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取材記事
「百万一心」で悲願の日本一奪還へ
2020年10月某日。株式会社イズミ本社を訪ねると、オフィスカジュアルな姿で現れたのは、イズミメイプルレッズ主将の堀川真奈選手。
「いつも仕事の時はこんな感じですよ!」
そう笑顔で応えてくれる彼女は、一般的なオフィスワーカーと何ら変わらない。普段は、試合でのユニフォーム姿や練習着姿を目にすることが多いため、そのギャップを感じずにはいられない。
今回は、広島を代表する企業で働きながら、ハンドボールのトップアスリートとして活躍する彼女に迫った。
――普段はどこで、どんな勤務をされているのですか?――
今は、本社の住居関連部という部署で勤務しています。今年からこの部署に異動したので、まだまだ慣れないことも多いですね。デスクワークがほとんどです。それまでは経理を担当していました。
――練習日のスケジュールは?――
朝の9時から夕方の16時まで勤務して、17時から20時くらいまで練習しています。
――選手の皆さんは全員本社勤務ですか?――
今はほとんど本社勤務なんですけど、何人かは「LECT」や「ゆめタウン広島」で食料品や衣料品の販売をしています。
――街中で声をかけられますか?――
たまにあるかな?会社関係の人が多いんですけどね(笑)身長が高いので、何かスポーツしてるんだろうなぁっていう視線を感じることは多いです(笑)
――仕事と競技の両立のコツは?――
オンとオフの切り替えは大事にしてますね。体力的にしんどい時は、休憩になったらすぐ仮眠します(笑)でも、私だけがこの生活をしているわけではないので、チームのみんなと「明日もがんばろ!」って声をかけあってます!
――オフのリフレッシュ方法は?――
寮の近くに銭湯があるので、チームのメンバー3~4人くらいで行くんですよ。あとは最近、黄金山の夜景にハマってるんです(笑)1か月に1回くらいは行ってるかな?この前は廿日市の妹背の滝を見に行きました!夜景とか自然を見ると癒されるんですよね(笑)
――そもそもハンドボールを始めたきっかけは?――
小学校の時にスポーツ少年団に入団したのがきっかけですね。全くハンドボールやる気なかったんですけど(笑)両親がバスケットボールをしていたので、本当はバスケットボールがやりたかったんですけど、近くにチームがあったのがハンドボールだったんですよね。私の出身地である福井県では男子の実業団チームもあるので、ハンドボールが盛んな地域ではあります。
――ハンドボールとバスケットボールは共通点が多そうですね。――
バスケットボール経験者のハンドボール選手って結構多いんですよ。身体の使い方とかボールの扱いが上手いですね。キーパーですけど、うちのチームにもバスケットボール経験者いますし、他のチームにもいます。
――イズミメイプルレッズを選んだ理由は?――
私、大学の部活動でハンドボールはやりきったというか、燃え尽きたと思っていたので、続ける気はあまりなかったんですよね。でも周りの方に相談して、社会人でも続ける決心をしたんです。メイプルレッズには学生時代から合宿にも来させていただいていたし、先輩も所属していたからというのも大きいですね。あとは小学生の時に外部コーチをされていた方が、当時の監督だったので、信頼できる環境でしたね。
――メイプルレッズの特徴は?――
メイプルレッズはディフェンスを強みにしています。「ディフェンスから速攻」というが私たちのスタイルです。
――見てほしいプレーは?――
ディフェンス中心のチームではあるんですけど、今季はオフェンスの強化もしているので、昨季とは違うパワーアップしたオフェンスを見てほしいと思います。今季5試合戦ってきて(10/27現在)、リーグ最少失点を維持できているので、チームの持ち味の堅いディフェンスはやっぱり見てほしいですね。
――開幕から5連勝と好調ですが、その要因は?(10/27時点)――
やっぱりディフェンスですね。あと、昨季と違うのは、ゲームの出だしの良さです。5試合ともゲームの出だしが良くて、序盤からリードする展開で進められているんです。そこが要因ですかね。自分たちが思っていたよりも、練習の成果が出ていると思います。
――チームのスタイルは先行逃げ切り?――
昨季は出だしが悪くて、追いかけて点差を徐々に詰めて最後に逆転することが多かったんですけど、今季は常に序盤からリードした展開で進める試合が多いので、出だしが悪い試合になった時が心配ではあります(苦笑)
――今季の目標は?――
ディフェンスが強みだと思っているんですけど、ポジション的に相手をブロックしたり、味方を活かすプレーが多いんです。今季はオフェンスにも注力しているので、自分も活きるプレーができるように頑張りたいと思います。
――ハンドボールを初めて観る方へおススメポイントは?――
サッカーとは違い点数が多く入る競技なのと、スピードも速いスポーツなので、そこは面白いポイントかな。あとはバスケットボールと違って接触してもプレーが止まらないスポーツなので、豪快なシュートとか迫力があると思います。結構プレーは激しいですね(笑)
――イズミメイプルレッズが広島でどんなチームになってほしいですか?――
もっと多くの方に知ってもらえるチームになりたいですよね。最近は広島ドラゴンフライズのファンの方が多く来てくれるようになったんですよ。攻守の切り替えとか、バスケットボールと似てるからなんですかね?
もっと他の競技のファンの方にも知ってもらいたいですし、1回観てもらえたら、ハンドボールの魅力が伝わると思うので、とりあえず1回観に来てください!
――広島のスポーツについて――
スポーツ熱が熱いですよね!!特にカープ愛!それこそゆめタウンでユニフォームを着用して接客してますし。サンフレもドラゴンフライズもすごいですよね!私、スポーツ観戦も好きなので、毎年カープの試合を観に行ってますし、サンフレの試合も1回は必ず行ってます。ドラゴンフライズは普通にファンです(笑)
――ドラゴンフライズは誰推しですか?――
んー、やっぱり朝山選手ですね!ミーハーっぽいですけど(笑)1回トークショーで一緒になったことがあって、話も上手で面白いし、優しいオーラ漂ってますよね(笑)
――県内の他のチームとの交流は?――
コカ・コーラレッドスパークの選手が試合観に来てくれることもありますし、私、レッドスパークスの湯田葉月選手のファンなんですよ!自粛期間中に、湯田選手がリモートでヨガをされていて、それに誘ってもらって一緒にやりました!
あとは、SNSで少しやりとりするくらいですかね?あ、最近は広島エフ・ドゥさんとやりとりすることが多いですね。選手の中でSNS広報担当がいるので(笑)皆さん「ダブルミキ」で検索してみてください!
――最後にリーグ再開に向けて意気込みをお願いします――
再開後の北國銀行戦が、プレーオフや優勝に向けて一番重要な試合なので、その試合に向けてしっかり練習したいと思います。地元広島の東区スポーツセンターでの試合になるので、ぜひ注目してもらえたら嬉しいです!
明るく気さくにインタビューに応える場面が多かったが、ハンドボールについて語る表情はやはり真剣そのもの。その姿からは、日本ハンドボール界常勝チームの主将を担う責任感を感じた。
日本ハンドボールリーグは1月に再開。勝負の一戦と語る北國銀行戦は1/11(月・祝)に控える。この一戦で、一体どんなプレーを見せてくれるのか、今から楽しみで仕方ない。
※1/9(土)、1/11(祝・月)に開催される2試合は、リモート開催(無観客)での開催となる。JHL tvにてLIVE配信があり、1/9(土)は、13:50からNHKにて放送(広島放送局のみ)。
日本一奪還へ。赤き闘志を燃やし、パワフル且つスピーディーなプレーでコートを躍動する姿に期待だ。
堀川真奈
Mana Horikawa
ピボット(ポスト)身長174cm
福井県出身。大阪教育大学を卒業後、イズミメイプルレッズに入団。ディフェンスを得意とし、今季は攻撃力強化に取り組み、またキャプテンとしてチームを牽引する。株式会社イズミ本社に勤務。
本取材にご協力いただきました
イズミメイプルレッズの関係者の皆様、本当にありがとうございました。
(文・インタビュー 矢上/写真 向畑)