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My Favorite Numbers
~数字が紐解く広島アスリートの素顔~
【第1回】広島東洋カープOB・安部友裕

新たなスポーツの楽しみ方を提供する、広島横断型スポーツ応援プロジェクト、通称『Team WISH』。プロ野球やJリーグをはじめ、数多くのトップスポーツチームを有する広島県ならではの取り組みとして、日々、各チーム・選手の魅力を発信している。

本連載では、Team WISHに参加する全25チームの選手・関係者に「自身にとって印象深い『数字』」をインタビュー。
競技人生における自慢の成績、好きな数字、ラッキーナンバー……数字にまつわる物語から、選手の新たな一面にフォーカスする。

(広島東洋カープ OB 安部友裕 氏)

連載第1回目は、プロ野球チーム『広島東洋カープ』OB・安部(あべ)(とも)(ひろ)さんが登場。

カープ一筋15年、2022年に現役引退を発表した安部さんの、心に残る『数字』を紐解いていく。

縁を感じた『6』。数字を背負って戦う重みとは

ーこの連載では選手のみなさんに『忘れられない数字・思い出深い数字』についてお話を伺っていきたいと思います。さっそくですが、安部さんが一番好きな数字は何ですか?

「好きな数字は『6』です。野球を始めた頃からずっと『6』が好きですね。僕はプロ入りまで本職がショートでした。野球のポジションを数字で表すとショートは『6』なので、やはり思い入れのある数字といえば『6』になります。それに、僕は6月24日生まれなんです。『6』月ですし、2と4を足すと『6』になるのも運命的ですよね。普段生活をしていても、ついつい『6』という数字が気になってしまうんです。スマホのバッテリーの残量が6%になっていてもうれしいです(笑)。駐車場やジムのロッカーでも、『6』が空いていたら使ってしまいますね。もし『6』が埋まっていたら、60とか、66とか……とにかく、『6』にまつわる数字が僕にとって一番好きな数字です」

入団会見 /広島アスリートマガジン提供

ープロ入りされた時の背番号は『60』でしたが、安部さんが選ばれたのでしょうか?

「あれはたまたまですね。たまたまだったのですが、そこが逆に縁を感じて『あ、6が入ってるやん』とうれしかったことを覚えています」

ーその後、背番号は『6』に変わりましたが、その時の心境はいかがでしたか?

「僕の前に『6』をつけていたのは(そよぎ)(えい)(しん)さん(現オリックス・バファローズコーチ)ですが、普段から良くしていただいていたので、その梵さんの番号を引き継げるのはとてもうれしかったです。すぐに連絡をして、『6番を引き継がせてもらうことになりました』と報告しました。入団した頃から、いつか『6』をつけるんだという思いでやってきていたので、球団から『6』の背番号を提示されたことは、本当にうれしかったです。好きな数字だということはもちろん、『一桁の背番号を提示してもらえるところまで来ることができたんだ』という思いもありました。背番号が変わった最初の年は、キャンプインの初日に部屋でちょっと着てみたりして(笑)。写真を撮って、家族に送ったりしていました」

ーやはりスポーツ選手にとって、背番号というのは印象深いものなのでしょうか。

広島アスリートマガジン提供

「そうですね。どのスポーツ、どの業界でも同じだと思いますが、仕事をしていると、数字というものはいつでもついて回るものだと感じています。プロ野球選手は背番号で野球をするわけではありませんが、やはり背中に番号が入っていると、たとえばパッと見た時に『あ、西川(龍馬)は背番号5に変わったんだな』であったり、『森下(暢仁)は18番だな』、『14といえば(大瀬良)大地だな』という風に、自ずと数字も一緒に目に入ってきますよね。背番号以外の数字であれば、点数、打率、打点、ホームランなど、それらの成績もすべて数字で表されます。チームでプレーするものですし、チームの勝利が第一なので、あまり自分自身の数字とばかり戦ってはいけないのですが、やはり切っても切れないものだと思います」

安部さん自身も知らなかった縁(ゆかり)の数字は……?

広島アスリートマガジン提供

ーでは、背番号以外の数字で、安部さんにとって思い出深い数字はありますか?

「僕は1989年生まれなので、『89』という数字にも思い入れがありますね。カープで言うと、キク(菊池涼介)や(田中)広輔、(野村)祐輔たちが同世代にあたります。一緒に切磋琢磨して、3連覇を経験した仲間たちという思いがありますから、『89は僕たちの世代だ』という気持ちもあります。あとは、これもたまたまなのですが、僕の現役時代のベスト体重が89キロだったんです。体づくりでもいろいろと試行錯誤をして、91キロや90キロと増やしてみたこともあるのですが、そうすると、体がちょっと重たくて。逆に、プロに入ったばかりの頃は69キロくらいだった時期もあるのですが、それだと軽すぎるんですね。89キロだと打球も飛ぶようになりましたし、動きの面でもベスト体重なんだと感じていました。89年生まれで、ベストが89キロ。そういう意味でも『6』と並んで印象深いのは『89』という数字ですね」

ーありがとうございます。ちなみに事前に調べた情報によりますと、安部さんに縁のあるもう一つの数字として『20』という数字があるのですが……なんだと思われますか?

「『20』ですか?え……なんだろう(しばらく考え込む)」

ー2018年の日本シリーズ(10月30日・ソフトバンク戦、福岡ヤフオク!ドーム(当時))で、満塁ホームランを打たれました。

「はい、そうですね」

ー実は、日本シリーズで『満塁ホームラン』を打ったのは、史上『20』人目だというデータがあるんです。

「そうなんですか!それは知りませんでした。ぼんやりと、40人目くらいかなぁとは思っていたんですけど」

ー王貞治さんから始まり、カープであれば水谷(みずたに)(じつ)()さん、長嶋(ながしま)(きよ)(ゆき)さんら錚々たる顔ぶれが並んでいます。

「それは光栄ですね。今度、野球教室で子どもたちに自慢しようと思います(笑)。この試合では(鈴木)誠也(現シカゴ・カブス)と僕がそれぞれ2本ホームランを打ったのですが、1試合で2選手が2本ホームランを打つのは“史上初”という話は聞いたことがありますね」

ー記録づくめの日本シリーズだったということですね。

「僕の知らなかった新たな数字が見つかりました。これはうれしいですね」

ーぜひ、安部さんの思い出深い数字に加えていただけたらと思います。本日は、ありがとうございました。

「ありがとうございました」

【安部友裕の My Favorite Numbers】
『6』『89』『20』


安部友裕

Tomohiro Abe

1989年6月24日生、福岡県出身
小学生から野球を始め、福岡工大城東高では2年時からレギュラーの座を獲得する。2007年高校生ドラフト1巡目でカープに入団。2016年には115試合に出場し、チームの25年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献した。3連覇の主力として活躍するも、2022年限りで現役引退を発表。現在は野球解説者・指導者として活動している。

◆チーム情報/広島東洋カープ
広島を本拠地とするプロ野球チーム。1950年に創設され、初代監督には石本秀一が就任した。球団草創期の度重なる存続の危機も、『樽募金』など市民の熱意によって乗り越え、1975年には初のリーグ優勝を果たした。1991年までにリーグ優勝6回、日本一3回を達成。2016・2017・2018年には、球団初のリーグ3連覇を成し遂げた。2023年シーズンより、新井貴浩監督が指揮を執る。