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My Favorite Numbers
〜数字が紐解く広島アスリートの素顔 〜
【第24回】大野石油広島オイラーズ・中西杏実選手

新たなスポーツの楽しみ方を提供する、広島横断型スポーツ応援プロジェクト、通称『Team WISH』。プロ野球やJリーグをはじめ、数多くのトップスポーツチームを有する広島県ならではの取り組みとして、日々、各チーム・選手の魅力を発信している。

本連載では、Team WISHに参加する全25チームの選手・関係者に、「自身にとって印象深い『数字』」をインタビュー。
競技人生における自慢の成績、好きな数字、ラッキーナンバー……数字にまつわる物語から、選手の新たな一面にフォーカスする。

連載第24回は、広島市を拠点に活動する大野石油広島オイラーズから、中西杏実選手が登場。ミドルブロッカーとして攻守に活躍する中西選手が、バレーボールとの意外な出会いから、仕事と両立しながら競技に取り組むチームの特徴を紹介する。V.LEAGUE DIVISION1 への昇格に向け戦う中西選手が、バレーボール選手として目標とする数字とは。

◆1試合25点中、『23』点分のサーブを打ち続けた思い出の試合

ーまずは、中西選手がバレーボールを始めたきっかけから教えてください

「我が家は姉がバレーをしていたので、小さい頃からバレーは身近な存在だったんです。小学生の時、母に『あなたも何かスポーツをしたら?』と勧められて連れて行かれたのがバレー部の体験入部でした。それまで特別バレーボールに興味があったわけではなかったのですが、その体験入部がすごく楽しくて、母に『バレーボールをやりたい』とお願いしたところから、私のバレーボール人生が始まりました」

ー中西選手は兵庫県のご出身ですが、大野石油広島オイラーズ(以下、オイラーズ)でプレーするようになった経緯を聞かせてください。

「大学のバレー部を引退するとき、もっとレベルが高いところでバレーボールを続けたいと思って顧問の先生に相談したところ、オイラーズを紹介していただきました。それまで広島とはあまり接点がなかったのですが、今年で入社して3年目になるので、もうバッチリです。本通のどこにどんなお店があるかも覚えました!」

ーバレーボールが縁を結んでくれて広島へ来られたのですね。それでは、中西選手の思い入れのある数字を教えてください。

「背番号の『5』番です。オイラーズに入社したときに背番号『5』をいただいたのですが、ずっと背負ってプレーしているうちに大切な数字になりました。高校、大学の背番号は『2』だったので、『2』にも思い出が詰まっています。高校の時は春の高校バレーやインターハイ予選の決勝がテレビ中継されるので、画面に映る自分の『2』は特に輝いて見えていましたね(笑)」

ー競技にまつわる数字のエピソードがあれば教えてください。

「バレーボールは1試合3セットまたは5セットで行われ、25点を先取し2セットか3セットを先取したチームが勝ちになります。1点取るたびに得点した側へサーブ権が移るルールなのですが、高校生の時に市の大会で『23』点まで自分のサーブが続いたことがありました。チームメートがしっかりラリーを続けてくれたおかげもあるので、みんなの力も大きいのですが、私のサーブで決めた点数ももちろんあって、気づいたら『23』点分ずっとサーブを打ち続けていたな……という思い出の試合です」

ーそれはすごいですね!25点先取やサーブ権以外にも、バレーボールならではの面白いルールなどはありますか?

「自陣にボールが来たら3回以内で相手コートに返さなければいけない、というのはバレーボール独特のルールなので面白いと思います。あと、主審のホイッスルから8秒以内にサーブを打たなくてはいけないというルールがあって、もしその間に打てなかったら相手の得点になってしまうんです。めったにないことではありますが、一度チームメイトが8秒を過ぎてしまって、みんなで驚いたことがありました(笑)」

◆ボールを落とさないという粘り強さと元気の良さが強み!個性豊かな働くアスリート集団

ー大野石油広島オイラーズが参戦しているV.LEAGUEでは、シーズンを通してのアタック決定率、ブロック決定率、得点のランキングが公表されると聞きました。中西選手が具体的に目標としている数字や記録はありますか。

「オイラーズは現在、V.LEAGUEの2部であるV.LEAGUE DIVISION2 WOMEN(V2リーグ)に参戦しています。今シーズンのV2リーグでアタック決定率1位だった選手は51.9%で、アタックを打った半数以上で決めているんです。私もそこを目指したいと思っているので、来シーズンはアタック決定率50%以上を目標にしています」

ーこれから初めてバレーボールを生観戦してみたいという人に、どんなところに注目するとより楽しめるかアドバイスをお願いします!

「バレーボール見る時はボールの動きを追いかけてしまうと思うんですが、それぞれの選手に注目して見てみるのがおすすめです。コートに立っているのは1チーム6人で、それぞれのポジションには異なる役割があります。コート全体を見て、『このポジションの人はこういう役目があって、こんな動きをしているんだ』という見方をすると、面白さがどんどん広がっていくんじゃないかなと思います」

ー中西選手のポジションはミドルブロッカーです。どんな役割で、どんなところが見所ですか?

「ミドルブロッカーは、前衛の真ん中のポジションで相手のアタックをブロックする役割のほかに速攻など、速いテンポで攻撃するポジションです。私が速い攻撃をして、サイドのアタッカーがゆっくりしたテンポで時間差攻撃を仕掛けたりすることもりますが、他の選手とどう連携してどう動くのか、どんな役割を果たしているのかを考えながら見てもらえると、より深く楽しんでいただけるのではないかと思います」

ー最後になりますが、改めて大野石油広島オイラーズの魅力を教えてください。

「私たちはバレーボールだけをしているのではなく、ガソリンスタンドの仕事をしながら、練習をしたり試合に出場したりしています。なので、『この子たちは働きながら頑張ってるんやなぁ』と思っていただけたら(笑)。あと、うちのチームは身長が高い選手が少ないのも特徴です。だからこそ、『ボールを落とさない』という粘り強さがチームの強みになっていると思います。私たちはバレーボール選手として活動しながら、日中は、チームの母体である大野石油のガソリンスタンドで勤務もしています。ハードではありますが、その分、体力面や元気の良さは他のチームには負けない自信もあります。4月から新たに6選手が加入しますが、全員それぞれ個性があって賑やかな選手ばかりなので、来シーズンはさらにパワフルなチームになりそうです。ぜひ、そんなオイラーズの選手たちに注目してください!」

中西杏実選手の【My Favorite Numbers】
『5』『2』『23』


中西杏実

Ami Nakanishi

1999年9月23日生、兵庫県出身
バレーをしていた姉の影響もあり、小学生から自身もプレーを始める。高校は兵庫県のバレー強豪校・氷上高に進み、2016年には同校4年ぶりとなる春高(全日本高校選手権。通称『春の高校バレー』)出場に貢献した。大学卒業後は大野石油広島オイラーズに加入し、主にミドルブロッカーとして活躍している。多彩な攻撃で相手を翻弄するプレーが持ち味。

◆チーム情報/大野石油広島オイラーズ
1993年、大野石油スポーツクラブとして創部。1994年から地域リーグに出場し、2003年から旧V1リーグに昇格。所属選手は、日中は広島市内各所の大野石油サービスステーションで勤務し、終業後に本社ビル内の専用体育館で練習を積むというハードなスケジュールをこなす。チームワークを活かしてボールつなぐ粘りのバレーで、1部昇格に向け奮闘中。現在はV LEAGUE Division2(V2)に所属している。