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My Favorite Numbers
〜数字が紐解く広島アスリートの素顔 〜
【第22回】FUKUYAMA BATS・河相智志選手

新たなスポーツの楽しみ方を提供する、広島横断型スポーツ応援プロジェクト、通称『Team WISH』。プロ野球やJリーグをはじめ、数多くのトップスポーツチームを有する広島県ならではの取り組みとして、日々、各チーム・選手の魅力を発信している。

本連載では、Team WISHに参加する全25チームの選手・関係者に、「自身にとって印象深い『数字』」をインタビュー。
競技人生における自慢の成績、好きな数字、ラッキーナンバー……数字にまつわる物語から、選手の新たな一面にフォーカスする。

連載第22回は、福山市を拠点とする3人制プロバスケットボールチーム・FUKUYAMA BATS(ふくやま・バッツ)から河相智志選手が登場。FUKUYAMA BATSは、福山初のプロバスケットボールチームとして2019年秋に誕生し、「福山でのプロスポーツ文化醸成・地域スポーツ振興」を目指し活動を続けている。プレーヤー兼代表も務める河相選手が、自身にとって思い入れのある数字、そして3×3という競技ならではの特徴的な数字を語る。

◆地元・福山にプロスポーツチームを! 0から『1』を生み出す挑戦

ーこのインタビューは、さまざまな競技のアスリートに『数字』にまつわるエピソードをお伺いする連載です。河相選手が思い入れのある数字や、ゆかりのある数字などについてお聞きしたいと思います。本日は、よろしくお願いします。

「はい、よろしくお願いします」

ーさっそくですが、河相選手にとって大切な数字、特別な数字はありますか?

「実は、これまではあまり数字を意識したことがなかったのですが……まず初めに思いつくのは、やはり背番号ですね」

ー河相選手は現在『20』をつけていますが、バスケットボールを始めた当初から、ずっと同じ背番号ですか?

「いつから『20』番をつけているかはあまり記憶にないのですが、プロ入り後には自分で選んで『20』番をつけていたと思います。“世界に二人といない選手になる”という目標の意味も込めて、『2』『0』を選びました」

ーでは、FUKUYAMA BATSというチームとして思い入れのある数字はありますか?

「FUKUYAMA BATSは、福山に初めて生まれたプロバスケットボールチームです。それまで福山では、子どもたちがプロスポーツに触れる機会がとても少なかったんです。そんな状況をなんとかしようと、何もないところからチームを立ち上げ、活動してきました。『0』から『1』を生み出した、と言えるかもしれません。チームとしても、日本国内で勝ち上がって福山から世界を目指すという目標を掲げています。これもまた、まだ誰もやったことのないことをするという意味では、0から『1』を生むチャレンジだと思っています。この目標は、これからも変わらずやっていきたいですね」

ー『0』、つまり「無」から『1』を生み出す、ということでしょうか。

「はい。FUKUYAMA BATSは母体やオーナー会社があるわけでもなく、本当に何もない、0の状況からつくったチームなので、『0』と『1』にはすごく思い入れがありますね。中でも何もないところから『1』を生み出すのが一番大変だと言われていますし、生み出したものを継続させていくのはさらに大変だと言われます。実際に苦労することも多いのですが、FUKUYAMA BATSは常にそこにチャレンジしていくチームでありたいと思っています」

◆1人で21得点して、ノックアウトで試合を終わらせるのが夢

ーでは、競技についてお伺いしていきます。FUKUYAMA BATSは3×3(スリー・エックス・スリー)という、3人制バスケットボールのプロチームです。3×3という競技にまつわる独特の数字やルールはありますか?

「3人制バスケには、いろいろな独自のルールがあります。例えば、コートの広さは5人制バスケの半分ですし、試合時間も10分間の1回のみというスピーディな展開も特徴です。どちらかのチームが『21』点を取ったらその時点で試合が終了する“ノックアウト”方式なのも、他のスポーツにはない特徴かもしれませんね。僕個人としては、21点すべてを自分で取って、1人で試合を終わらせてみたいというのが密かな夢だったりします(笑)」

―1人の選手がその手で試合を終わらせる、というのはセンセーショナルですし、すごく話題になりそうですね。過去にそうした例はあるのでしょうか。

「いや、聞いたことはないです。だからこそ、実現できたら面白そうだし、チャレンジしてみたいなと思いますね」

ーノックアウト方式ということは、極端な話、3分で試合が終わってしまうこともあり得るということですか?

「もちろんあり得ます。試合時間は10分ですが、よく点が入る展開の早い試合であれば、5分もかからずに終わることもあります」

ー河相選手ご自身の経験で、一番短かった試合は?

「そうですね……。あまり詳しくは覚えていないのですが、圧倒的な差で負けてしまう時には、5分ぐらいで終わることもありました。そういう試合展開の場合は、時間的にはたった5分でも、精神的にも体力的にもかなり疲れます。だからこそ、余計に印象に残っているのかもしれませんね」

ー逆に、試合時間の10分が経過しても両チームの得点が21点に届かない場合はどうなるのでしょうか。

「その時点で、得点の多いチームの勝利になります。あっという間に勝負が決まってしまうスピーディな試合もあれば、激しい攻防でなかなか点が入らない展開もあります。20-20と競っていて、あと1点を取った方が勝ちというハラハラ感が楽しめる場面もあって、どんな展開でも見ているみなさんには楽しんでもらえるのではないかと思います」

ー3×3というスポーツにとっては、『21』も非常に意味のある大事な数字なのですね。

「そうですね。最初にもお話しましたが、僕の背番号は『20』で、チームとしては0から『1』を生み出す活動をずっと続けてきています。そして、競技は『21』点ノックアウト制というルールがあります。『20』+『1』という数字が鍵になっているというところに、なんだか、すごく意味があるような気がしています」

ー背番号の『20』と、『0』から『1』を生むというチームの原点、そして3人制バスケットボール独特の『21』点ノックアウトというルールが、河相選手を形づくる大きな意味を持つ数字になっているのかもしれませんね。

「はい、そう思います。2019年秋に立ち上げたFUKUYAMA BATSは、3人制のプロバスケットボールチームとして福山市を拠点に活動しており、備後地区を盛り上げるため地域貢献活動にも力を入れています。また、プレーする姿を子どもたちに見てもらって、夢や希望を与えられるようなチームになりたいとも思っています。スポーツにあまり興味がない子やバスケットボールを知らない子にも、まずバスケットボールというスポーツを知ってもらい、興味を持ってもらって、楽しんでもらいたいです。そこも『0』から『1』を生む活動の一つなのですが、地元・福山で取り組んでいきたいことの一つです。ぜひ興味を持っていただき、応援していただけたらと思います」

河相智志選手の【My Favorite Numbers】
『20』『1』『21』


河相智志

Satoshi Kawai

1982年3月29日生、広島県福山市出身
5人制バスケットボールチームの兵庫ストークス(現Bリーグ・神戸ストークス)から選手キャリアをスタート。島根スサノオマジック、アースフレンズ東京Zなどでプレーした後、3×3.EXE PREMIERのスリストム広島に所属。2019年秋からは、自らが設立した3人制プロバスケットボールチーム『FUKUYAMA BATS(ふくやま・バッツ)』の代表を務める傍ら、選手としても活躍。指導者として若手選手の育成にも携わっている。

◆チーム情報/FUKUYAMA BATS
2019年に福山市で創設された、3人制プロバスケットボールチーム。チーム名であるバッツは福山の市章である蝙蝠(コウモリ)を意味しており、ロゴデザインも蝙蝠をモチーフとしている。プロチームとしての活動に加え、地域貢献を目指しバスケットボール教室を積極的に開催。チームは現在、西日本最大級のツアー形式の大会である3x3UNITED(スリー・エックス・スリー・ユナイテッド)に参戦している。