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My Favorite Numbers
〜数字が紐解く広島アスリートの素顔 〜
【第9回】マツダスカイアクティブズ広島・大内錬

新たなスポーツの楽しみ方を提供する、広島横断型スポーツ応援プロジェクト、通称『Team WISH』。プロ野球やJリーグをはじめ、数多くのトップスポーツチームを有する広島県ならではの取り組みとして、日々、各チーム・選手の魅力を発信している。

本連載では、Team WISHに参加する全25チームの選手・関係者に、「自身にとって印象深い『数字』」をインタビュー。
競技人生における自慢の成績、好きな数字、ラッキーナンバー……数字にまつわる物語から、選手の新たな一面にフォーカスする。

マツダスカイアクティブズ広島・大内 錬選手

連載第9回は、JAPAN RUGBY LEAGUE ONEに所属するラグビーチーム『マツダスカイアクティブズ広島』から、加入2シーズン目を迎える大内(おおうち)(れん)選手が登場。2023年1月には、男子セブンズ日本代表(7人制ラグビー)に初選出された大内選手の、心に残る『数字』、そしてリーグでもトップクラスだという、ある『記録』について語ってもらった。

◆兄の影響でラグビーの道へ。『最後の砦』としてチームを攻守に支えるフルバック

ーまずは、ラグビーとの出会いについてお伺いします。大内選手は栃木県の佐野日大高のご出身ですが、ラグビーは何歳の頃からプレーされていたのでしょうか。

「2歳上の兄が同じ佐野日大高でラグビーをしていたので、その影響もあって、高校からプレーを始めました。実は保育園から中学校までは、ずっとサッカーをしていたんです。その頃のポジションはボランチでした」

ーラグビーを始めたのは、お兄さんの影響だったんですね。

「はい。昨シーズンまでは兄も同じマツダスカイアクティブズ広島に所属していて、ウイングとしてプレーしていました。僕はチームに所属するまで広島に来たことがなかったのですが、声をかけていただいた時には広島との縁を感じました」

ーチームではフルバック(以下、FB)というポジションでプレーされています。

「昔から体が細かったので、当時からバックス(以下、BK)を任されることが多かったですね。FBは足の速い選手が多いポジションですが、僕は昔、足がすごく遅かったんです。特に短距離走は、学校の体力測定で50メートル走が7秒、8秒台だったこともあります(苦笑)」

ーFBの特徴としては、スピード以外にどんなものがあるのでしょうか。

「ラグビーは15人でプレーするスポーツですが、大きく分けて、前線でスクラムを組む体の大きなフォワード(以下、FW)と、主にボールを前に運ぶ役割のバックスがあります。僕が普段プレーしているFBはBKの一つで、ディフェンスの最終ラインを任されています。FBが相手に抜かれると失点する可能性が非常に高くなってしまうので、『最後の砦』と表現されることもありますね。FBは、広い守備範囲をカバーするための走力や持久力をはじめ、味方が蹴ったボールを正確に受け取るためのジャンプ力やキャッチングなど、さまざまなスキルが必要になります。最近は周りの方から、ランプレーがダイナミックになってきたと言っていただけるようになったので、もっともっと磨いていきたいと思っています」

◆武器は国内リーグでもトップクラスの“持久力”! 2023年には初の日本代表選出も

この連載では、アスリートのみなさんに数字にまつわるエピソードをお伺いしています。大内選手が、数字といわれて思い浮かぶものは何ですか?

「『24』です。今年開催された7人制ラグビーのHSBCワールドラグビーセブンズシリーズで初めて日本代表に選ばれたのですが、その時につけた背番号が24でした。初めて代表として背負った数字なので、とても思い入れがあります」

ーでは、自慢の記録や記憶に残っている記録は?

「自信があるのは持久力です。1〜2キロの距離を、20メートル、60メートル……と区切って走りタイムを測るシャトルランのようなトレーニングがあるのですが、これは、多くの選手が“5分を切れるかどうか”という内容のメニューです。一概に“何分くらいが平均”とは言えないのですが、BKの選手のタイムは4分40秒前後と言われています。僕の最高記録は『4分19秒』で、これは日本のラグビーリーグであるJAPAN RUGBY LEAGUE ONE(以下、リーグワン)でも上位のスコアだと聞きました。そういう意味では、『4分19秒』は自慢できる記録かもしれません」

ー国内でもトップレベルの数字ということですね。先ほど、昔は短距離走が苦手だったと話されていましたが、長所の持久力を鍛えるために何か特別なトレーニングをされたのですか?

「特別なトレーニングというのはあまりないのですが、しいて言えば……小さい頃からよく鬼ごっこをしていました」

ー鬼ごっこですか?

「はい。持久力は、そこで自然と鍛え上げられたのかもしれません(笑)」

 

◆体格、技術、国籍……さまざまな選手が活躍できるのも、ラグビーのおもしろさ

ー大内選手が、ラグビー選手として目標にしている数字や記録を教えてください。

「昔から負けず嫌いだったので、やっぱりナンバーワンという意味でも『1』という数字は目標にしています。ラグビーは、体の大きな選手、小さな選手、屈強な選手、スリムな選手と、ポジションによって異なる体格の選手たちが、お互いの足りないところを助け合いながら勝利を目指します。防具をつけずにぶつかり合うフルコンタクトスポーツなので、生で観戦するとその迫力やスピード感に驚く方もいますね。体同士がぶつかる音や選手同士の掛け声など、プレーだけではない部分でも、迫力を体感してもらえると思います。9月には『W杯2023フランス』が開催されますが、ラグビーの日本代表には、海外の国籍を持つ選手も含まれます。そうした多様なバックグラウンドを持つ選手たちが一丸となり、日本代表として世界を相手に戦う姿にも、ぜひ注目してもらえたらと思います」

ー大内選手が大切にしている数字は、ナンバーワンを目指すという意味での『1』、リーグトップクラスの持久力を表す『4.19(4分19秒)』、そして、セブンズの初代表で背負った背番号『24』ということですね。

「そうですね。12月には、リーグワンの2023-24シーズンが開幕します。僕たちマツダスカイアクティブズ広島は現在DIVISION3に所属していますが、一つ上のカテゴリであるDIVISION2への昇格が大きな目標となります。僕個人としては、7人制ラグビーを含めた日本代表にもっと呼んでもらえる選手になることを目標にして頑張っていきたいと思っているので、ぜひ試合会場に足を運んで応援をしていただけたらと思います」

―本日は、ありがとうございました。

「ありがとうございました」

 

 

大内錬選手の【My Favorite Numbers】
『1』『4.19』『24』


大内錬

Ren Ouchi

1999年1月22日生、埼玉県出身
佐野日大高時代からラグビーを始める。東洋大を経て、2022年からマツダスカイアクティブズ広島に所属。ポジションはフルバック。2023年1月に開催されたHSBCワールドラグビーセブンズシリーズ2023ハミルトン大会では、初の日本代表入りを果たした。兄の大内空も2022-23シーズンまで同チームに所属しており、2023-24シーズンからは同ディビジョンの日野レッドドルフィンズへの加入が発表された。同リーグでの兄弟対決が実現することになる。

◆チーム情報/マツダスカイアクティブズ広島
1961年、マツダに誕生した社会人ラグビーチーム。2003年のトップリーグ開幕後はチーム名を『マツダブルーズーマーズ』とし、2部リーグに当たるトップキュウシュウAに所属。2007〜 2009年にかけては同リーグ3連覇を成し遂げた。2022年からは、国内のラグビーリーグ・JAPAN RUGBY LEAGUE ONEに参加。チーム名も『マツダスカイアクティブズ広島』へと改称し、チームカラーもダイナミックな赤/黒へと変更された。現在はDIVISION3に参戦中。DIVISION2への昇格を目指している。