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日本代表に6選手が選出!パリ五輪でメダルを目指す、女子ホッケーチームの強さの秘密に迫る

いよいよ7月27日から始まるパリ五輪。陸上、水泳、サッカーなど、各国を代表する選手たちによる、世界一の座をかけた戦いの幕が切って落とされる。6大会連続出場となるのが、女子ホッケー日本代表『さくらジャパン』だ。コカ•コーラレッドスパークスからは、8名の選手が日本代表に名を連ねた。前回大会から引き続き代表入りを果たしたMF・尾本桜子(おもと さくらこ)選手(山口県出身)に、世界の舞台へ挑む思いを聞いた。

スイッチが入ると、周りの人が引くくらいガンガン行きます

ーパリ五輪日本代表選出、おめでとうございます。まずは尾本選手がホッケーを始められたきっかけから教えてください。
「小学生の頃、妹が友達に誘われてホッケーを始めた時に、私も一緒に始めたのがきっかけです。当時、私は小学6年生で、妹は4年生でした。私は山口県の出身なのですが、その頃住んでいた玖珂(くが)という町には小学生のホッケークラブチームがあって、周りにもプレーしている子はいたので、抵抗なく始められました」

ー妹さんと一緒にホッケーを始めたのですね。実際にプレーしてみた感触はいかがでしたか?
「ホッケーは『スティック』という長い棒状の道具でボールを操作するのですが、最初はそれがすごく難しくて、まったく思った通りに動かせませんでした。まずはスティックでボールを触ることに慣れるところから始まりましたが、逆にその難しさが面白かったですね」

ー妹の桃子選手も、大学卒業後は実業団チームで選手としてプレーされました。おふたりで切磋琢磨してこられたのですね。
「そうですね。最初のクラブチームから地元の玖珂中学校、山口県立西京高校、山梨学院大学と、ずっと一緒にプレーしてきました。妹は実業団の南都銀行SHOOTING STARSでプレーしたあと、今は地元の玖珂に帰って、私たちが小さい頃にお世話になったKUGAホッケークラブで指導しています」

ー桜子選手ご自身は、山梨学院大学を卒業後、現在所属しているコカ•コーラレッドスパークスへ入団されました。入団のきっかけは何だったのでしょうか?
「山口出身で広島は近かったので、コカ•コーラレッドスパークスは小さい頃から憧れのチームでした。私が入団した当時は監督がオーストラリアの方だったんですが、個人的には、海外の監督のもとでプレーできるところにもすごく魅力を感じていました。コカ•コーラレッドスパークスは選手もスタッフもみんなホッケーが好きな、すごく良いチームだと思います」

ーパリ五輪の日本代表『さくらジャパン』には、チームから内定6名、バックアップ2名と8名が選出されました。コカ•コーラレッドスパークスは『日本最強チーム』と言っても過言ではないのではないかと思いますが、チームは普段どんな雰囲気なのでしょうか。
「みんな熱いですね。試合の時とか、スイッチが入ると周りの人が引いてしまうくらい、みんなガンガン行くタイプだと思います」

ーもちろん、尾本選手もその一人ということですよね。
「そうですね。みんな真剣だからこそ、『私も一緒に頑張らなきゃ!』という気持ちになりますし、みんなが熱くなっているところに入ると、私自身も熱くなりますね」

ーホッケーの魅力、面白いところはどんなところだと思われますか?
「スピード感のある展開は、ホッケーの魅力の一つだと思います。例えばコートの反対側で相手に攻められていても、10秒あれば攻守が入れ替わって、逆にこちらが一点取れてしまう。そのくらいスピーディーな競技なので、そうしたスピード感は見ていて面白いポイントではないかと思います」

ーでは、尾本選手ご自身の『自分のここを見てほしい』というポイントはどんなところでしょうか。
「前に出るプレーと、ペナルティーコーナーの時に味方に綺麗にパスを出せるところですね」

ーペナルティコーナーとは、どのようなプレーですか?

「相手に反則があった時に与えられるセットプレーです。ゴールから9.14メートル離れた地点から『パッサー』がパスを出し、いったんサークルの外で完全に停止させてから、再びサークル内に入れてシュートするプレーです。得点につながる確率が非常に高いプレーで、このパッサーが重要な役割を担うのですが、私はパッサーを任されることが多いので、綺麗にパスを出せるところはぜひ見てほしいですね」

ーシュートの成否を左右する、重要な役割なのですね。
「はい。パッサーはセットプレーの一番初めにボールに触るので、大事な場面ではとても緊張します。今年は広島での大会が多いので、ぜひたくさんの方々に試合に足を運んでいただいて、そんなところも見ていただきたいと思います」

東京で痛感した不甲斐なさを大会後の練習で克服。いざパリへ!

ー2021年には東京五輪にも出場されました。五輪は、尾本選手にとってどのような舞台でしょうか。
「注目度も高いですし、すごく緊張する場所です。ですが、ホッケーはまだまだマイナーなスポーツなので、たくさんの人の目に触れる五輪の舞台は、一人でも多くの人にホッケーを知っていただける大切な場所なのではないかと感じています」

ー前回大会の東京五輪は、56年ぶりの自国開催でした(冬季五輪を除く)。東京五輪を振り返ってみて、いかがでしたか?
「私個人としては、正直『不甲斐ない』という思いの残る大会でした。代表チームでは一番年下ということもあって、先輩方に連れて行ってもらったという印象の強い大会で、パッサーとしても思ったような活躍ができませんでした。次の大会に向けてそこを強化しようと思って練習してきたので、パリではしっかり力になれるように頑張りたいと思います」

ー東京大会はコロナ禍ということもあり無観客での開催でしたが、パリ五輪は有観客での大会になりますね。
「360度観客に囲まれて試合をするのは、いったいどんな感覚だろう?という感じです。未知の感覚である反面、すごく楽しみでもあります」

ー7月28日、まずは世界ランキング3位のドイツとの対戦から『さくらジャパン』のパリでの戦いが始まります。意気込みを聞かせてください。
「チームとしての目標は、まず予選を突破することです。個人としては、チームのために『何か貢献できた』と自分の中に残せるような大会にしたいと思っています」

ーどのようなプレー、あるいは戦い方ができれば、その目標を達成できるでしょうか。
「日本チームは粘り強さがあるので、五輪でもそれを発揮して、みんなで守ってみんなで攻撃することと、個人としてはまず東京大会の時にできなかったペナルティコーナーのパスをしっかり出すこと、少しでも前にボールを運ぶプレーをすることが大事だと思います」

ー最後に、WEBマガジンをご覧になっている広島県民の皆さんへメッセージをお願いします。
「いつもあたたかい応援、ありがとうございます。パリでもしっかり結果で恩返しできるように頑張ってきたいと思っています。行ってきます!」


尾本桜子(おもと さくらこ)

Omoto Sakurako

1998年3月19日、山口県出身。
ポジションはMF(ミッドフィルダー)。地元・山口県立西京高校から山梨学院大学へ進み、2020年、卒業と同時にコカ•コーラレッドスパークスに入団。スティック捌きとスピードのあるドリブルが持ち味で、東京五輪に続いてパリ五輪でも日本代表に選ばれた。世界ランキング10位のさくらジャパンは、予選で同1位のオランダ、3位のドイツを含む5つの国と対戦する。初戦は7月28日10:00から。

◆コカ・コーラレッドスパークスホッケー部
1996年に創部した、広島市をホームグラウンドとする女子フィールドホッケー実業団チーム。2011年に日本リーグで初優勝を飾ると、2012年には日本リーグ・社会人選手権・全日本選手権で優勝し『三冠』を達成した。2022年にはホッケー日本リーグで2年ぶり5度目となる優勝、2023年には連覇を果たしている。パリ五輪では内定選手、バックアップ選手合わせて8選手が日本代表に選出。