―SAHの神田康範代表が経営する独立プロ球団「火の国サラマンダーズ」の名付け親だと伺いました。
　当時から、神田さんとは面識がありましたが、頼まれて名付けたわけではありません。熊本にいた大学の同級生から「九州に独立リーグができ熊本にチームができる。チーム名を募集しているらしい」と聞いたので、なにげなく応募してみたんです。採用されるなんて思ってもいません。応募時には、SNS経由でニックネームとメールアドレスを入力するのみでした。すると突然「最終選考に残りました」と連絡が来たんです。びっくりしました。

―元プロ野球選手だと明かさずに？
　そうです。応募の際のニックネームは「エッグ」です。本名は入れていません。球団スタッフの方から電話で「エッグさんでしょうか？本名を教えてもらってもいいですか？」という話から「江草さんは、野球をやられていたんですか？」という質問に変わったので「はい」と答えました（笑）。話を進めていくと、プロ野球選手だったことがスタッフさんに分かり、スタッフの方も、採用された僕もただただ驚くばかり。さらに、同チームの社長が神田さんだと知り、さらに驚愕。ミラクルですよね。

―すごい縁ですね！「火の国サラマンダーズ」に込めた思いは何ですか？
僕はもともとゲームが好きだったので、ゲームのキャラクターを想起して名付けました。 熊本は「火の国」と言われていますよね。そこに、ゲーム「ファイナルファンタジー」に登場する、火の精霊サラマンダーをくっつけました。サラマンダーは、かっこよく強いキャラクターです。2016年に、熊本では大きな地震がありました。復興に向けて、強く立ち上がる熊本の皆さんを、サラマンダーというキャラクターに投影したんです。

―採用されて、何かプレゼントはありましたか？
熊本温泉旅行です。ちゃんと行かせていただきましたよ。加えて、始球式も担当させてもらいました。周りから「忖度されただろう」とよく言われたんですけど、絶対にないです。信じてください（笑）。

―昨年末、「公益財団法人福山市スポーツ協会アンバサダー」に就任されましたね。
　僕は「FMふくやま」で「江草仁貴の夢を語れ」という番組を担当させてもらっています。毎年12月に福山市と共催で、子ども向けのスポーツ体験イベントを行ってきました。そのご縁もあり、アンバサダーのお話をいただきました。福山市のスポーツ発展、振興のために力を注いでいきたいと思います。

―イベントではどんなことを行っているのですか？
　子どもたちに、野球とバレーと陸上を体験してもらっています。普段スポーツに触れる機会がない子どもたちに、運動に興味を持ってもらいたいのです。近年のお子さんの傾向として、運動能力が二極化しています。運動する子としない子の差が激しいのです。運動をしない子は、体力テストの数値も大幅に下がっています。体を動かすことは、子どもにも大きなメリットがあります。スポーツを通じて、体力向上だけでなく、礼儀なども身に付き、いいことがいっぱいあると思うのです。まずは、スポーツに興味を持ってもらうことから始めています。

―江草さんから見た、福山市のスポーツ課題を教えてください。
　福山市ではプロスポーツを観る機会がほとんどありません。つまり、レベルの高いプレーをすぐ近くで見る機会が少ないのということです。福山で育った力のあるスポーツ選手も、福山市内に進学せず広島県西部、または県外へ出てしまいます。福山にも、良い選手はたくさんいると思いますが、福山で育てられない環境がもったいないなと思っています。例えば昨夏、僕の母校でもある盈進高等学校が48年ぶりに甲子園に出場しました。広島県東部にいても甲子園に出られるんだと、福山で野球をプレーしている子たちは希望を持ったと思います。良い環境でスポーツができて良い選手が育つというフィールドが整えば、福山市のスポーツはより盛り上がると思います。

―福山市の今後が楽しみですね。では最後に、今後の展望とメッセージをお願いします。
　会社としては、運営する動画サイトなどによって、スポーツの楽しさを発信し、一人でも多くの人に「スポーツっていいな」とスポーツ全般に興味を持ってもらえれば、この上なく幸せです。個人としては、阪神タイガースの責任あるピッチングコーチを任せてもらっていますので、一人でも多くのピッチャーを育て、タイガースの優勝に貢献したいと思っています。広島カープの敵になってしまいますが…！（笑）。そして、先ほども申したとおり、福山市スポーツ協会アンバサダーとして、地元福山市のスポーツ活性化に寄与するべく、さまざまなアクションを起こしていきたいと思います。