Magazines マガジン
-
ハンドボール
-
オリンピック
-
TeamWISH
-
取材記事
33年ぶりの五輪の舞台。悲願の決勝トーナメント進出へ!
五輪は4年に一度開催される世界的なスポーツの祭典。世界トップレベルのアスリートがしのぎを削る。来る2021年7月23日。新型コロナウイルス感染症の影響で、1年延期となった東京五輪がいよいよ開幕する。
スポーツ王国と言われる広島からも、26名(7月5日現在)のアスリートが五輪の舞台へ向かう。今回は東京五輪特別編として、男子ハンドボール日本代表「彗星すいせいジャパン」に選出された湧永わくなが製薬せいやくハンドボール部「ワクナガレオリック」所属の成田なりた幸こう平へい選手へインタビューし、意気込みを伺った。
―ハンドボール男子日本代表は33年ぶりの五輪の舞台です。メンバーに選出された率直な感想を教えてください。―
素直に嬉しかったですね。3月から選考合宿をしていたんですが、代表メンバーの発表がギリギリだったので、やっと決まってホッとしました。メンバーが発表されてから、今回落選してしまったメンバーと話す機会もあって複雑な部分もあったんですけど、そのメンバーの分まで頑張らないといけないと思いますし、身が引き締まる思いです。
―そのメンバーからどんな言葉をかけてもらいましたか?―
可愛がっていた後輩からは「成田さんに託しました!」って言われたので、その分しっかり頑張ろうって思います。
―代表メンバーの中でも経験豊富なベテラン組になると思いますが、このチームでの成田選手の役割はどんなところですか?―
1点の重みを感じてほしいですし、僕が身体を張ったプレーをすることでチームを鼓舞できると思うので、そういう姿勢でチームを引っ張っていきたいです。
―1月に開催された第27回男子世界選手権では、12大会ぶりにメインラウンドに進出しました。この勢いのまま五輪に向かいたいところだと思いますが、好成績の要因を教えてください。―
ダグルヘッドコーチ※体制になって4、5年経つ中で、国際試合の経験を多く積んだ選手が増えたというのはあると思います。僕自身も90試合以上の国際試合に出場していますし、国際試合に対する慣れや経験によって、ミスも減っています。何よりメンタル面で成長できていると思います。
長期的にフィジカルトレーニングも取り入れていて、フィジカル面でも世界との差を縮めることができているので、今回の快進撃に繋がったと思います。あとは、出場チーム数やラウンドの方式などが今大会から変わったというのもあります。
※ダグル・シグルドソンヘッドコーチ…アイスランド出身の元ハンドボール選手。現役時代はアイスランド代表として多くの世界大会入賞に貢献し、キャプテンも務めた。2000年からは日本リーグに加盟している湧永わくなが製薬せいやくハンドボール部(ワクナガレオリック)に移籍し、全日本実業団選手権優勝に貢献。2017年から男子ハンドボール日本代表の監督に就任した。
―これまで多くの国際試合を経験してきて、一番の違いは何だと思いますか?―
日本の選手の中だと、僕は上位クラスのフィジカル(190cm/99kg)を持っていると思うんですけど、国際試合だと僕より大きい選手がたくさんいるので、やっぱりフィジカル面だと思います。
―そんな中で、海外選手に対して日本の選手はどんな強みを生かして勝負していきますか?―
やはり「俊敏さ」が日本の強みなんです。個人的に言うと、特にディフェンスでは相手のプレーの先を読むことが重要なんですが、僕は国際試合の経験も多いですし、その経験を活かした「読み」が自分の強みなので、そこで補っていきたいです。
―代表直前合宿が7月5日から始まりました。それまで数日オフがあったそうですが、どのように過ごされましたか?―
地元の京都に数日滞在して、恩師に会ったり母校へ行って後輩たちと汗を流してきました。最近はコロナもあってあまりできていませんが、普段からオフの日はカフェに行ったり、友人とご飯に行ったりしてリフレッシュしているんです。今回は短いオフでしたが、しっかりリフレッシュできました。
―Instagramを拝見しましたがスイーツの写真がたくさんありますね。もしかしてかなりの甘党?(笑)―
甘いもの好きですね~(笑)生クリームが好きなんです(笑)今回のオフでも、代表内定のお祝いでケーキを用意していただいたり、オリンピックに向けてエネルギーチャージできました!
―しっかりエネルギーチャージができたところで、事前合宿に入りました。―
合宿が始まるまで、たくさんの方にお祝いしていただいて反響の大きさを感じましたし、その期待に応える活躍をしないといけないなと思っています。良い準備をして全力が出せるようにしたいと思います。
―五輪の初戦は強豪デンマークとの対戦です。―
1月の世界選手権でも対戦してるんですが、その時はエース選手が体調不良で欠場していたんです。オリンピックではきっとその選手も出場すると思うので、その選手と対戦できるのが楽しみですね。
その選手は攻撃型の選手で得点を量産するタイプで、そう簡単に守ることはできないとは思うんですけど、ディフェンスがメインの僕からすると1本でも2本でも多く止めたいと思います。
―では改めて、東京五輪に向けて意気込みをお願いします。―
個人としては、1点でも失点を減らしてチームの勝利に貢献したいですし、チャンスがあれば得点したいと思ってます。体を張ったディフェンスや身長を活かしたブロックに注目してもらいたいです。チームとしては予選リーグを突破して決勝トーナメントで1試合でも多く勝っていきたいと思ってます。
―最後に広島の皆さんへメッセージをお願いします。―
ハンドボールの試合を見る機会が普段なかなかないと思うんですけど、オリンピックでの試合はテレビ放映されると思うので、ぜひテレビの前で応援していただきたいと思います。
昨年から続くコロナ禍で、気持ちが落ち込んでしまうこともあると思うんですが、僕たちのプレーで少しでも前向きな気持ちになってもらえたら嬉しいです。
ハンドボールは、男女各12チームが出場し、1グループ6チームずつに分かれ予選ラウンドを実施。上位8チームが準々決勝に進出しメダルを争う。
彗星すいせいジャパンは7月24日(土)に強豪デンマークとの初戦を控える。海外経験も豊富なベテランとして初めて立つ五輪の舞台。チームを鼓舞し、恵まれた体格を生かしたプレーで引っ張る成田選手が、悲願の決勝トーナメント進出を目指すチームの中心にいることだろう。
広島を代表する成田幸平選手の活躍、そして彗星すいせいジャパンの快進撃へぜひ注目いただきたい。
成田幸平
Kohei Narita
京都府京都市出身。1989年6月15日生まれ。中学時代からハンドボールをはじめ、京都府立洛北高等学校から大阪体育大学へ進学し、年代別日本代表に選出される。大学卒業後、湧永製薬ハンドボール部「ワクナガレオリック」へ入団し、日本リーグでは2013年にベストセブン賞・フィールド得点賞を獲得。2013年頃から日本代表に選出され、多くの国際試合で主力として活躍。2014年から2年間は、ドイツ・ブンデスリーガのフュクセ・ベルリンのセカンドチームへ移籍し、海外での経験を積む。その後、2016-17年シーズンから湧永製薬ハンドボール部へ復帰し、2019年には通算400得点を達成するなど、エースとして活躍する。