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My Favorite Numbers
〜数字が紐解く広島アスリートの素顔 〜
【第17回】コカ・コーラレッドスパークスホッケー部 中込紅莉選手

新たなスポーツの楽しみ方を提供する、広島横断型スポーツ応援プロジェクト、通称『Team WISH』。プロ野球やJリーグをはじめ、数多くのトップスポーツチームを有する広島県ならではの取り組みとして、日々、各チーム・選手の魅力を発信している。

本連載では、Team WISHに参加する全25チームの選手・関係者に、「自身にとって印象深い『数字』」をインタビュー。
競技人生における自慢の成績、好きな数字、ラッキーナンバー……数字にまつわる物語から、選手の新たな一面にフォーカスする。

コカ・コーラレッドスパークスホッケー部
中込紅莉選手

連載第17回は、2023年11月に高円宮牌2023ホッケー日本リーグを制し、2年連続6度目の優勝、そして12月24日には第84回女子全日本ホッケー選手権大会を制し、今シーズン2冠を達成したフィールドホッケーの強豪『コカ・コーラレッドスパークスホッケー部』から、中込紅莉(なかごみ あかり)選手が登場。日本代表としても活躍する中込選手が、ホッケーを始めたきっかけや、世界を相手に戦った舞台で達成した数字にまつわるエピソードを語る。国内トップクラスのホッケーチームが目指す、悲願の数字とは。

◆連覇を果たしたコカ・コーラ。日本代表経験豊富なMFは、チームの強さを支える攻守の要!

ー今日は、中込選手がこれまでホッケーをプレーされてきたなかで、印象に残っている数字や自慢の記録についてお伺いしていきます。まず最初に、中込選手とホッケーの出会いから教えてください。

「ホッケーを始めたのは、家族の影響が大きかったですね。私は兄と姉がいる3兄弟なのですが、両親を含めて全員がホッケーをしていたんです。家族の会話にもよくホッケーの話題が出てきていたので興味を持っていました。本格的にプレーするようになったのは、中学生になってからです」

ー中込選手は山梨県のご出身ですが、山梨はホッケーが盛んな地域なのでしょうか。

「県内全域で盛んということではないと思うのですが、私の家族みんながホッケーをしていたので、小さい頃から身近に感じることが多かったですね。私の周りでは、ホッケー人気は高かったと思います」

ー中学から本格的にホッケーに取り組むようになったとのことですが、夢中になったきっかけがあったのですか?

「ホッケーをしていていちばん楽しいと感じるのは、相手を抜き去った瞬間です。中学校でプレーするなかでそうした楽しさを味わったのが、夢中になった一つの理由だったのかもしれません。高校では世代別の代表に選んでいただくようになり、そこで海外選手とプレーする機会があったことも、私にとっては大きなターニングポイントでした。ホッケーは日本ではマイナーなスポーツになってしまいますが、海外では国技になっている国もあります。海外選手と戦うなかで、自分ももっと上を目指したいと感じるようになりました」

ー中込選手のポジションは、ミッドフィルダー(以下、MF)ということですが、ホッケーを始めた当初からMFだったのでしょうか?

「最初の頃は、フォワードでプレーしたりしていました。MFに定着したのは山梨学院大の頃です。監督にMFをやってみないかと声をかけていただいてプレーするようになったのですが、自分には合っていたのだと思います。今思えば、MFで良かったなと感じていますね」

ーMFの魅力は、具体的にどのようなところにありますか?

「ゲームメイクができるところです。守備でも攻撃でもチームに貢献できるので、とてもやりがいのあるポジションだと思っています。役割としては、サッカーのMFと似ている部分があるかもしれません。ホッケーの面白さはスピード感や、ボールとスティックという『用具を使ったスポーツ』という点にあると感じています。スティックでボールを扱う時は、雑に扱ってもなかなかうまくいかないのですが、丁寧に、でも素早く……というスキルが求められます」

ー観戦している側からすると、細いスティックでボールを扱うのはかなり難しそうに感じます。

「難しさはあるかもしれませんね。ただその分、ゴール前のキーパーとの駆け引きでは自分の技術を見せることもできますし、味方とコミュニケーションを取って相手の裏を突くパスで得点を奪うこともできます。自分が直接得点しなくても、パスをつないでゴールが決まった瞬間には『気持ちいい!』と思いますし、個人技の面白さとチームプレーの醍醐味の両方を味わえるのがホッケーの魅力だと感じています」

◆ユース大会でアジアの得点王に!コカ・コーラで目指すのは、チームの悲願でもあるあの数字

ーそんなホッケーに関する記録や数字についてお伺いしていきたいと思います。中込選手が競技を始めてからここまでで、自慢の記録や数字はありますか?

「自慢の数字、ですか。そうですね……2018年のユース五輪競技大会アジア予選で得点王を獲った時の『14』得点でしょうか。ホッケーは通常11人でプレーする競技ですが、その大会で私が出場したのは5人でプレーする、ホッケーファイブという種目でした。ルールは普通のホッケーと同じなのですが、コートの広さなどが少し異なります。11人制のホッケーよりもさらに展開が早いのが特徴です」

ー得点王に輝いた時の『14』得点は、中込選手のキャリアを振り返るうえでの一つの重要な数字になりそうですね。

「そうですね。あとは、記録ではないのですが、自分のラッキーナンバーは『7』だと思っています。ラッキーセブンの『7』ですし、誕生日が3月7日なので、『7』には縁があるのかな、と。それから、いつも意識している数字としては『1』があります。スポーツをする上では、やっぱり『1』位を意識している選手は多いのではないかと思います。私も、常に心のどこかに『1』はありますね」

ーではそれ以外に、中込選手が目標とする数字や記録はありますか?

「私が、というよりも、コカ・コーラレッドスパークスが目標としている数字としては『4』があります」

ー『4』ですか。その理由は?

「チームは、ホッケー日本リーグ・全日本社会人ホッケー選手権大会・全日本女子ホッケー選手権大会、そして国民体育大会の4大会すべてで優勝する、『四冠』達成を目指しています。三冠を達成したことはあるのですが、チームが設立してからこれまで四冠はまだ達成できていません。コカ・コーラの強みはパスをつないでゴールを奪うパスホッケーです。これは、個々の選手のレベルが高く、コミュニケーションが取れるからこそできるスタイルです。それぞれのレベルが高いからこそ見せることのできるテクニックもあるので、観戦されていても楽しんでいただけるのではないかと思います」

ーチームの強さの裏には、そうした個々の選手のレベルの高さが挙げられるかもしれませんね。

「そうですね。チーム全体が連動して動かなければパスホッケーは成り立ちません。パスを出す前に周りをしっかり見る広い視野を持つなど、レベルが高くなければできないこともたくさんあります。私自身、チームに加入したばかりのころは難しさを感じたこともありましたが、不安もありつつ、トレーニングを重ねるなかで身についてきたという感覚です。チームに貢献できるように、これからももっと磨いていきたいと思っています」

ー中込選手にとって大切な数字は、アジアで得点王となった『14』、誕生日でありラッキーセブンでもある『7』、そしてチームが目指す四冠の『4』ということですね。今日は貴重なお話をありがとうございました。

「はい、ありがとうございました」

中込紅莉選手の【My Favorite Numbers】
『14』『7』『4』


中込紅莉

Akari Nakagomi

両親、兄弟もプレーヤーというホッケー家族に生まれ、自身も中学から本格的に競技をスタート。2017年にユース日本代表、2018年にはジュニア日本代表に選出された。山梨学院大でMFとして活躍し、2022年にはスペインで行われた国際大会・第1回FIH ネーションズ カップに日本代表として出場し3位入賞を果たす。また、第19回アジア競技⼤会(2023年開催、中国・杭州)でも代表選出されるなど、チーム内外で注目を集める期待のMF。2023年のホッケー日本リーグではシーズン得点王に輝いている。

◆コカ・コーラレッドスパークスホッケー部
1996年に創部した、広島市をホームグラウンドとする女子フィールドホッケー実業団チーム。2011年に日本リーグで初優勝を飾ると、2012年には日本リーグ・社会人選手権・全日本選手権で優勝し『三冠』を達成した。2020年には創部初となる年間タイトル完全制覇。日本代表を多数輩出するなど、国内トップクラスの強さを誇る。2022年にはホッケー日本リーグで2年ぶり5度目となる優勝、2023年は連覇を果たした。