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地域と行政の連携で目指す スポーツ王国ひろしまの未来【後編】

皆さま、はじめまして。トップス広島(NPO法人広島トップスポーツクラブネットワーク)の理事長、そしてJT広島支社の調査役を務めております、松田(まつだ)(しん)()です。

JT本社にて、主に広告やプロモーション業務に長く就いていた私が、広島のスポーツに関わるようになり約3年半が経ちます。その間、スポーツがもたらす感動的な瞬間に、私自身がたくさん出会ってきました。

先週に引き続き、ぜひ広島の皆さまに、トップス広島の目的や活動、そして私が「こうあって欲しい」と考える広島のスポーツの未来についてお話させてください。

地域密着と地域活性を行政主導で

県主導のSAHが企画するTeam WISHと私たちの活動は、参加チームや活動内容は違えど、同じ方向を向いています。県内に26ものチームが存在することは、広島県の財産であることは間違いありません。しかし、規模の小さいチームは、5年後10年後の未来を見据えた際、運営が厳しい時期も当然来るでしょう。企業やスポンサーやファンに、ずっと支えてもらえる保証はありません。だからこそ私は、地域密着型の運営が大切だと思います。

(3月24日に実施したTeamWISH記者会見)

ここで重要なのが行政のサポートです。どこのチームも自分たちだけで全てをこなすというのは限界があります。特に地域活性化の部分をチームに背負わせるには、荷が重すぎるのです。例えば先日、JTサンダーズ広島は、練習拠点のある広島市南区と「JTサンダーズ広島との応援事業に関する連携協定」を締結しました。来年1月には、グリーンアリーナでホームゲームを開催するため、その一週間前から南区の職員の方々が、勤務中にレプリカ応援 Tシャツを着て業務に当たっていただける予定です。

同じように、それぞれのチームの試合会場や本拠地がある区単位での行政からの応援は、チームにとって大きな光です。例えばコカ・コーラレッドスパークスの場合、クラブハウス(練習拠点)は安佐北区、時に試合会場として安佐南区の広域公園第二球技場を使用します。

(感謝祭で子供たちに指導する広島ガスバドミントン部の選手)

ここで両区の職員の皆さんが、チームの応援Tシャツを期間限定で着用すれば、区民の間で話題となるでしょう。「一度試合を見に行ってみようかな?」「面白そうだね」と、ホッケーの話題で地域が盛り上がり、共通の話題によって“地域の元気・活気”にも繋がります。

ワクナガレオリックは、安芸高田市に本社と工場を置いています。市が全面的にバックアップをすれば、安芸高田市は全国的な男子ハンドボールの聖地となりうるかもしれません。

もちろんこれらの例は、広島の皆さんに強制するものではありません。スポーツだけが全てではないとも思っています。しかし、県内スポーツチームへの興味のきっかけを行政主導で進めていただければ、今後の広島のスポーツがより良く変化・進化すると思っています。

(ホッケーを指導するコカ・コーラレッドスパークスの選手)

加えて、幸いにも広島は、あらゆるスポーツがコンパクトな街中に集結しています。野球、サッカー、バスケットボールは、観に行きたいときに広島で試合観戦ができますが、なかなか広島でホームゲームがなく、皆さんにプレーをお見せする機会が少ないチームもあります。それでも、全く試合がないわけではないですし、何より、会場には、広島が誇る素晴らしい選手たちのプレーが待っているのです。

そこで、トップス広島のホームページでは、これから先の4週間、加盟する11チームの試合がいつどこであるかを全掲載しています。(https://www.tops-h.net/)ぜひ参考にしていただき、会場へ赴いて、ライブでスピード感や迫力、音、そして勝利のために一生懸命戦う選手たちの姿を見ていただきたいと思います。 

また、ハンドボールのホームゲームは中学生までチケット代が無料、広島ドラゴンフライズは小学生向けに年に3回までの無料観戦券を配布しているので、お子さんを連れて、ぜひ足を運んでください。皆さんが住む街のスポーツチームの選手たちが頑張れるのは、地域の皆さんの応援があってこそなのです。

スポーツを愛する気質は広島ならでは

広島県には、スポーツを応援する全体的な気質があると思います。その土台をつくったのは、広島東洋カープの存在だと思います。原爆投下から約4年後、まだまだ悲惨な状態の街で、広島東洋カープは産声をあげました。親を亡くした孤児たちで溢れ荒んでいた広島の街にとって、ひとつの希望の光が野球でした。

(子供たちとバレーをするJTサンダーズ広島の選手)

親会社を持たない貧乏球団の経営状況は厳しく、長く苦しい時代が続いたと聞いています。そのような環境下でも、子供たちに夢と未来への希望をという理念を持ち、選手たちは耐え続けました。それを後押ししたのが、樽募金に象徴される広島の人たちの想いです。「自分たちが支えていかなければチームがなくなってしまう」という強い愛が、球団を救う大きなうねりに繋がっていったのではないかと考えます。

先にもお話しましたが、県内の全チームがこれから先ずっと存続できる保証はどこにもありません。広島県の財産である多くのスポーツチームを守るために、トップス広島だからできることを全力で取り組みますし、SAHにはチームの後押しをしていただきたい。SAHの神田代表は「目指している最終ゴールは、色んなチームを色んな人が応援して試合を見にきてくれて、沢山ファンの人が集まったねと皆で喜ぶことだ」とおっしゃっていました。私も、その未来がいつか必ずくると信じ、今後も広島のスポーツに貢献すべく、日々精進して参ります。


松田 眞二

Shinji Matsuda

広島県広島市出身。1987年日本たばこ産業入社。県内各地の営業所で営業活動に従事し、東京本社へ。広告や企画、プロモーションを担う部署にて、イベントや販売促進業務等に16年間従事。同社中国支社へ戻り、2022年より現職。2019年から、トップス広島の理事長も兼任。


(コラムコーディネート/大須賀あい)