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My Favorite Numbers
〜数字が紐解く広島アスリートの素顔 〜
【第8回】はつかいちサンブレイズ・磯崎由加里
新たなスポーツの楽しみ方を提供する、広島横断型スポーツ応援プロジェクト、通称『Team WISH』。プロ野球やJリーグをはじめ、数多くのトップスポーツチームを有する広島県ならではの取り組みとして、日々、各チーム・選手の魅力を発信している。
本連載では、Team WISHに参加する全25チームの選手・関係者に、「自身にとって印象深い『数字』」をインタビュー。
競技人生における自慢の成績、好きな数字、ラッキーナンバー……数字にまつわる物語から、選手の新たな一面にフォーカスする。
連載第8回は、女子硬式野球チーム『はつかいちサンブレイズ』から、磯崎 由加里選手が登場。落差の大きい『ナイアガラカーブ』を武器に、女子プロ野球、そして女子野球の日本代表としても活躍した女子野球界を代表する選手だ。2020年から2年間はエイジェック女子硬式野球部に所属しアマチュア球界に復帰している。ここでは長年女子野球界でプレーを続ける磯崎選手の、自慢の『記録』・心に残る『数字』を紐解いていく。
◆ダルビッシュ、大谷……憧れの選手が背負った“あの数字”が、自分自身の背番号に
ーこの連載では、アスリートが大切にしている数字や、思い入れのある記録についてお話をお伺いしています。さっそくですが、磯崎投手の思い入れのある数字や、ラッキーナンバーを教えてください。
「ラッキーナンバーというか、好きな数字は『11』ですね。現在所属している『はつかいちサンブレイズ』でも背番号11をつけていますし、2015年から所属していた女子プロ野球チーム『埼玉アストライア』でも、11をつけていました。この数字はやっぱり好きですし、思い入れがありますね。11が好きになった理由は、本当に単純なんですけど……(笑)、ダルビッシュ有選手(北海道日本ハムファイターズ時代の背番号が11。メジャー移籍後も、レンジャーズ、カブス、パドレスで背番号11をつけている)や大谷翔平選手(北海道日本ハムファイターズ時代の背番号が11)に憧れたというのが大きかったです。女子野球であれば、代表チームの中島梨紗監督が女子プロ野球時代に背負っていたのが11番ということもあり、「こんな投手になりたいな」と、そこから11という数字が好きになりました」
ー目標とする選手たちが背負っていた番号ということなんですね。では、投手として目標としている具体的な数字はありますか?
「シーズンを通して四死球無しというのは難しいですが、毎試合、無四球というのは意識しています。防御率でいうと、2点以下、1点台を出したいということは、常に思っていますね」
◆手術明けに達成したキャリアハイの勝利数。憧れの数字とは意外な共通点が…
ー磯崎選手が野球を始めたきっかけは何だったのでしょうか?
「王道の理由かもしれませんが、4歳上の兄と父が野球をやっていたことが一番大きな影響ですね。二人が野球をしている姿を見て、私もやりたいと思ったことがきっかけでした。キャッチボールを始めたのは、2、3歳の頃だったと思います。大学卒業後は女子プロリーグに進みました。日本では、2010年から女子野球のプロリーグが開催されていて、私は『埼玉アストライア』で5年間プレーしました(現在リーグは活動休止中)。アマチュアとプロでは力の差も感じ、私自身『このままじゃダメだ』と思うきっかけにもなりました。ファンのみなさんに対しても、恥じないプレーをしようという気持ちがいっそう強くなり、立ち振る舞いにも意識を配るようになりました」
ープロの世界で過ごした5年間が、野球と向き合う姿勢にも大きな影響を与えたのですね。では、大学野球部から日本代表、プロ時代、エイジェック女子野球部を経て、はつかいちサンブレイズでプレーしている現在までで、磯崎選手の自慢の数字はありますか?
「背番号のエピソードと重なる部分もあるのですが、自慢の数字というと、アストライア時代にあげた『11』勝です。2016年にケガをして、肘の手術をすることになったんです。手術明けのシーズンは出遅れてしまったのですが、最終的には11勝を達成することができました。11勝はキャリアハイなのですが、その時に、『11という数字に縁があるのかもしれないな』と感じました(笑)」
ー2023年9月に開幕する『第9回WBSC女子野球W杯』には、コーチとして帯同されます。はつかいちサンブレイズからは、捕手の村松珠希選手が代表に選出されました。グループステージの開催地は広島県の三次市です。地元・広島でW杯が開催されることや、チームメートが代表としてプレーすることをどのように感じていますか?
「同じ広島のチームとして、大会をもっと盛り上げたいという気持ちはありますし、村松も、チームの要である捕手というポジションで目立つポジションだと思うので、投手陣を引っ張って、代表チームを勝利に導いてもらいたいと思います。三次開催ということで、広島のみなさんも比較的見に来ていただきやすいのではないかと思います。W杯が、女子野球を知る一つのきっかけになってくれたら良いですね」
ーコーチとして、日本代表として目標とする数字は何でしょうか?
「やはりナンバーワンの『1』ですね。優勝を目指して、チーム全員で戦っていきたいと思います」
◆野球の楽しさを伝えながら、チーム全員で切磋琢磨し成長していきたい
ー磯崎選手が現在プレーしている、はつかいちサンブレイズの特徴を教えてください。
「チームは2021年に発足し、2022年からは、中四国の頂点を競う『ルビー・リーグ』に参戦しています。強いチームをつくることはもちろん、中四国・九州エリアの女子野球をもっと盛り上げていきたいという思いも持ちながら、日々プレーしています。広島はスポーツが盛んなので、応援してくださるみなさんの温かさを感じますね。チーム全員でいろいろな試合を経験して、切磋琢磨しつつも、楽しみながら野球に取り組んでいきたいと思います」
ー真摯に、楽しそうに野球と向き合うみなさんの姿を見て、「自分もやりたい!」と思う女の子が増えてくるかもしれませんね。
「野球の楽しさを伝えながら、夢のある球団をつくる土台を築いていければ良いですね」
ー磯崎選手の思い入れのある数字は、背番号であり、キャリアハイの勝利数である『11』、そして、日本代表コーチとして目指すナンバー1の『1』ということですね。
「そうですね。目指すは全勝です。手を緩めず、隙を見せず、なるべく失点しない日本代表らしい勝ち方で連勝しながら、大差をつけて勝てるような試合展開を、日本のみなさんにお見せできればと思っています」
磯崎由加里選手の【My Favorite Numbers】
『1』『11』
磯崎由加里
Yukari Isozaki
1991年7月26日生、山口県出身
家族の影響で幼少期から野球を始める。高校は女子野球の強豪として知られる埼玉栄高に進学し、卒業後は、同じく女子野球の名門・尚美学園大で女子公式野球チームに所属。在学中の2010年に第4回IBAF女子W杯メンバーに選出されると、以降3大会連続で代表入りを果たし、日本の連覇に大きく貢献した。女子プロ野球チーム『埼玉アストライア』、エイジェック女子硬式野球部を経て2022年から『はつかいちサンブレイズ』でプレー。
◆チーム情報/はつかいちサンブレイズ
広島県廿日市市を本拠地とする、女子硬式野球チーム。2021年に創部し、2022年4月から開幕した、中四国地方の女子硬式野球チームが参加する『ルビー・リーグ』に参戦している。初代総監督は元・広島東洋カープの石橋文雄。監督は女子プロ野球リーグで三冠王に輝いた岩谷美里が務め、磯崎由加里、村松珠希、三原遥ら元プロ選手も多数所属している。「地域との関わりを大切にする」というチーム方針を掲げ、女子野球の普及振興を通じた地域の活性化に向けて活動している。