通常のロゲイニングは、チームを組んだ参加者が山野に設置された複数のチェックポイントを、制限時間内にできるだけ高得点になるよう回る競技です。そこに観光の要素を加えたシティロゲイニングは、フィールドを街として、観光名所や飲食店とともに行います。子どもから高齢者、友人、家族、あらゆる年代、そして仲間と一緒に、街の魅力を再発見しながらアクティビティを楽しめるのです。

開発理由は、長引くコロナ禍で、地域に賑わいを取り戻したいとの思いから。例えば、人々がまとまって走るマラソン大会は、どうしてもコロナ禍での開催が難しいという側面がありました。一方、シティロゲイニングはスタートとともに街中に人が分散するので、密を避けることができます。飲食店やお土産店をチェックポイントにすることで、街が元気を取り戻します。2020年の冬に呉で初開催したシティロゲは、その後宮島、福山、山口県の萩など、各地に広まっています。大変嬉しいことに、スポーツで地域振興に貢献した団体を表彰する「第10回スポーツ振興賞」で、大賞に選出されました。広島発のコンテンツで1位をとれたという喜びを、ぜひ皆さんと分かち合い、全国に広げていきたいと思っています。

トレイルとは未舗走路を指す言葉。つまりトレイルランニングは、山や林などの舗装されていない道を走るアクティビティです。もともと欧米で盛んでしたが、日本でもここ20年ほどで人気が高まっています。

同じ「走る」を主軸にしたスポーツでも、アスファルトの上を走るランニングとは異なる点がたくさんあります。まず、山の中は登山と一緒でリスクがあります。そのためプレイヤーは、登山と同じく装備品を持って走ります。バックパックに、水分、栄養補給のための食べ物、レインウェアを入れ、靴は滑りにくいトレイルラン用のシューズを履きます。ただランニングをしているだけでは見られない、バリエーション豊かな景色を目の前にできるのもトレイルランの魅力です。登山道など山の中を走るため、自然の中を駆け抜けていく爽快感を得られます。制限時間を設定しタイムを競いますが、マイペースに歩いても問題ありません。厳しい登りやハードなコンディションもありますが、それを乗り越えるのも自分との戦いです。ゴールした際には、壮大な達成感を得られるでしょう。

そんなトレイルランをたっぷりと楽しめる大会「広島湾岸トレイルラン」を、9月24日から25日にかけて開催します。平和都市広島を舞台にした、初のロングトレイルランレースです。距離は108km、累積標高は約6、900m。参加者は、コースの途中に設けたエイドステーションで仮眠をとりながら走り続け、制限時間34時間以内のゴールを目標とします。トレイルランとしては、かなりハードな大会です。

この大会を構想し、約6年。広島初の大型トレイルラン大会を開催できる運びとなりました。もともと広島には、広島湾岸トレイル協議会の方々が整備した「湾岸トレイル」という登山道があります。そのフィールドを活用し、トレイルランで走れば全国に広島をアピールできると考え始まった企画です。参加者は、全国から集まった約1000人。夜もヘッドライトを装着し、広島の雄大な山中を走ります 身近な登山道の存在を、地元広島の皆さんにも知っていただきたい。この大会を通じて、全国のトレイルラン愛好家に広島の自然資源を知ってもらい観光に繋げたい。そんな思いで企画したこの大会で、これまでの既存の広島観光とはまた違った、新しい賑わいを創出していきたいと考えています。

自然資源を使ったスポーツは、今後の飛躍が期待されています。アウトドアスポーツ資源の宝庫である広島は、これまであまりフォーカスされていませんでした。しかし、海、山、川、それぞれのバランスがよく、美しいフィールド揃いの広島は、大会も誘致しやすい抜群の環境です。広島には、私たちも知らない魅力的な場所が、まだまだたくさん存在しています。今後もアウトドアスポーツを通じて、新しい呉市、新しい広島を発信し、地域活性化に大きく貢献していきたいと思います。