いたいと強く思いましたし、『自分もあのコートに絶対に立てないわけじゃないんだ』と改めて感じる機会にもなりました。そこからは練習への意識もさらに高まり、質をより求めるようになりました」
―頼もしいですね。新見選手ご自身は、自分自身の選手としての魅力はどんなところだと感じていますか?
「私はラリーでつないで得点を重ねていくタイプなので、粘り強さが特徴の一つだと思っています。あとは、ダブルスの前衛を得意としているので、前衛でのスピードも見てほしいですね」
―11月2日には、バドミントンS/Jリーグの開幕戦が山口市で開催されます。
「はい。維新百年記念公園内の維新大晃アリーナで、ヨネックスと対戦します。観戦チケットの購入は必要ですが、どなたでも観戦していただけます」
―初めてバドミントンの試合を観戦する人に、見どころや魅力を教えてください。
「バドミントンは一人ではできないスポーツです。ネットを挟んで対面で戦うので、対戦相手の気持ちを読んで、どこに打つかが大切になります。そういう駆け引きの楽しさが、バドミントンの魅力の一つではないかと思います」
―スピード感や駆け引きも、バドミントンの魅力の一つなのですね。では最後に、今後に向けて新見選手の目標をお聞かせください。
「私の最終目標は、全日本総合でベスト8以上に入って、日本代表に選ばれることです。そのためには1つ1つの大会で結果を出していかなければならないので、まずはどの大会でも後悔のないように、しっかり全力を出し切ることが大事だと思っています」
―ご活躍を楽しみにしています。
「ありがとうございます。頑張ります!」
新見桃芭選手の【My Turning Point】
☆ 高校2年生の高校選抜での団体Vと個人準V、インターハイ団体Vが大きな自信に
☆ 前監督に声をかけられ、大学進学の道を捨て広島ガスバドミントン部入りを決めた
☆ 全日本社会人バドミントン選手権大会の混合ダブルスベスト8で、憧れの全日本総合バドミントン選手権を初経験。目標達成への手応えを感じた
新見桃芭(にいみ ももは)
Momoha Niimi
2005年3月21日、山口県出身。
ダブルスでは前衛を得意とする。山口県立柳井商工高校2年時の2022年、全国高校選抜で団体優勝、個人準優勝を飾り、インターハイでも学校対抗優勝に貢献した。卒業と同時に広島ガスバドミントン部に入部し、1年目の2023年、全日本社会人選手権の混合ダブルスでベスト8。国内最高峰の大会である全日本総合選手権への初出場を果たした。日本代表入りという最終目標に向けて、さらなる成長と飛躍を期す19歳。
◆チーム情報/広島ガスバドミントン部
1995年創部。全国から強豪選手が集まり、2007年には中国地区実業団バドミントン選手権大会で11連覇を達成した。『このまち思い』をスローガンに、地域貢献活動も活発に行う。現在は、前身の『日本リーグ1部』から続いて開催されている国内最高峰リーグ『バドミントンS/Jリーグ』に参戦している。2024年シーズンは11月2日開幕予定。