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スポーツアクティベーションひろしまが目指すもの~スポーツコミッションとは何か~【前編】

皆さん、こんにちは。スポーツアクティベーションひろしま(以下、SAH)市町支援戦略ディレクターの藤原直幸(ふじわらなおゆき)です。2020年4月に設立したSAHも、多くの方々の支援によって3年目が終了しようとしており、4月からは4年目の活動に入ります。これまでのご高配に対して、この場を借りてお礼申し上げるとともに、より一層のご支援を賜われれば幸いです。

さて、私はSAHのメンバーであるかたわら、(一社)日本スポーツツーリズム推進機構の地域スポーツ戦略ディレクターとしても活動しており、全国のスポーツコミッションの設立のお手伝いや活動の支援、調査などを行っています。
 今回は、現在日本に180団体程度が存在(SAHもそのひとつです)する「スポーツコミッション」とは何か、そして改めてSAHがスポーツコミッションとして何を目指し、どのような活動を行ってるかについてお話しします。

スポーツコミッションとは?

スポーツコミッションの定義は、スポーツ庁のウェブサイトによると「スポーツと景観・環境・文化などの地域資源を掛け合わせ、戦略的に活用することでまちづくりや地域活性化につなげる取組が全国で進められています(中略)各地でこれらの取組を推進しているのが『地域スポーツコミッション』です」とされています。その特徴は「地方公共団体に加えて、いわゆるスポーツ団体(体協、総合型等※)だけでなく、民間企業(観光協会、商工団体、大学、観光産業、スポーツ産業等)などが一体となった組織である点(中略)つまり、異業種間にヨコ串を刺し、スポーツによる地域振興という共通する目的に連携・協力して取り組む組織である点」とされており、スポーツによる地域活性化やまちづくりを推進する様々な団体が連携した組織とまとめることができるでしょう。(スポーツ庁ホームページ:https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/sports/mcatetop09/list/detail/1372561.htm
※体協とは体育協会、総合型は総合型スポーツクラブの略です。

スポーツコミッションの歴史とは?

「スポーツコミッション」という文言が日本で初めて公的な団体によって使用されたケースは、2007年5月に社団法人関西経済同友会のスポーツ・観光推進委員会が発表した提言「日本初のスポーツコミッションを大阪に~都市集客と都市マーケティング推進に向けて」です。その後、経済産業省や観光庁といった国の機関における報告書や会議で登場し、スポーツコミッション設立の機運が高まっていきました。

そして2011年10月、日本で初めての「スポーツコミッション」という名称を使用した団体である「さいたまスポーツコミッション」(以下、SSC)が設立されました。SSCは当初は任意団体として設立され、2018年12月には一般社団法人の法人格を取得しています。SSCの設立以降、2013年4月には「佐賀県スポーツコミッション」(都道府県レベルで初めて設立)、同年6月には「一般社団法人志摩スポーツコミッション」(法人格を初めて取得)、10月には「新潟市文化・スポーツコミッション」(「文化」の名称を初めて使用)が設立されるなど、次々と新たなスポーツコミッションが誕生していきました。SSCの設立から10年が経過した2021年10月には、北は北海道から南は沖縄まで全国に177団体が設立されています。

(全国のスポーツコミッション一覧)

スポーツコミッションのデータ

スポーツコミッションに関するデータをもう少し詳しくみてみます。

なお、データはすべて2021年に(一社)日本スポーツツーリズム推進機構がスポーツ庁の委託を受けて実施した調査の結果であり、調査概要は表をご覧ください。

まず、スポーツコミッションの事務局がどこに置かれているかをみると、「自治体」が52.7%(68団体)で、「自治体以外の組織」が47.3%(61団体)でした。半数以上が自治体に事務局を置いており、行政が主導で運営していることがわかります。

また、自治体以外の組織とは、スポーツ協会や観光協会など自治体に近い団体に事務局を置くケースや、法人格を取得して自治体とは(形式的には)独立して活動している団体がみられますが、その多くが自治体からの補助金等で活動しており、実質的にはほとんどのスポーツコミッションが行政の運営、または行政が支援をしています。

続いてスポーツコミッションの予算をみると、「200万円以上500万円未満」が22.0%(27団体)が最も多く、次いで「1,000万円以上2,000万円未満」が17.9%(22団体)となっています。1億円以上の予算がある団体が5.7%(7団体)存在する一方、1,000万円未満の団体が58.5%(72団体)を占めています。なお、平均は3,700万円でした。

最後にスポーツコミッションに勤務する職員の数をみると、「3~4人」が32.6%(42団体)が最も多く、次いで「1~2人」が30.2%(39団体)となっています。4人以下の団体が66.7%(86団体)を占めています。なお、平均は5.6人でした。

予算や職員数をみると、1,000万円に満たない団体が多く、職員も4人以下とまだまだ小さい規模で運営されていることがわかります。ただ、最初のスポーツコミッションが設立されてからまだ10年程度、多くの団体では設立から数年が経過したばかりです。

今後、スポーツコミッションの設立の趣旨や取組の成果が浸透することで、さらに規模が拡大していくと考えています。ぜひ皆さんも、SAHだけでなく地元や気になる地域でスポーツコミッションが設立されているのか、そしてどのような活動をしているのかをチェックしてみてください。

さて後編では、私たちスポーツアクティベーションひろしまがどのようにして設立されたのか、そして何を目指しているのかについてお話しします。


藤原 直幸

Naoyuki Fujiwara

岡山県井原市生まれ。現在の実家は福山市。2004年早稲田大学政治経済学部を卒業後、番組制作会社を経て2008年早稲田大学大学院スポーツ科学研究科を修了。修了後は公益財団法人笹川スポーツ財団でスポーツ予算や公共施設をテーマとしたスポーツ政策を中心にさまざまな調査・研究に携わる。2019年11月からは、一般社団法人日本スポーツツーリズム推進機構にてスポーツコミッション設立のコンサルティングなどを行う一方、スポーツアクティベーションひろしまの市町支援戦略ディレクターとして活動中。