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コラム
地域と行政の連携で目指す スポーツ王国ひろしまの未来【前編】
皆さま、はじめまして。トップス広島(NPO法人広島トップスポーツクラブネットワーク)の理事長、そしてJT広島支社の調査役を務めております、松田眞二です。
JT本社にて、主に広告やプロモーション業務に長く就いていた私が、広島のスポーツに関わるようになり約3年半が経ちます。その間、スポーツがもたらす感動的な瞬間に、私自身がたくさん出会ってきました。
今日はぜひ広島の皆さまに、トップス広島の目的や活動、そして私が「こうあって欲しい」と考える広島のスポーツの未来についてお話させてください。
オール広島でスポーツを盛り上げるトップス広島
トップス広島とは、広島に拠点を置く全国トップレベルのスポーツチームが連携し、広島のスポーツを盛り上げるべく設立されました。広島の方々にさまざまなスポーツに接する機会を提供し、スポーツを「する人・見る人・支える人」と感動を分かち合い、全ての人々が「スポーツって素晴らしい!楽しい!」と実感していただくという考えのもと、特に未来を担う子供たちへの活動を中心に、スポーツを通じた社会貢献に寄与する事を目的としています。
現在の加盟チームは、サンフレッチェ広島、JTサンダーズ広島、ワクナガレオリック、イズミメイプルレッズ、広島ガスバドミントン部、NTT西日本ソフトテニス部、中国電力陸上競技部、コカ・コーラレッドスパークスホッケー部、広島東洋カープ、広島ドラゴンフライズ、ヴィクトワール広島の11チーム。
各チームの選手やコーチによる県内の子どもたちに向けたスポーツ教室や小学校への選手派遣活動を中心に、県民の皆さまにあらゆる競技を観戦してもらうトップスポーツ観戦ラリー、トップス広島感謝祭などのイベントを催すなど、「スポーツ王国ひろしま」の実現に向け、さまざまな取り組みを行っています。
その中で最も力を入れている活動は、小学校の体育の授業に選手を派遣する「Doスポーツ(主催:広島市教育委員会)」です。2000年の発足からこれまで、訪問した学校は1140校以上。広島市内の小学校数は141校のため、あと2~3年で、各学校に約10回、どこかのチームが赴いている計算になります。
この活動は、「教える」よりも「ふれあい」を大切にしています。野球やサッカー、バスケットボールは、小学生にとって比較的馴染み深い競技かもしれません。しかし、他競技は見たことも聞いたこともないという児童がたくさんいます。また、全児童が、運動が得意というわけでもありません。そのため「経験して、楽しんでもらう」ことを軸に、前半は必ず、選手たちによるデモンストレーションを行います。実演するのは、学校や普段の生活ではなかなか触れる機会のない、広島の本物のスポーツです。そこには、本物に触れ、ワクワクするスポーツ体験を通して笑顔になり、それぞれ気付きを得ることに繋げてほしいという願いを込めています。
チームへの恩返しとして活動のマスコミ報道獲得を
2017年からJTがトップス広島の事務局運営を担っております。まず私は、これまで培ってきた対外対応の経験を活かし、「トップス広島」の安定的な財源確保と活動のマスコミ報道獲得に注力しました。
トップス広島はNPO法人のため、企業様や団体様からの寄付をベースに、加盟チームの会員費で運営が成り立っています。各企業様を訪問し、トップス広島へのお力添えをお願いし続けたところ、22社だった賛助会員様は現在50社を超えるまでに増えました。
また、報道獲得には、たくさんのメディアに取り上げていただく事前周知活動も欠かせません。各社にリリースを出し、マスコミに取り上げてもらう活動にも力を注いできました。その結果、多くのメディアに取材・報道頂くことで、皆さまへ我々の活動が徐々に届きつつあるのではと感じているところです。当法人は、各チームのさまざまな協力のおかげで成り立っています。選手たちが、どういう形で地域に貢献しているのかを、報道によって広く伝えていただくことが、チームに対してのひとつの恩返しになるのではと考えています。
全ては広島の子どもたちとチーム・選手のために
スポーツが持つ力は計り知れないものがあります。トップス広島に携わるようになり、私は目の前でその“力”を感じてきました。
例えば、小学校に選手が赴いた際の子供たちのキラキラした目は、一生忘れられません。一流アスリートのデモンストレーションを目の前にした子どもたちの表情が輝き笑顔になっていくのは、大人の私が感動してしまうほどです。教室の後半では子供たちと選手が一緒にプレーするので、選手の周りには子どもたちがたくさん集まります。バレーの場合、当たっても痛くない圧縮ボールを使ってプレーするので、「スパイクを当ててー!!」とお願いする子どももいます。子どもたちが楽しそうにスポーツをする様子は、広島の明るい未来を予感させてくれるものです。
また、選手同士の交流にもハッとさせられた出来事があります。2019年に開催したトップス感謝祭の空き時間に、NTT西日本ソフトテニス部の選手とコカ・コーラレッドスパークスの選手が一緒にテニスをやっていたり、JTサンダーズ広島の選手と別チームの選手がバレーをプレーする光景を目にしました。選手たちはふだん、あまり顔を合わせることはありません。こちらから何を言わずとも、自然と選手同士が、競技の枠を超えて交流している姿を嬉しく思いました。異なる競技の選手が交流することで、アスリートとしての悩みやトレーニング方法を話し合ったりするなど互いの刺激となり、自身の競技へと還元していくことでしょう。そして「オール広島」でスポーツを盛り上げていく大きな力になることは間違いありません。
次週の後編では、スポーツチームが地域密着するためにSAHに期待することや広島のスポーツの未来についてお話します。
松田 眞二
Shinji Matsuda
広島県広島市出身。1987年日本たばこ産業入社。県内各地の営業所で営業活動に従事し、東京本社へ。広告や企画、プロモーションを担う部署にて、イベントや販売促進業務等に16年間従事。同社中国支社へ戻り、2022年より現職。2019年から、トップス広島の理事長も兼任。
(コラムコーディネート/大須賀あい)