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プロ化に向け大きな変革を~ハンドボールを世界最高峰リーグへ~【前編】

皆さん、こんにちは。

一般社団法人日本ハンドボールリーグ代表理事を務めております、葦原(あしはら)一正(かずまさ)です。

これまで私は、野球ではオリックス・バファローズ、横浜DeNAベイスターズ、そして男子バスケットボールのB.LEAGUEなどで、約15年間スポーツビジネスに従事してきました。

ハンドボールに携わるようになったのは、2021年4月のこと。日本ハンドボールリーグの代表理事に就任し,現在は、ハンドボール界を前進させるため、新たな変革に挑戦しています。

ハンドボール日本リーグは今、プロ化を視野にリーグ改革を進めています。

今回は、業界の抱える課題や新リーグの構想、そして広島にゆかりのある私が思う広島のスポーツについてお話させてください。

スポーツビジネスの原点は、広島東洋カープと広島市民球場

広島は、私にとって大変思い入れのある土地です。母の実家が広島にあり、その由縁で私は広島で生まれました。父の転勤とともに東京で長く暮らしましたが、幼い頃は夏休みを利用して、祖父母に会いによく広島を訪れていたものです。広島に来たら、必ず行っていたのが広島市民球場。熱気に溢れたカープの試合を、胸を高鳴らせ観戦していました。

(チームカラーに染まるマツダスタジアム)

「スポーツに関わる仕事がしたい」と心密かに考えはじめたのが、中学3年生の頃です。中学と高校では部活動で野球に打ち込みましたが、将来の夢に「プロ野球選手になる」という選択肢はなく、漠然とスポーツ関係の仕事に憧れを抱いていたように思います。ある日、週刊ベースボールを読んでいると「アメリカで活躍するスポーツトレーナー」が紹介されていました。「選手じゃなくてもスポーツの仕事ができるんだ!」と知った瞬間です。

自分の夢を周りの人に相談すると「いきなりスポーツ界に行くよりも、まずスポーツ以外の場所で経験を積んだほうがいい」とアドバイスをいただきました。そうして大学院卒業後、外資コンサルティングファームのアーサー・D・リトル(ジャパン)に就職。転機が訪れたのは、社会人5年目である2007年のことです。オリックス・バファローズがスタッフを探していると知り、門戸は著しく狭かったものの、宝くじ感覚で試験を受けると奇跡的に合格。さらに2012年、そろそろ東京に戻ろうと思っていたタイミングで、横浜 DeNA ベイスターズから声をかけていただきました。2つの球団で行ったのは、端的に言うと、経営の黒字化です。さまざまな戦略を用いて、集客し売上を生み、収支を上げていくかに力を注ぎました。

2015年には、男子プロバスケットボールの新リーグ(B.LEAGUE)立ち上げに参画。当時は川淵三郎さんの手腕により、2つのリーグが統一された後でした。リーグを成長させるため、野球界で培った経験を活かしつつ、新しい組織づくりに注力。そして 昨年、バスケットボールからハンドボールの世界へと転身し今に至ります。

マイナーからメジャースポーツへ、伸びしろのあるハンドボール

(SAHスタッフ撮影)

日本では、野球やサッカー、バスケットボールと比べると、ハンドボールはマイナーな部類に入ります。地上波で試合放送もなく、詳しいルールを知らないという人が多いでしょう。私もつい1年前まで、ハンドボールは何人で競技するかも知りませんでしたし,試合を見たことも、プレーしたこともありませんでした。

実質、ハンドボール界における入場者数や競技者数を見ると、その規模はバスケットボールの1/5程度です。認知度はとても高いとは言えず、選手の名前はほとんど知られていません。そして、現在の日本リーグに加盟している各チームは、平均で年間2億円の予算を使っていますが、収入は1000万円ほど。問題は山積みです。

しかし、発足当時のB.LEAGUEも同じような状況でした。野球に比べると1/10以下の市場規模。それが4年後には、業界市場規模3倍にまで成長したのです。アリーナは稼働率も高く、アリーナスポーツはポテンシャルが見込める領域です。つまり、ハンドボールも十分に事業成長が望める環境にあります。2競技の違いは、極論ボールが大きいか、小さいかだけ。日本のハンドボール界は、伸び代しかないのです。

後編では、今後のリーグの変革についてや、愛着のある広島のスポーツについてお話します。


葦原一正

Ashihara Kazumasa

1977年生まれ。早稲田大学大学院修了後、コンサルティング会社に入社。2007年にプロ野球のオリックス・バファローズ、12年に横浜DeNAベイスターズに入社し、いずれも事業戦略立案などを担当。15年に発足したプロバスケットボール男子Bリーグの初代事務局長を務める。21年4月から日本ハンドボールリーグ初代代表理事に就任。


(コラムコーディネート/大須賀あい)