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My Favorite Numbers
〜数字が紐解く広島アスリートの素顔 〜
【第10回】NTT西日本ソフトテニス部・内本隆文

新たなスポーツの楽しみ方を提供する、広島横断型スポーツ応援プロジェクト、通称『Team WISH』。プロ野球やJリーグをはじめ、数多くのトップスポーツチームを有する広島県ならではの取り組みとして、日々、各チーム・選手の魅力を発信している。

本連載では、Team WISHに参加する全25チームの選手・関係者に、「自身にとって印象深い『数字』」をインタビュー。
競技人生における自慢の成績、好きな数字、ラッキーナンバー……数字にまつわる物語から、選手の新たな一面にフォーカスする。

NTT西日本ソフトテニス部・内本 隆文選手

連載第10回は、NTT西日本のシンボルスポーツチームとして活躍する、ソフトテニスチーム『NTT西日本ソフトテニス部』から、内本(うちもと)(たか)(ふみ)選手が登場。10月に開催されるアジア競技大会の日本代表にも選出されている内本選手に、心に残る『数字』、そしてチームが打ち立てた前人未到のある『記録』について語ってもらった。

◆テニス一家に生まれ、小学4年で日本一に。名門で腕を磨いた中高6年間

―まず最初に、内本選手がソフトテニスを始めたきっかけから教えてください。

「両親と兄がテニスをしていて小さい頃からテニスが身近にある環境だったので、物心つく前から自ずとラケットを握っていたみたいです。小学生の頃に通っていたスクールでも楽しみながらプレーしていたのですが、4年のときに全国大会で優勝して初めて日本一になりました。そこから5年、6年と続けて優勝し、その頃から、ソフトテニスをずっと続けていきたいと思うようになりました」

―『ソフトテニスプレーヤーとして生きていく』という選択肢が生まれたのですね。

「はい。ソフトテニスの強豪校である上宮(うえのみや)中に進学するか、地元の中学でテニス部に入るかを考えていた時期が、僕にとってのターニングポイントだったと感じています。最終的には上宮中に進み、上宮高在学中には、インターハイでは個人・団体で2冠を達成することができました」

―内本選手は主に後衛としてプレーされていますが、当時から後衛だったのでしょうか?

「そうですね。ソフトテニスを始めたときから、ずっと後衛でした。きっかけはあまり覚えていないのですが、たぶん、ボールをたくさん触りたかったんだと思います(笑)。特に小学生くらいの時期は体も小さいので、前衛の選手だと、あまり試合中にボールを触る機会がないんです。僕はとにかくボールに触っていたかったので、後衛をするようになったのではないかと思います」

―ダブルスでは、後衛は頭脳派のゲームメーカーという印象があります。

「相手前衛との駆け引きは、後衛の醍醐味かも知れませんね。どうやって相手を崩していくか、点を取らせないようにするかと考えるのが、一番楽しいところだと感じています。ただ、それは前衛も一緒だと思います。前衛も、相手の後衛をどう潰していくかを考えながらプレーしているので、そのバランスも面白さの一つではないでしょうか」

◆忘れられない悔しさを乗り越え、初代表でアジアの頂点に立った大学時代

―競技を始めてからこれまでで、自慢の試合、心に残っている試合はありますか?

「2016年に出場した、アジアソフトテニス選手権大会は印象に残っています。日本開催大会だったので日本チームの出場枠が多く、当時大学生だった僕は、恐らく将来性を買って選出していただき、シングルスで優勝、ダブルスでは準優勝することができました。逆に、高校2年のインターハイのように、悔しくて忘れられない試合もあります。その試合ではベスト4まで進むことができていて、優勝も狙えるという自信があったのですが……力みすぎたのか、プレッシャーだったのか、準決勝で完全に崩れてしまったんです。『勝ちたい』という思いが強すぎて、それが裏目に出てしまったのだと思います。ただ、そこで悔しい思いをしたからこそ、次の年のインターハイでは優勝しなければならないという責任感も生まれましたし、実際に優勝をつかむこともできました」

―雪辱を果たした、ということですね。では、数字という観点で、印象的なものや自慢の記録はありますか?

「NTT西日本ソフトテニス部は、ソフトテニス日本リーグで『12』連覇中です。実業団のトップ8チームで戦い日本一を決める大会なのですが、『12』連覇という数字は、僕たちチームにとっても印象的な記録なのではないかと思っています」

―先程練習も見学させていただきましたが、迫力満点のスピード感が印象的でした。サーブのトップスピードはどのくらい出ているのでしょうか?

「そうですね……詳しく測ったことはないのですが、『200』キロ近く出るのではないかと思います。これも特徴的な数字かもしれません。最近のソフトテニスは陣形のバリエーションも増えてきていて、試合中の陣形の変化やスピーディーな展開も見どころの一つですね。後衛と前衛に分かれての駆け引きもおもしろいですし、2人がネット際に上がってボレー合戦になる展開もおもしろいのではないでしょうか。そういったところにも注目してもらえると、戦術的な面でも技術的な面でも、よりソフトテニスを楽しんでもらえるのではないかと思います」

◆日本屈指のトッププレイヤーを擁するNTT西日本。切磋琢磨できる環境はありがたい

―内本選手は背番号『19』をつけていますが、『19』になった理由は何でしたか?

「高校や大学の頃は固定の背番号はなかったので、NTT西日本に入って背番号を決めるときに、自分で『19』を選びました。実は、背番号を決めるときに何の数字も思い浮かばなくて……(笑)。結局、自分の誕生日(2月19日)に落ち着きました。そういう理由の選手はけっこう多いと思います」

―では、ソフトテニスプレーヤーとして目標としている数字や記録はありますか?

「僕個人としては、11月に開催される天皇賜杯(個人戦)での優勝を一つの大きな目標にしています。チーム内では、村上雄人選手や上松俊貴選手が天皇賜杯で優勝しているので、僕もそこを目指していきたいと思っています。NTT西日本には実績ある選手も多く所属していますが、これは本当にありがたい環境だと感じています。学生から社会人になって、ペアに困る選手もたくさん見てきました。そう考えると、トップレベルの選手たちと競い合いながら高いレベルで練習できるのは、すごく贅沢で、ありがたいことだと思っています」

―チームはこれから、中国・杭州でのアジア競技大会(10月3日〜8日)、天皇賜杯(11月17・18日)、そして12月にはリーグ戦を控えています。大会に向けての意気込みを聞かせてください。

「10月のアジア競技大会は、まず日本代表として選ばれること、そして金メダルを獲得することを目指して、国内大会でも結果にこだわってやってきました。2026年には名古屋でアジア競技大会が開催されることが決まっていますが、絶対に出場できるという保証はないので、杭州大会でも『これが最後のチャンスだ』と思って、金メダルを日本に持ち帰ることができるように頑張りたいと思います」

―内本選手にとって印象的な数字は、誕生日でもあり背番号でもある『19』、チームが打ち立てた連覇記録の『12』、そしてソフトテニスのトップスピードである『200』ということですね。

「そうですね。アジア競技大会でもリーグ戦でも結果を出して、今まで僕に関わってくださったみなさんに恩返しができればと思っています」

―本日は、ありがとうございました。

「ありがとうございました!」

内本隆文選手の【My Favorite Numbers】
『19』『12』『200』


内本隆文

Takafumi Uchimoto

1998年2月19日生、大阪府出身
小学生からソフトテニスを始め、中学・高校はソフトテニスの名門である上宮中に進学。早稲田大在学中の2016年にアジアソフトテニス選手権に初出場し、シングルスで優勝、ダブルスで準優勝を果たす。2020年にNTT西日本に加入すると、同じく早稲田大でプレーしていた1学年後輩の内田理久とペアを組み、2022 全日本社会人選手権ダブルス優勝、同年の天皇賜杯では3位に輝いた。現在はNTT西日本ソフトテニス部の主将を務めている。

◆チーム情報/NTT西日本ソフトテニス部
1957年にNTT西日本のシンボルスポーツチームとして創部。2010年からは日本最高峰の大会であるソフトテニス日本リーグで12連覇を達成(2020年、2021年は大会中止)した。2023年10月に開催されるアジア競技大会のナショナルチームに4選手を派遣するなど、まさに国内屈指の実力を備えた強豪チームだ。2023年シーズンからはサブネームを『NTT西日本ブルーグランツ』とし、更なる高みを目指しトレーニングを積み重ねている。