• アウトドアスポーツ
  • マリンスポーツ
  • スポーツツーリズム
  • わがまちスポーツ
  • コラム
  • イベント

瀬戸内から発信する感動体験
尾道をマリンスポーツの聖地に【後編】

みなさん、はじめまして!
尾道市因島にて、マリンスポーツショップ「PLAY ONOMICHI」を経営しているプロウェイクボーダーの内海(うつみ)(こう)次郎(じろう)です。

僕が生まれ育った尾道は、皆さんもご存じの通り、サイクリストの聖地として世界中から注目を浴びています。一方、同エリアは、さまざまなマリンスポーツも楽しめる地として、県内外からたくさんの人が訪れています。

ウェイクボードをはじめとするマリンスポーツの魅力はもちろん、尾道だからこそ成せるマリンスポーツの可能性について、先週に引き続き、お話させてください。

地域や行政とともに創る新しい海の時代

今年度より、尾道市はSAHが推進する「わがまち♡スポーツ」事業に参入しました。尾道をマリンスポーツの聖地にすべく「尾道海属(おのみちかいぞく)」をキャッチフレーズに掲げ、さまざまな事業を推進しています。その活動に寄与すべく、僕たちは街の人や行政と一体になり、尾道に点在するさまざまなカルチャーを巻き込んで地域を盛り上げる活動を展開しています。
 

僕が理事長を務める尾道ウェイクボード協会では、昨年、尾道発のマリンスポーツリーグを発足させました。端的に言うと、アマチュアプレイヤーに向けたツアー戦です。

プロは年に4回ほど、各地で開催される大会に参戦し得点を競います。それをキュッと小さくして尾道に落とし込んだのが当リーグです。参加する選手たちは、プロライダーではなく、趣味としてウェイクボードを楽しむアマチュアの方たちです。彼らの発表の場を作りたいという思いから立ち上げ、全4戦をプロ大会のような華やかなさで演出しています。

(人気アーティスト TEE)

そのツアーの一環として7月に開催したのが「しまなみビーチフェス」です。ウェイクボード関係者はもちろん、一般の方にも多く来場いただき、2日間で5000人を動員しました。

ウェイクボードがメインのイベントですが、尾道のさまざまなコンテンツを充実させ、ウェイクボードの認知向上はもちろん、地域活性を目的として開催。フードブースには、全国的に知られる尾道らーめんや、因島でしか生産されていない葉物野菜「しまなみリーフ」など地域の名物が揃い、食での賑わいを創出。

ステージでは、人気アーティスト「TEE」のライブをはじめ、因島水軍太鼓の演奏など地元にフォーカスした内容を盛り込みました。

尾道の海カルチャーには、古き良き伝統があります。はるか昔には村上水軍、北前船、そして地域に根付く漁師の方、そして尾道を象徴する造船所。そして今、僕たちのようなマリンスポーツを通して海を愛する人々が集い始めています。僕たちは、過去からの伝統を紡ぎ、尾道で新しい海の時代をつくっていきたいのです。

チャンプ誕生、次世代型施設、尾道のマリンスポーツを全国に発信

最後に、僕が描く今後の展望についてお話させてください。まずは、まだまだマイナーなスポーツであるウェイクボードを広める活動に尽力していきます。確実にコツコツとウェイクボード人口を増やし、尾道ウェイクボードツアーをしっかりと走らせ、「しまなみビーチフェス」を継続開催し、全国に知られるイベントへと成長させていきます。

また、世界で話題沸騰中の次世代型マリンアクティビティ施設であるケーブルパークを尾道につくりたいという夢を掲げています。日本では兵庫県西宮市の1箇所しかありませんが、海外ではさまざまな水上スポーツを楽しめる施設として広く認知されています。
ただ遊ぶだけではなく、周囲にはヴィラ、レストラン、ショップ、プールやフィットネスなどがあり、1つの観光資源として機能しているのです。そんな施設が尾道に誕生すれば、全国で話題になることはもちろん、水上スポーツをより気軽に楽しめ、観光業にもよりコミットできるようになります。

僕は過去数年間にわたり、バンコクやプーケットなどウェイクボード先進国の様子をこの目で見てきました。そして日本全国のウェイクボード業界の様子も目の当たりにしてきました。その実体験を、地元である尾道に集約させ、素晴らしい部分を落とし込んでいきたいのです。海外の小さな島の雰囲気は、尾道しまなみエリアに通じるものがあります。尾道の可能性は無限大です。

7月、尾道出身のプロウェイクボーダー、吉原陽向(よしはらひなた)さんが「WORLD GAMES」のウェイクボードカテゴリーで優勝するという快挙を成し遂げました。この大会は、オリンピックに採用されていない競技種目で世界最高水準のアスリートが競い合う国際的な大会です。4年に1度の特別な場で、初めて日本人がチャンピオンに輝きました。この素晴らしい出来事は、尾道はチャンピオンが育つ土台だということを証明しています。

つまり、尾道しまなみエリアは、マリンスポーツにとって最適な環境だということを皆さんに知っていただきたいのです。「ウェイクボードやウェイクサーフィンは難しい」というイメージとは異なり、とても簡単で誰もが取り組みやすいスポーツです。是非、広島、そして尾道でしか体験できない海のスポーツに触れてみてください。


内海康次郎

Utsumi Kojiro

(株)PLUS ONOMICHI代表。20歳で始めたウェイクボードに魅了され、2011年プロ資格を取得。現在は「PLUS ONOMICHI」を経営する他、プロウェイクボーダーとして全国各地を周りながら、イベントの企画や運営にも携わる。


(コラムコーディネート / 大須賀あい)