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瀬戸内から発信する感動体験
尾道をマリンスポーツの聖地に【前編】

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みなさん、はじめまして!

尾道市因島にて、マリンスポーツショップ「PLAY ONOMICHI」を経営しているプロウェイクボーダーの内海(うつみ)(こう)次郎(じろう)です。

僕が生まれ育った尾道は、皆さんもご存じの通り、サイクリストの聖地として世界中から注目を浴びています。一方、同エリアは、さまざまなマリンスポーツも楽しめる地として、県内外からたくさんの人が訪れています。

今回は、ウェイクボードをはじめとするマリンスポーツの魅力はもちろん、尾道だからこそ成せるマリンスポーツの可能性についてお話させてください。

生まれ育った尾道でウェイクボードのプロに

僕は小さい頃から活発で、体を動かすのが大好きでした。幼少期にスタートした野球にはじまり、スノーボード、スケートボード、BMXなど、さまざまなスポーツを経験してきました。

小学校の時の夢は、プロ野球選手です。結果、形は違えど、プロスポーツ選手となって地元である尾道に貢献できることを嬉しく思っています。

僕がウェイクボードを始めたのは20歳の頃です。ウェイクボードについての知識はゼロでしたが、道具一式を持って友人たちと一緒に瀬戸内海の大海原へ。今考えると若さゆえの無茶苦茶な行為ですが、とても楽しかったことを覚えています。

その後、向島に店を構えるマリンスポーツショップ「SEA CREW(https://www.seacrew.jp)」のオーナーであり、プロウェイクボーダーの吉原(よしはら)(てる)(まさ)さんとの出会いが僕を変えていきます。本物のプロウェイクボーダーと接していくうちに、自身もプロになろうと決意したのです。プロになる決意をした僕は、当時勤めていた会社を辞め、車も売り、人生をウェイクボードに賭けようと、22歳のとき、吉原さんのもとへ弟子入りしました。

そして、2010年、25歳の僕は日本ランキング2位でプロ資格を取得。当初は、プロウェイクボーダーしての仕事と、尾道で活発な造船所での現場仕事を掛持ちしていました。

ウェイクボードには船が必須です。造船所では、船のエンジンや機械類を触り、その構造を理解しメンテナンスや修理まで対応できるようスキルを身に付けました。さらにキャリアを積み重ねようと、写真や動画などを撮るメディア関係の仕事へと転職。こちらも、大会の運営などに必要な技術として学びました。プロの仕事と並行した、あらゆる仕事経験は、全てウェイクボードに繋げるためです。そうして2019年、自店の「PLAY ONOMICHI」をオープン。ウェイクボードはもちろん、ウェイクサーフィン、バナナボート、SUPなど、あらゆるマリンレジャーを体験できます。

マリンスポーツを気軽なレジャーとして楽しめる尾道

ウェイクボードは尾道にぴったりマッチしているスポーツです。その理由のひとつに、観光とスポーツを両立できる環境的要因があげられます。尾道・しまなみエリアには、たくさんの観光スポットがあります。マリンスポーツだけを目的にせずとも、旅のプランにウェイクボードを入れこんで気軽に楽しめるのです。

池や湖を使ってのウェイクボードが盛んな他県では、目的がマリンスポーツだけに集約されがちとなり、尾道のようにライトに楽しめる環境があまりありません。しかし尾道は瀬戸内海とともにある海の街です。個人艇を持つ人も多く、遊びや趣味としてのマリンスポーツの形ができあがっています。そして観光がてらに、遊びとして海のスポーツを楽しめる環境こそ、尾道の強み。近年、ウェイクボードをした後に、SUPやバナナボート、つまり海をフルコースで楽しむ観光客が増加しています。

現在、当店を訪れる新規顧客はワンシーズンに200人ほど。継続して訪れる方を含めると、もっと多くの方が海を楽しんでいます。沖縄やハワイ、グアムやプーケットへ旅行で訪れた際、海のアクティビティを初めて体験した方は多いと思いますが、南国ではなくとも、美しい瀬戸内を舞台にレジャーとして成立する尾道のマリンスポーツは、育てれば育てるほど、今後大きな観光資源となるでしょう。

また、瀬戸内海が持つ特性も大きな要因の1つです。波がなく穏やかな瀬戸内は、マリンスポーツに最適。僕たちのホームゲレンデとなる海は、1日に2回6時間ごとに潮の満ち引きがあります。

干潮と満潮の差は3mから4 m。太平洋にはこれだけの差はありません。干潮時には、引き波が砂浜に吸収され、まるで鏡のようにフラットなゲレンデが登場します。これぞ瀬戸の夕凪。ウェイクボードをするには、最高のコンディションです。干潮時の海は満潮時に隠れていた岩などが登場するため初心者には危険な場合もありますが、このゲレンデは、全国に誇れるトップクラスの環境です。加えて、多島美を眺めながらのウェイクボードは、尾道でしか味わえない感動をもたらします。

今回は前編として、僕の経歴やマリンスポーツの魅力、尾道の自然環境のポテンシャルなどについてお話しました。次回は、今年度から尾道市役所と取り組んでいる「尾道海属(おのみちかいぞく)」をキーワードに展開している様々な取組についてや、僕が考える、尾道マリンスポーツの今後の展望についてお話します。


内海康次郎

Utsumi Kojiro

(株)PLUS ONOMICHI代表。20歳で始めたウェイクボードに魅了され、2011年プロ資格を取得。現在は「PLUS ONOMICHI」を経営する他、プロウェイクボーダーとして全国各地を周りながら、イベントの企画や運営にも携わる。


(コラムコーディネート / 大須賀あい)